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テンプレ主人公は偉大だった!?(プロト版)  作者: トクシマ・ザ・スダーチ
テンプレ主人公になっちゃった!?
48/62

学園都市探索③

お待たせしました。48話です。

 ゴルゴロッソの鍛冶屋を後にした俺たちは再び学園都市の探索に臨む。割と屋台を食べ歩いたがちょこちょこ食べて歩いている感じなのでまだ体感腹六分というところである。


 さておき、他にいい感じの店はないかな?今後の活動のためにもうまい料理屋とか雰囲気がいい感じの喫茶店なんかを探しておきたいところだが。俺はメンバーより若干前に突出して先行する。


「んお?スレイ!こんなとこで何やってんだ」


 不意に声をかけられてそちらを見やるとドジャーがいた。ドジャーも食べ歩きしているらしく左手には容器ごみを束にして袋に入れており、右手にはフランクフルトを持っている。


「ドジャー。なんだ、休日に一人寂しく食べ歩きか?」

「いやな、この前お前がぶっ倒された時の白兵戦でジャックに負けちまってな?屋台で3品奢る約束してたんだが、急用が入ったらしくてな。そのまま帰るのももったいねぇからこうして食べ歩いてたわけだ。お前も誘うつもりだったんだが部屋まで誘いに行ったときにはもういなかったんだよ」


 あー、すれ違いになっちゃったやつか。で、今偶然ぱったり会ったと。割とよくあるよな。こういうこと。


「なるほどな。…お前ジャックに負けたの?」

「完敗だったわ。気をつけろよスレイ。あいつ見るからに斥候系だけど普通に強いぞ」

「マジかよ。あいつやっぱり怖っ」


 入学式の道すがら悪漢を懲らしめたという武勇伝を持つドジャーが負けただと?ジャックはかなり強キャラポジにいるらしいな。あの手のキャラが弱いとか古今東西なかなか聞かないし。やはり要注意人物だな。


 でもこういう濃いキャラとは距離置かない方がいいんだよなぁ。悪友ポジション辺りを目指すのが無難か?


「それはさておき、スレイだって人のこと言えねーだろ。お前だって一人…」

「スレイ、焼きトウモロコシ買ってきたわよ。あんたトウモロコシ好きだったでしょ?」


 ドジャーの言葉は、意図せずに会話に割って入ってきた形となったフィーネにさえぎられて最後まで続かなかった。


 しかし焼きトウモロコシか。嫌いじゃない、というかむしろ好きな部類だが、全部食べるともうそれ以上は食べられなくなりそうだ。


「いや、ちょこちょこ食べてるとはいえ結構食べたから一本丸々は厳しいかな」

「前は無理しても食べてたのに。ほんとに記憶喪失ってわからないわね」


 スレイもトウモロコシ好きか。意外なところに共通点があったな。


 さて、こんなときテンプレ主人公はどうするんだったか?はい、大方の皆さんの想像どおり半分こが正解です。ここはテストに出ますよ?


「じゃあ半分こするか?俺が先に半分食べるからフィーネは残りを食べるといいよ」

「すすすスレイの食べかけをくれるっていうの!?ちょ、本気!?」

「嫌なら捨ててもらってもいいけど」

「嫌じゃないわ!あたしそういうの嫌いじゃないから!」


 ふおおおお!と興奮気味のフィーネをしり目に焼きトウモロコシをかじる。ドジャーが何か言いたそうにこっちを見ていたが、彼が行動を起こす前に場面が動いた。


「スレイ。向こうの通りにポップコーン?っていう新しいお菓子の屋台があるらしいんだ。後で行ってみない?」

「弟君、弟君。この新商品のからあげっていうのおいしいよ!マイシャちゃんに食べさせてあげたらびっくりするんじゃないかな!?」


 さらにニアとネーシャの登場でドジャーはあんぐりと口を開けて呆けている。うん、なんかすまんな。


「あれ、ドジャーじゃないか。偶然だね。君も食べ歩きかい?」

「あ、お、おうニア。そんな感じだ」


 ニアの問いに生返事するとドジャーは俺の肩に腕をまわして引き寄せてきた。やめろ、その行為は若干二名に餌を与えることになる。


「どういうことだスレイ。どうしてネーシャ先輩や入学式に俺のために啖呵を切ってくれた女子がいる?あと、ニアと一緒なのもなんか羨ましい」

「まぁ落ち着けよ。いや、どうと言われても、見たまんまみんなでいっしょに遊びに来ているだけだぜ?」

「ジーザス…!」


 小声でそんな会話をすると、突然空を仰ぎだすドジャー。ニアはそれを見て訝し気な表情をしている。そんな俺たち三人を見て案の定ネーシャとフィーネが盛り上がっていた。口々に三角関係とか口ずさんで盛り上がっている。


 うるせぇ。三角関係とかじゃねぇし。誰もそんなトライアングラー望んでないから!


