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マッド少女は魔法で何を思う  作者: 雨のミミズ
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プロローグ

科学技術、人類を進化する上で必要不可欠な存在。

それが科学。人類は科学を進化させる事によって様々な技術と生み出し、地球上の生物の頂点に君臨し、100年足らずで急速な進化を遂げた。

人類が此処まで進化してこれたのも科学があってこそ。つまり科学こそ人類であり、科学こそ真理。

全てが科学的証明の元成り立っているのだ。

UFO?UMA?超能力?魔法?そんなものはナンセンスだ!

何故なら科学的に証明されていない。つまりあれらの存在は虚言。妄想ただの気が狂った人間が生み出した妄想の産物に過ぎない。

だが見よ、私のたどり着いた科学の結晶を!

「はっはっはっ!見ろっ!素晴らしいっ!これが科学だっ!」

けたたましい警告音が響き渡る中私は両手を広げて歓喜していた。

「マイクロブラックホールの重力力場増大中!!予測範囲を大幅に超えて増大しています!!班長このままだと施設ごと吹き飛びます!!」

私の部下なる優秀なスタッフが無粋な事を言ってくる。

何を言っているのだろうか、これは私に取っては予想どおりの状況だ。

「素晴らしいっ!続行だ!!」

「は?」

スタッフが私の言葉に理解出来ないと言った様子で呆けていた。

こいつはクビだな、私は即座に心のメモ帳に記録する。

この状況で歓喜しないなど、実験をやめようとするのは科学者失格だ。

『警報、警報、緊急事態発生、緊急自体発生、エリア013の区画にて異常事態発生。直ちに職員は避難されたし』

「班長、このままだと本当に取り返しがつかないことに!班長」

「続行だっ!続行だっ!続行だ!続行以外にありえないっ!そんなに命が惜しいなら君たちは逃げたまえ!もちろん実験が成功した時にはクビだがね」

「く・・・狂ってるやがる」

そう言うと今までうるさく騒いでいた部下が逃げ出した。

全く何を言っているのか、私は狂ってなんかいないというのに。

一人逃げ出すと、他の部下達も逃げ始めた。集団心理というやつだろうか、羊と同じで一匹が逃げ出すと私も、私もと逃げ出すのだ。

全く、自我というものを持っていないのでは無いかね?

まぁ、そんな事はどうでも良いことだ。

それよりも今は実験が大事だ。

今行っている実験はマイクロブラックホールによる次元壁干渉実験だった。

私はブラックホールと言うのは次元に対する干渉だと考えている。

巨大な重力により重力崩壊という考えが一般的だろう。

それでは何故マイクロブラックホールは崩壊してしまうのか。

ブラックホールは光すらも飲み込む重力の檻だ。そんな檻の中からどうやって質量が抜け出して居るのか。

重力の檻を抜け出す程のエネルギーとはどれほどのものなのか。

何故宇宙に存在するブラックホールは自然消滅しないのか。

私が思うにブラックホールと言うのはやはり次元の穴では無いだろうか。

次元の壁には復元力があり、多少の穴では戻ってしまう。

復元力を超えた大きい穴であれば、次元の壁には穴が空いたままになり、新たなる世界がその先に広がっている可能性がある。

新しい世界!何と甘美な響きか。

宇宙という存在も実に未知で魅力的な存在だが。

時空、次元、平行世界。この世界という存在を解明することのほうがより大きいのではないか!

だからこそ私はこの世界を飛び越えて新たなるステージへと旅立たなければならない。

マイクロブラックホールがすぐに蒸発してしまうなら、蒸発する前に大量に発生させて成長させてやればいい。

徐々に成長したマイクロブラックホールは蒸発せずに世界の壁の穴を広げる。

あぁ、遂にっ!遂にこの時が来るのだっ!

私はこの世界を羽ばたき新たなるステ――――


マイクロブラックホールによる次元壁干渉実験についてのレポート

2xxx年x月x日

本実験は科学スタッフ主任 加賀 保寿によって立案された実験である。

加賀保寿の仮設によるば世界は次元を区切る壁のような物が存在しており、その壁は重力力場によって干渉することが可能という説だった。

この次元を区切る壁を次元壁(仮称)をLHC大型ハドロン衝突型加速器にてマイクロブラックホールを生成、干渉を確認することが本実験の目的だった。

ただしマイクロブラックホールは性質上、すぐに蒸発してしまう為。長時間維持する必要があった。

その為の回避案として出されたのが随時マイクロブラックホールを作り出し、合体させるという事だった。

ブラックホールは合体する性質を持ち、合体することで成長すると考えられており、マイクロブラックホールでも同様の事象を起こすことは可能だと判断された。

ただし、マイクロブラックホールを成長させるということは、重力力場の周囲に与える影響が増大する為、リスク管理の元制限付きで本実験は実行された。

想定の手順で実験は進められ、概ね良好と判断されたが。

突如として本実験の立案者である加賀保寿が暴走。

独断にてマイクロブラックホールの生成数を増加。

結果急激に成長したマイクロブラックホール重力力場が増大。

実験の中止をスタッフの一人が進言したが、当人により却下。

スタッフは加賀保寿の精神状態が正常ではないと判断し、加賀保寿を実験施設に放置して避難。

その後成長したブラックホールは施設を飲み込み崩壊。

実験は失敗と判断。


次元壁の存在、干渉は確認できず。

本実験にて加賀保寿の仮設は誤ったものと判定。


本実験により実験施設は損壊。

死体は発見されていないが状況証拠から加賀保寿は死亡したと判断。


本実験の悲劇は加賀保寿という狂った一人の男による妄想が産んだ悲劇であると言わざる終えない。


研究スタッフ ○○ ○○


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