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テンプレ主人公は偉大だった!?(プロト版)  作者: トクシマ・ザ・スダーチ
テンプレ主人公になっちゃった!?
40/62

スレイとハイセの個人レッスン②

40話です。

「じゃあ今度は魔術、魔力循環と魔力纏衣について教えてくれ。フィーネがどっちかが得意だった覚えがあるだけでどちらにどんな効果があるのかも知らないんだ」


 いつまでもハイセの胸ばかり見ていても仕方がな…くは俺個人としてはないのだが時間は有限。断腸の思いで俺は質問を次に移した。


 さて、魔術については昨日から何となしに気になっていたことだ。そもそも魔術と精霊術とは別物なのか?昨日の授業の時は質問できる雰囲気ではなかったしなぁ。


「ふむ。確かフィーネが得意としておったのは魔力循環の方じゃったか。お主の実家があるベルフォード領で抱え込んでおる魔力循環の達人に教えを乞うていたのじゃったか」


 そういえばニアとフィーネとで出身地の話をしたときに一緒に話題にチラッと出てたな。そうか。ベルフォード領にフィーネの師匠キャラがいるのか。覚えとこう。


「ああ、話がいきなり逸れたの。魔術とは主に体内の魔力を利用した術じゃ。己の中で発露する魔力を纏うか循環させることによって自分を強化できる。纏えば身体や武具などの装備の硬化、循環させれば身体能力を一時的に底上げできるのじゃ。それぞれ前者が魔力纏衣、後者が魔力循環じゃ。魔力を消費するので使うほど精霊の顕現時間が減る諸刃の剣となっておる」

「なるほど。使いすぎは禁物か。でも覚えておいて損はなさそうだな」

「昨今はむしろ必須技術じゃぞ。魔術が開発されるまでとされた後の100年間では魔獣による死傷者の数が半減したからの。必ず体得しなおせ。しかし、実に恐ろしきは人の知恵というやつじゃな。この新技術には妾も舌を巻いたものよ」


 最新の電化製品の性能に感心する主婦のような態度でハイセはうんうん頷いている。100年前といえば割と最近の話だな。えーっと?確かそれまでは魔法とやらを使っていたとかあの立派なサンタクロース髭の爺様先生は言ってたか。


「じゃあ魔法って何なんだ?今言ってた二つとはまた違うんだろう?」

「うむ。魔法は魔力纏衣と魔力循環が開発される前の精霊術師のサブウェポン的存在じゃった。契約精霊だけで有効打が望めぬ時、周囲に漂う精霊の力を借りてその精霊の司る力を行使、現象を起こすのが魔法じゃ。しかし、契約精霊を行使するのとでは精度、燃費、威力がどれも微妙なものでな。本当に緊急時の自衛措置の技術じゃった。当たり前じゃが都合よく起こしたい現象をつかさどる精霊がそばにいるかどうかもわからない、というのも欠点でな。前述の二つの技術に押されて今は専門の使い手は見なくなったの。昔はその技術自体を魔術と呼んでおったが細分化のため今は魔法と呼称されておる。ま、古い技術となってしまったが使えて損のない技術といった程度じゃ」

「それであの爺様先生は覚えなくてもいいって言ってたのか」

「本当に微妙じゃからのう。例えば火の契約精霊に1の魔力を与えて引き起こせる現象を魔法で再現するとなると5の魔力を倍の時間注いでやっとこさ発動、みたいなもんじゃからなぁ」

「微妙すぎだな!というか弱い。そりゃ専門の先生もいらない子扱いするわ」

「それでも過去には使えたことで凌げた窮地もないことはない事例もあったそうじゃぞ。覚えておくとここぞという時の突破口になるかもしれぬぞ。まぁ大体魔力纏衣と魔力循環で事足りるが」