 そんな彼女らをよそにドジャーは今度は声もなく泣き始める。男泣きというやつである。俺も元顔面偏差値低数値者だから気持ちはわかるがこんなところでそんなもん使うなよ。というかお前だって二枚目で結構イケメンなんだぞ?努力次第で何とでもなるわ。


「ううっ、ぐっ、スレイ…いや兄弟、お前が、心底羨まじい…」

「わかったわかった。一緒に食べ歩きしようぜ?だから兄弟、断ったらぶっ殺す覚悟の炎が灯ったその目、やめろ」


 こいつ相変わらずいいキャラしてんな。なんか放っておけないんだよな。主人公の友人キャラ特有の人好きのするオーラみたいなのが多分出ているに違いない。


「というわけでクラスメートのドジャー君が一緒に回ることになりました。異論はこのスレイの名において認めません!」

「き、兄弟、お前ってやつぁ…!」

 

 休日に男友達と出かける約束をドタキャンされ、誘いに行った男友達とニアミスして現地で遭遇したかと思ったら女連れだったとかいう、こんな休日は嫌だランキングでもそこそこ上位が狙える本日のドジャーを俺はどうしても放っておけず、テンプレガールズたちに強くその同行を進言した。


「もちろん僕はOKだよ。友達だしね!」

「弟君とニア君のお友達?私はいいよ!仲良しはいいことだからね!あ、今の発言に深い意味はないよ!」

「ま、あんたが記憶を失う前からこういうのは慣れっこよ。むしろ他の女の子じゃなくて安心したわ」


 ニアとネーシャは快諾してもらえた。ネーシャの方は若干不純な動機が混ざってる気がしないでもないが。フィーネはどこかあきらめた表情で遠い目をしてそう言った。スレイが昔何かをやらかしたのだろう。それがなんなのかはちょっと怖くて聞けそうにないが。


 ともあれこうしていつもの面々にドジャーが加わった。今はニアとネーシャとフィーネが先行して俺とドジャーはその後ろを歩いている。


 先を歩く面々は俺が渡した食べかけの焼きトウモロコシの話題で盛り上がっている。どうでもいいけどそろそろ冷たくなってると思うの。トウモロコシ。


「やべぇ…。そこそこ離れているのにいい匂いがする…。ニアと兄弟はいつもこんなおいしい思いをしてるってのか!?」

「それが我々イケメンの宿命というやつだな。兄弟も己を磨き続ければいずれはこの高みに至れるかもしれませんよ?」

「ちっくしょおおおお!どうして神は俺をイケメンにしてくれなかったんだ!?」


 それは俺TUEEE系主人公のイケメン属性を食ってしまうようなキャラをそばに置きたくなかったんじゃないかなー、とメタ的な発言はしない。言ってもわからないだろうし。


 それはさておき、こいつには聞いておかなくちゃならないことが一つある。むしろそれだけのために今回、仲間に入れてあげた側面が大きい。いや、でもちゃんと楽しんでくれればいいなーとは思ってますよ?(予防線)


「ところでドジャーさんや」

「なんだ急に改まって。今更やっぱりどっかいけ、とか言ったら流石に泣くぞ。泣いた上に駄々をこねてどさくさに紛れてお前にキスしてやる」

「お前、滅茶苦茶怖いこと考えてんな!?そのレベルの道ずれはさすがに予想してなかったわ!」


 もしそんなことが起きればドジャーは水面下で蠢いているらしい(祐司談)スレイ親衛隊に血祭りにあげられるだろう。そしてネーシャとフィーネがドジャ×スレよ!とか言い出すに決まってる。それは勘弁してくれ。


「…そうじゃなくてな、お前が立ち寄った屋台の場所が聞きたいのよ」

「あ?屋台だ?いったいどこの屋台を言ってるんだ」

「フランクフルト屋」

「お前、天才か…?」

「知ってのとおり天才だが?」


 数秒前まで情けない脅しをかけていた、卑屈な表情をしていたドジャーは打って変わって凛々しい表情で俺の手を握る。俺もアルカイックスマイルで応じてドジャーの手を力強く握り返した。


「さぁ来い兄弟!俺たちのフロンティアはこっちだぜ!」


 ドジャーは俺の手を引いて先行する三人を追い抜いていき、俺を約束の地へと導く。追い抜いた後でネーシャとフィーネが盛り上がりを見せたが気にしない。


 数分もしない内にドジャーは「あれだ!」と指をさす。その指の先にはまごうことなく【フランクフルト屋】の文字が躍るのぼりと屋台があった。そこに向けてドジャーが一も二もなく駆けだした。


「おっちゃん、フランクフルト3本頼む!」


 早速フランクフルト屋の店主であろうねじり鉢巻きをしたおっちゃんに注文をかける。…3本、ということはニアの分なのだろうか?性別はバレてないはずだが…まさかこいつ、男でも行けちゃうタイプか…?…ドジャーは思ったより業が深いのかもしれない。


 ま、まぁいい。そんなことよりフランクフルトだ!アツアツの大きいのをテンプレガールズに振る舞ってやらぁ!


「ああ、すまんな。今日はもう売り切れなんだ。在庫もはけちまったからまた来週買いに来てくれ」


 しかし俺たちに突き付けられたのはそんな無情なセリフだった。


「どうしたの、スレイ。急に駆けだしたかと思ったら…フランクフルト?スレイ、そんなに食べたかったの?あ、でも僕ものぼり見たら食べたくなってきたなぁ。でも売り切れなんだね。残念」

「お、弟君が、ニア君が、ドジャー君が、ふふふふ、フランクフルトを食べたがって!?」

「ネーシャさん、来て、よかったですね。あたし、今日のこと忘れられそうにないです」


 追いついてきた三人がそれぞれそんなことを言う。やめろぉ!そこの若干二名、変な目で俺たちを見るんじゃない!


「ちくしょおおおお!今日の俺、ついてねぇ!はっ!?さっき食った分を吐き出せば一人分くらいには!?」

「馬鹿、やめろ!こんな往来で何をしようとしてやがる!?」


 ドジャーは性格イケメンなはずなのにかなりの残念キャラなのかもしれない。



本日も0時には間に合わず…。

明日10月16日も0時頃投稿です!頃←これ大事(笑)

はい。嘘です。明日は頑張って間に合わせます(-_-;)

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