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テンプレ主人公は偉大だった!?(プロト版)  作者: トクシマ・ザ・スダーチ
テンプレ主人公になっちゃった!?
27/62

尽くすタイプ(過剰)

27話です。まだまだ本格的な戦闘はありませんw

「や、やっと昼飯だ…」

「お疲れ様だね。スレイ」


 ニアが肩を叩いて励ましてくれるが俺は割とグロッキーである。


 午前の4科目の魔術学、地理学、数学、歴史学をどうにか乗り切ったわけだがこの4科目で一番マシだったのが割と苦手だった数学という事実に驚愕を禁じ得ない。


 魔術学は言わずもがなである。


 地理学はこの辺の地形がどうなっているだとか、ここでは○○な精霊術が有効だとかいう授業だった。周辺地理の情報が皆無どころか学園内でこの世界が完結している俺にはどうにもならない授業であった。


 歴史学は書いて字のごとく、このゼルヴィアス王国の歴史について学ぶものだった。初代の建国王は誰々だとか、王国になる前は大きな牧草地帯だったとかいう大変ためになりそうなお話だった。前知識があればな!


 そして癒やしタイムの数学。スレイの年齢は高校一年生であるが、授業内容は日本で言うところの中学二年生相当だった。こればかりは数年前まで高校生をやっていたこともあり、他の授業よりも捗った。俺からすれば復習みたいなもんだがこれはこれで有意義である。


「同志ベルフォードは武術も勉学も得意な文武両道であったが、今は頭の中身がレンコンのような状態であるしな。仕方ないと言えば仕方ない。とりあえず情報更新しておくとしよう」

「まぁ、頭がスカスカなのは否定しないけどせめてスポンジとかに言い回しを変えて欲しい」

「次案としてはヘチマだな」

「なんなのその覚えて楽しい植物シリーズ」


 謎の植物推しはともかく、これはヤバい。本格的に勉強しないとスレイの単位がヤバい。同級生だった友人が先輩になるとか冗談じゃねぇぞ。気を遣うのも気を遣われるのも辛いとかいう誰も得しないアレだぞ。


 試しにニアが先輩風吹かすところを想像してみろ。きっと酷いぞ。


『あ、スレイお疲れ様!僕がスレイの先輩になるなんて思いもしなかったよ。勉強苦手?ふふ。僕が教えてあげようか?普段からかわれている分、びしびしやるからね!』


 …あれ?意外にいいかも。


 いや、いや、まてまて。学年がズレたら寮の部屋割りもズレるかも知れないじゃないか!それはいかんでしょ。せっかく神(作者)の采配でおいしい思いができそうな状況だというのにそれを手放しちゃうとか。あと俺以外にニアのフォローをうまくできるやつはいないだろうし。(独占欲&自惚れ)


 結論。勉強しよう。今後もヤバそうな教科(例えば外国語)は出てくるだろうがなんとか頑張るしかねぇ。昨日までの「スレイ」を積み上げて形成していたスレイ・ベルフォードの偉大さが良くわかる。


 だが挫けてはならない。何の因果か今は俺がスレイなのだから。スレイという主人公になったから頑張ろう、というわけじゃない。このまま「スレイ」として一生を過ごすことになろうと、いずれこの身体を「スレイ」に返すとしても邁進することに損はないのだから。


 まぁそんな真剣な感情ばかりで考えてはいないが面白おかしく生きて行くにもやっぱり努力は必要だろう。主人公にはなれなくても構わないが、笑って生きていけるように努力はしよう。せざるを得ない。


「スレイ!スレイ!お昼!お昼よ!ランチタイム!学食に行くわよ!今すぐに!」


 俺が勉強に対する決意を新たにしたところで2組の教室の戸が勢いよく開かれフィーネが俺のところまで文字どおり一足飛びでかっ飛んで来た。相変わらずなんなのその膂力。


 そう言えば毎時間の休憩時間に遊びに来るようなことを言っておいて全くそんなことなかったな。何かあったんだろうか。


 フィーネの焦った表情も気になる。まるで何かから逃げようとしているような風にも見える。


「あ、フィーネさん。こちらにいらしたんですね。見失ったかと思いました」

「ヒッ!?魔力循環最高出力で移動したのに追いつかれた!?」


 突如、俺には知覚できないいつの間にか、ミッシェル・メライソンがフィーネの背後に現れたのだった。というか魔力循環?ひょっとしてフィーネの不可解な膂力の正体は魔術とやらの力なのかしら。