「とどめを刺さないで上げて!」


 魔法、不遇すぎだろ。ファンタジーものと言えば剣と魔法のハズだ。その魔法がこんなにヘボいものだとは…ちょっとショックだぞ。しかも俺は剣の技術ないし。


 俺ってファンタジーなラノベの主人公やってるはずだよなぁ?俺、剣も魔法も使えないんだけど。本当にここはラノベの世界なのか不安になってきたな…。


「魔術についてはこんなもんじゃろ。まだ聞きたいことはあるかの?」

「じゃあ、この世界の技術力について教えてくれ」


 これについてはこの世界に意識を持ってからずっと気になっていたことだ。闘技場や学生寮の建築技術に大型モニター、マイク。シャワーやトイレに券売機、蒸気機関車。その他諸々。


 どれもこれも日本ではよく見る技術だが色々ちぐはぐな印象を受ける。例えばこのくらい技術力があるのならそろそろ馬車は廃れて自動車が進出してきてもおかしくないと思うんだが。


 と考えての質問だったのだがハイセは微妙に怪訝な、それでいて困った表情をしている。


「うーむ。何と言えばよいか、お主のその質問は漠然としすぎじゃな。まるで隔離された場所からいきなり町中に放り出された者がするような質問じゃな」

「記憶喪失ってそういうもんよ」


 まーた墓穴掘るところだった!しかし声は震えずに応答できた。俺の演技スキル日増しに上がっていくな。あんまり嬉しくないけど。


「まぁそうなんじゃろうな…。しかし、どう答えたものか。昔と比べれば大幅な技術躍進がこの100年間にはあったのじゃがその昔をお主は知らんしな」


 俺のセリフはそういうものという体で受け止めたらしいハイセはやはり思案顔だ。少ししかめっ面になっているがこれはこれでとてもよろしい。俺の琴線にビンビン触れますわ。


しばらく考え込んでいたがハイセは「思い出したぞ」と呟いて俺に向き直る。


「そういえばお主、週末はネーシャとフィーネとで学園都市に行く話をしておったではないか。そこで見聞きしてきたことが全てじゃぞ!」

「雑!雑だよハイセ!せめてなんかこう、他に補足とかないんですかね?」

「補足、補足なぁ…。そういえばさっきも言ったようにここ100年間の技術躍進は目覚ましいものがある。それは偏に魔物の侵攻が激しさを増したのが原因じゃ。しかし近年の技術躍進は目を見張るものがあるぞ。あの汽車なる乗り物が最たる例じゃな。最近では馬が引かずとも荷車だけがひとりでに走る自動車なるものの開発研究が進められているらしいのじゃ。妾にはどうもよくわからんが人の世はいつの間にかうつろうものじゃしなぁ。それにしても若干とはいえ魔獣との戦いも優勢となってきたというに新技術の開発が留まるどころか加速しておると感じるのう。稀代の天才科学者が頭角を現したのやもしれぬな」


 ハイセの補足に心臓が早鐘を打っているかのように高鳴る。


 それ、ひょっとして俺以外にも異世界から来た誰かがいるんじゃないか…!?


 いや、まてまて。発想を飛躍させるな。今の俺の思考回路は昔の地球で電球を開発したエジソンさんを異世界人だと疑っているのと同じようなもんだ。ホームシックに駆られて、あるいは俺という事例を引き合いに出して無理やりこじつけたようなもんだ。あくまで可能性。その可能性があるというだけだ。


 しかしその可能性があるならいるものとして行動を心掛けた方がいいかもしれない。その稀代の天才とやらが悪人でない保証はないのだから。悪目立ちは避けなければ。少なくとも学園街外では問題を起こさないように気を付けよう。うん。


「なんじゃ、黙り込んで。そんなに妾の説明が不服だったか?うーむ、しかし他に妾は答えを持たぬしなぁ…」


 思考に没頭してハイセにいらぬ誤解をさせてしまったらしい。ああ、なんかしゅんとしてる。だめだ。可愛い。


「あ、いやそうじゃないんだハイセ。すごく参考になったから色々考えてたんだ。その稀代の天才科学者ってのは何者なんだろうなーとか」

「おお、参考になったか。うむうむ。ならば良いのじゃ」


 一転して花が咲いたような笑顔を浮かべるハイセ。こいつ、萌え豚の餌がなんであるかを心得てやがる…!


またまた一件ブックマーク登録が増えました!これからもご期待に沿えるよう頑張りたいと思います!


明日も0時投稿です!

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