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テンプレ主人公は偉大だった!?(プロト版)  作者: トクシマ・ザ・スダーチ
テンプレ主人公になっちゃった!?
43/62

早起きは新キャラor新展開フラグ

43話です。

 スレイのメシマズが発覚した翌日、本日は待ちに待った休日である。つまりみんなとお出かけの日だ。俺はあくびをしながら体をゆっくりと起こす。


 そして今は早朝。隣のベッドでは可愛らしい寝息を立てて眠るニアが眠っている。当然だが寝顔が可愛い。寝ぼけた頭でもそれだけは確実に印象に残る。


 昨日はあの後昼食をはさみ、午後の授業を終えたところで俺は帰宅し、そしていつの間にか眠ってしまい今に至る。放課後は皆、何かしら予定が入っていたらしい。晩飯を食い逃しているので腹が鳴る。


「うーん、まだ夜が明けきってないみたいだな。…飯は後回しでもいいか」


 窓から見える外はまだほのかに暗い。食堂が開いているとは思えないくらいの暗さであった。ニアを起こして次案を求めるほど我慢ができないこともないので起こした自分の体を再び横たえる。


 が、どうやらもう体は睡眠を必要としていないらしくしばらく目をつぶってぼうっとしていても一向に眠気がささない。しかし起きてても何もすることはないしなぁ。


 あ、そうだ。修練所に行ってみるか。この寮の敷地内には修練所と呼ばれている開けた空き地のような場所があることをジャガイモからもらったパンフで確認してある。そこでは木製の各種武器や巻き藁、そして実戦用の武器を借り、文字通り修練に励むことができる。


 修練所の武器はそれなりに数はあるが当然限りがある。放課後に俺を含めた新入生が借り受ける場合は木製武器が手に入ればいい方である。


 それには理由があり、基本的に早い者勝ちだが上級生から求められた場合譲渡するというのが長年の習わしとなっているのだ。これは上級生になるにつれて郊外実習などの実戦の科目が増えるため、実戦用の武器に慣れさせるためだという学園側の計らいである。


 さて、さっきも確認したとおり今はまだ太陽すらやる気を出していない時間帯。こんな時間に修練所で実戦用の武器を使って訓練をしている生徒はそうはいまい。ここはひとつ、他の新入生よりも一足先に実戦用の武器に触れておくとしよう。


 方針が定まった俺はジャージ代わりになりそうな服がなかったので仕方なく制服に身を包み、修練所へと向かった。


        ☆☆☆


 特に迷うことなく修練所に出るための広間にたどり着いた。ここは雨天時や修練所がごった返した場合に臨時で第二修練所になることもあるためそれなりに広い造りになっている。


 加えてこのフロアに限っては隣の女子寮と繋がっている。つまり女子も修練所を使うのだ。男女共同ともなるとその数だけ修練に使用される武器が増えるということになる。それが貸し出し武器が不足する原因の一つになっている。みんな勤勉だね。

 

 そしてここで武器貸し出し用紙にそれぞれの貸し出し武器に備え付けられたロットナンバーと自分の名前を書き込むことで倉庫から武器を借り受けることができるのだが…。


 倉庫の鍵、開いてないわ。そりゃそうか。こんな時間に武器を勝手に持ち出してよからぬことを企む者がいないとも限らないわけだし。ですよねー。当たり前か。


 となるとそうだな、ちょっと気になってた大浴場に行ってみるか。なんでも源泉かけ流しで何時でも湯に浸かれるとかいうこの寮の目玉の一つらしいし。…ラノベの世界のハズなのに結構日本かぶれしてて違和感ありまくりだけどな。


 などと考えていると不意にガラリと戸を開ける音が響いた。そちらを見やると無造作に髪を束ねた背の高い女子生徒が入ってきた。俺が入ってきた入り口とは逆側の入り口なのでニアの状況の男性版なんてことがない限り女子生徒で間違いない。


