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守りたかったこの時間  作者: アキラ
7/8

第7話 変わってしまった”いま”

この幸せがずっと続いていくだろうとそう思っていた。


しかしその根拠のない期待はあっさり裏切られることになってしまう。


それから数週間がたったある日のこと、陣は夏休みを謳歌していた。

するといきなり母親が陣の方へやってきて、顔を少ししかめながら口を開いた。

「陣。今からおばあちゃんの家に行くから準備してきて。

結構長い期間になると思うからこの中に陣の大切なものと

後着替えを2日分入れてきて。

多分、先に送っていたものが3日目には届くと思うから。」

そう言いながら、母親は大きめのボストンバックを陣に渡してきたが、違和感があった。

(どうして父さんが会社に行っている間に行くんだろう。父さんも後で来るのかなぁ)


陣はその違和感の答えを母親に尋ねようとしたが、あまりにも母親が急かしてくるので

陣は部屋に戻り、準備に取り掛かった。

準備が終わり、母親のもとへ行くと、

タクシーを呼んでいたのかここでもまた乗ることを急かされて、結局何も聞けなかった。

さらにはタクシーの中や行きの電車の中でも母親は深刻な表情だったこともあり、

陣は何一つ知らないままおばあちゃんの家へ着いた。


おばあちゃんは母親の顔を見ると、すぐに抱きしめてきた。

「遠かったでしょ~!!大変だったわよね!

ここに来ることもそうだけど亮太さんとのことも。

でもやっぱり言ったとおりだったでしょ。

あの人には何か大きな隠し事があるから結婚するのはやめときなさいって。

本当にひどい人ね。」


陣には突然のことにさっぱり意味が分からなかったものの、

考えていくうちにおばあちゃんの言っていることと

母親の深刻そうな顔を思い出し、徐々にある結論が見えてきた。


もしかして母さんは父さんと離婚するつもりなのか。

何か父さんが隠し事をしていたせいで。と

しかしなぜかは分からなかったが、

陣は父親の隠し事が何かを知っているような気がした。

そのため父親をこれほど悪く言われているにもかかわらず、

父親を責めることができなかった。


陣のそんな考えとは裏腹に母親とおばあちゃんはその日ずっと父親を責め続けていた。

父親がここにはいないことを理由に。


そしてその翌日から陣と母親はおばあちゃんの家にお世話になることになり

陣は父親と会うこともないまま、1か月が過ぎてしまった。

その日、母親はいつになく上機嫌に家へと戻ってきたかと思うと、

すぐにおばあちゃんのところへ行った。


離婚することができたことを伝えるために。


その後の陣の3年間は散々なものだった。

母親が離婚できたことを伝えた翌日からおばあちゃんの態度が

今まではお客みたいに扱われていたのが、

急に居候ということになったことからなのか悪くなった。

家の中の掃除や洗濯、食事などの家事すべてを陣と母親に任せ、

おばあちゃんはそれを監視するのみで、あとは何もしてはくれなかった。

そしてそれに並行して陣はおばあちゃんの家に近い高校に通わされ、

離婚して引っ越してきたということが原因でいじめにも合った。


そのためか「なんでこんな人生を送っているんだろう」と涙することもあった。

大学はなるべく母親とおばあちゃんから遠いところに行って、

そこで一人暮らしをしようとそう心に決めて、苦痛だらけの日々を生き抜いた



結果として陣は2つ県が離れた大学への進学が決まった。


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