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0話 ??―??

襤褸(ぼろ)を着た前王はこう答えた。「あの女神を信用してはならぬ。血肉と引き換えに全てを捧げねばならぬ。そのために私はこうして全てを奪われた」

                            ウェール書 4章15節

 不快感をおぼえて石扉のように閉じていた重い瞼を開ける。


 永い永い夢から目が覚めてしまった。いっそこのまま覚めなければいいと思っていた夢から。


 漆黒の中で三度瞬きをし、ぎょろりと目を見開く。


 *封印*が解けてしまったのだろう、遠くから人の騒ぐ声と草木が薙がれる音がする。

 それと地響きを伴った――爆発音か!――音までもが聞こえてくる。

 嗚呼、何という事か!こんな奥地まで人が来るようになってしまったのか。

 この身に災いを封じ、その上この身ごと楽園の山奥に*封印*したのにも関わらずよく見つけられるものだ。

 やはり王国は滅びの定めから逃れられなかったのだろうか。

 一際大きい爆発音がしたかと思うと一筋の光が漏れてきた。びっくりしてぎゅっと目を閉じる。


 光に慣れてふと前を見ると、あの女神の使いのヤギがじっと私を見ていた。まるで久しぶりだとでも言いたげに、彼女の言葉を代弁するかのように。


 一つあくびをすると開けたままの口でヤギにがぶりと噛み付き、ひょいと持ち上げた。


 数度咀嚼し、ゴクリと飲み込む。久しぶりの食事だ。数十年ぶりだろうか、もしかすると百年単位かもしれない。

 血がのどを潤し、肉が胃に心地よい重量感を覚えさせる。

 のしりと体を起こすと光の漏れ出る方向へ顔を向ける。


 そろそろ始めるとするか、最後の悪あがきを!















読んでいただきありがとうございます。

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