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八草組への依頼

   11



 【ヤクザ】の専門家(エキスパート)、と聞くとヤクザに対する専門家(エキスパート)、みたいに聞こえるので補足だぜ!


 正確には、【ヤクザ】である(・・・)ことの専門家という意味。【】←このかっこの中に書いてあるものに特化している人という意味になるわけ。つまりヤクザに対する専門家(エキスパート)なら、【対ヤクザ】の専門家(エキスパート)と書かれることになるわけだ。ヒャッハー! 久々の長台詞だぜ!


 「地の文うるさい。はしゃぎ過ぎ」


 はい、すみません……。


 「次に説明することは? 面倒臭いから描写口調がいいなぁ」


 はい、わかりました……。……考えてみればなんで俺は美香に弱いんだ?


 有限会社八草組。


 主に建築を生業としていて、特森町成立と同時に生まれた古参の企業。だがそれは表の顔で、日本全国のヤクザの元締をしていることは知る人ぞ知る事実である。


 だがその情報を知った者に対するチェックはきちんとしているようで、未だに国から指定暴力団に認定されていない。


 『特森町成立から10年。特森町成立の秘密に迫る』と題された週刊誌を横に置いて、八草組組長八草鞘介は顔を上げた。


 「葛城先生に瑠璃浜師匠、どうなさったんで? お二方はどれだけ言ってもわたしらのお礼を受け取ってくれなかったじゃないですか。なにか頼み事なら、わたしらが恩を返すチャンスでざいます」


 ……うっわ、この人もすげえ姿だなぁ。スキンヘッドに左目を縦にふさぐ傷痕、某三刀流の人をスキンヘッドにしたみたいだ。


 「そう言うと思って来たのよ」


 美香のその言葉に鞘介は顔を真剣な物にした。


 「……ほぉ。瑠璃浜師匠と葛城先生がわざわざ頼みにくる、と。こりゃあでかいヤマになりそうですな。それで、わたしらがやることはなんですかい?」


 「手榴弾の入手経路を探ること」

 「えっっ!」


 美香の突然の言葉に声を上げてしまう日向子。だがそれを気にした様子もなく鞘介は話を続けた。


 「なるほど、それはわたしらが適任ですな。ならその種類を教えてもらえますかな?」


 鞘介の問いに、美香は堂々と言う。


 「悠哉」


 ……お前は答えないのかい。って、聞こえてないよな?


 「MK3。アメリカ軍開発の攻撃手榴弾で、最近改良型のMK3A1の普及によってアメリカ軍の取り扱いが終わったロングセラーだ」


 悠哉は美香の突然のふりにも慌てる事なく答えた。残った破片、爆発威力、爆発の衝撃の通り方から既に解析まで済んでいたのだ。


 「っ、さすが葛城先生、もうそこまで分かっていたとは。それなら今日中には終わるでしょう、明日またお越しください」

 「それから、もう一つ」

 「はい?」

 「わたしの家直しといて、多分ガラスの張替えだけで済むと思うけど、壁に亀裂とか入ってたらそれもお願い」

 「分かりました」


 おいおいおいおい、これはシュールな光景だなぁ、ははっ! 女子高生と変わらない年齢に指示されているヤクザか、こりゃ傑作だぁ!


 「おい地の文」


 なんだ美香。俺はもう屈しないぞ、痛みなんか耐えれば良いんだから!


 「地の文、あんた地雷踏んだわよ?」

 え? ブゴベバッッ!


 「日本のヤクザを統べる八草組の棟梁、八草鞘介のパンチの威力が知りたいか?」


 もう、いいです……。マジで死ぬ予感しかねえ……。痛みなら耐えれば良いけど恐怖はどうにもなんねえよ……。


 「もう遅い」


 ウギャアアア(唐突に途切れる叫び声)。

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