潜入前の会議(?)
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「とりあえず、美香の言う通りここの配送センターに『我々』に関係者がいると仮定して、それをどうやってあぶり出すかを考えないといけない」
「仮定して……?」
「ヒナは悠哉の言葉に不思議そうに首を傾げた。……仮定? 悠哉も配送センターにあいつらの仲間がいると思ったんじゃないの? 八草組のところで訊いたとき、そう思うって言ってたでしょ?」
「いや、僕は可能性の一つだと思うって言っただけだよ」
「……どういう事?」
「確かに配送センターで仕込みをして美香の家に送り届けさせる、というのも爆弾を届ける手段だけれど、配達員を装って荷物を届けるのも手段の一つだからね。小さい組織なら配送センターを使う方がお手軽だけど、大きい組織なら足が付かない偽造する方を使うんじゃないかな」
「つまり、配送センターを調べても『我々』の手掛かりは得られないかもしれない、ということ……ですか?」
「そういうこと」
「悠哉の言葉に不安になるヒナ。ヒナとしては早く日常に帰りたいけれど、いつになるの、と思う。……じゃあどうするのよ悠哉」
「うん、配送センターを念のため探索する」
「えっ……」
「諦めるって話じゃなかったの? 二人の疑問に悠哉はあらかじめ決めておいた答えを答えた。(面倒臭い、なんで地の文こないのよっ!)」
「いや、偽造の方だったとしても、MK3の入手元を洗っているから問題無い。むしろ今やらないと来ちゃった以上もったいないくらいだよ」
「……悠哉? じゃあなんでわざわざ今の説明を挟む必要があったの? 怒りが込められた美香の声が悠哉を圧倒する」
「えっ……? 仮定してって言ったとき訊いてきたのは美香さ……美香だったよね?」
「うるさい」
「理不尽だぁぁああああああああ!」
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「さて、とりあえず潜入しようか」
「大丈夫なんですか……、後で捕まったりしませんよね……」
「ヒナ、大丈夫よ。悠哉がいるから、きっと全責任をとってくれるわよ。……悠哉、ちょっと待って」
バブゴゥッッ! な、なんだよ美香、どうして殴るんだよっ!
「やっぱりいたわね」
まさか、ばれてる……?(汗)
「まえ地の文が気絶した時は、すぐに次の地の文に切り替わったのに、今回は違った。考えてみればおかしかったわ。あんたは気絶から復活してもわざと喋らず私たちを眺めていて、仕事をサボってた、て訳なのよね?」
な、何の話……? こっちは今起きたばかりだけど……
「その言い訳が通ると本当に思っているなら、あんたは本当のアホね。……もうばれてるんだ、大人しくしろ」
ごめんなさい許してください出来心だったんです……!
「それはこの前聞いた」
凄まじい音が響いて、地の文の体(あるの?)が宙を舞った。
「どうしたの、美香さ……美香? あ、自分で推理しろって?」
「ようやく分かってきたじゃない」
質問を後から取りやめた悠哉に、美香は満足そうに言う。
「結局どうするんですか……?」
そんな二人に、日向子は小さな声で訊いた。