「おや、珍しい。いつもこの時間は私の貸し切り状態なんだが」

「あれ?ひょっとしてこの時間って使っちゃまずかったですかね?」


 彼女の言いぶりにひょっとして時間分けとかあったのだろうかと思ったが彼女は「いやいや」とすぐに否定の旨の言葉を返してきた。


「私がいつも決まってこの時間に修練所に来ているだけだよ。少なくとも今日までの寮生活でこの時間に鉢合わせたことはなかったかな。君は、見ない顔だね。新入生かな?」


 なるほどそういう理由か。しかしいつもって毎日のことか?多分体感三時とか四時頃なんだけど。


「はい、そうです。スレイ・ベルフォードです」

「む!君がベルフォードか!いやいや、入学してすぐだというのにかなり噂を耳にしているぞ。三年生の間でも今結構話題になっている」

「あちゃー、やっぱそうですか」


 いやまぁ、入学初日に決闘したり、記憶喪失になったり、結構強かったはずなのに教官にぼっこぼこにされたりしたもんなぁ。話題にならん方がおかしいか。


 この人は三年生か。ネーシャより上級生とは初めて話をするな。


「情報に疎い方の私でも君の前評判はそこかしこで耳にしていたからな。いざ入学してきてここまで落差のある人を見るのは初めての経験だったよ。あ、馬鹿にしているわけではないのだ。しかし、それほどまでに記憶喪失というのは厄介なのだな?」

「まぁ、そうですねぇ。昨日の件をご存知かどうかは知りませんが剣聖クラウドとかいう人に認められていたらしい剣術はからっきしになってましたね。反射能力とかはそこまで鈍ってないような気がしますが」


「なるほど面妖だな。長年培ってきた技術がすっぽりと抜け落ちるというのは…想像するだけで怖いものがあるな。どうやらベルフォードは私や周囲が思う以上に苦労しているのやもしれんな」


 神妙な顔で気づかわしげに俺をしげしげと見つめる女子生徒先輩に渇いた笑いで応える。まぁでも苦労ばっかじゃなくておいしい思いもしてるからな!サンキューテンプレヒロインズ!君たちがいなければ俺は多分とっくに気がふれてたよ!


「あ、そういえば先輩はお名前はなんとおっしゃるんですか?」

「おっと、これはすまない。本来なら名を訪ねる前に名乗るべきだったな。私はコーデリア。コーデリア・フランツエルトだ。よろしく頼むぞベルフォード」


 コーデリアと名乗った先輩は俺の手を握って握手をしてきた。こちらも負けじと余っているもう片方の手を動員して包み込むようにして握手する。


「こちらこそよろしくお願いします。コーデリア先輩!」



 コーデリア先輩の手は女生徒でありながらも結構ごつごつしている。会長の手を握ったときも同じような感想になったが、会長よりも数段修練を積んでいる者の手をしていた。


「うむ。鍛え抜かれた良い掌をしているな」

「俺には鍛えた記憶は一切ありませんがね。先輩こそ可憐な見た目に反して相当な修練を積んでらっしゃるんじゃありませんか?」

「自慢ではないが毎日ここで槍を振っているからな…待て。今、可憐とか言わなかったか?」


 あ、これもしかして地雷踏んだやつ?いや、慌てるな。スレイのイケメン力を信じろ。魅力ゲージMAX(想定)の俺ならごり押しで行けるハズだ!


 それに嘘ついてないしな。髪型は適当に縛っているだけって感じだがご尊顔は怜悧に整ってらっしゃるし、背の高さに比例したいい感じのサイズのバストとかグッときますね!


「言いましたよ?先輩は可愛いです。かっこいい寄りの可愛いですね」

「む、そ、そうか。いや、今まで理想の王子様とか女の皮という甲冑を身につけた修羅騎士とか言われていたからな。世辞でもそう言われると、うむ、調子が狂うな!」


 照れ隠しなのかコーデリア先輩は乱暴に握手を振りほどくとそっぽを向いた。この人性格もちょっとかわいいかもしんない。……修羅騎士って何だろう。




明日10月10日も0時投稿予定です。

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