「昨日は本当に助かりました。あのまま誰の助けもないまま沙汰を下されていたかと思うと夜も眠れないところでした」

「わかった!わかったから!その話休憩時間の度にしてるから!そろそろ痴呆のおばあちゃんでも既視感を感じる頃だから!だからラメイソンさん、そんな気に病まなくていいのよ!?」

「そうなんですか?では何か私にできるお礼はありませんか?」

「もうしてもらったから!ジュースもおごってもらったし、取り損ねた授業ノートも見せてもらったし私の代わりにトイレにも行ってもらった!」


 もうそれ完全に頼み事のネタ尽きてるじゃねぇか。


「そうですか?では私に何かできることはありませんか?お礼がしたいんです」

「イヤァー!スレイ!助けて!朝からずっとこの調子なの!もうお願いしたいこともないのにこんな感じなの!終わりのないマラソンでもしてる気分なの!」

「お、おう。おつかれ」


 ちなみにこの短いやりとりの間にジャックは視界から消えていた。逃げやがったな。ドジャーは購買へとメンチカツサンドを狙って教室を飛び出して行っている。


「あれ?貴方はひょっとして昨日、フィーネさんと一緒に私を助けてくれた方でしょうか。お名前はたしかスレイさんでしたね?」


 …矛先がこっちに向いた!


 朝もお会いしましたよ、とかつっこみたいところだがわざわざやぶ蛇することもないだろう。


「昨日はどうもありがとうございました。おかげで助かっちゃいました。お礼がしたいのですが、何か私にできることはありませんか?」


 フィーネの置かれていた状況が完全にこっちにシフトした!いや、しかし落ち着け。これは本当に悪いことなのか!?当然のように美少女のミッシェルがなんでも(なんでもとは言ってない)お礼してくれるって言ってるんだぞ!?ここは主人公的にはエロい要求をすべきでは。視聴者サービス的な意味でも。私的なサービス的な意味でも!


「お礼か。そうだな。何がいいかな」


 ふふ。昨日会長と馬鈴薯のおバストを数回揉ませて頂いたところだが男の欲望とは尽きぬもの。今回は自重も何もなくじっくりねっぷりと揉み倒してやろうか!よし、それがいい!大丈夫。やはりイケメンなら、ましてや合意の上なら当然許される!


「お礼だって。フィーネさん」

「お礼だって。ニア君」

「きっとあれね、いつものアレを要求するつもりだわ」

「そうだね。きっとまたメガネをかけさせる気だよ」


 …人が意気込んだところで水を差すのはやめていただけますかねぇ!?


 いやまぁ彼女もまたまごう事なき美少女であることは確かなんだが。濃紺でたなびくような長髪、制服の上からでも窺える形の良い乳、髪色に合わせたかのようなきらめく碧眼、大きくもなく小さくもない丁度いいサイズの形の良い乳、チャームポイントの泣きぼくろに呼吸する度に上下する形のいい乳…。


 いや、確かに俺はメガネの似合う女子が好きだ。しかし俺は同時に男でもある。頼みを聞いてあげるよ、と言われて食指が動いたのが今回は彼女の胸部装甲だっただけの話なのだが。


 ミッシェルはメガネが似合いそうな容姿をしているがそれ以上にドストライクな理想に近い乳の持ち主だったのだ。おっぱい揉みたい。


 …だと言うのに。


「僕も昨日要求されたからわかるんだ」

「え?スレイったら男女見境無しなの?かわいくてメガネが似合いそうなら誰でもいいの!?それはもう変態なんじゃ…」

「うぇぇ!?あ、いや、多分性別見境無しってことはないと思う、けど?」

「でもニア君はかけてって頼まれたんでしょ?じゃあ見境無しじゃない。かわいくてメガネが似合うなら誰でもいいってことじゃない」

「い、いやその、ね?ていうかかわいいだなんて…えへへへ」


 フィーネと一緒に俺のメガネ好きについて議論しながらなんか勝手に墓穴掘りかけているニアが困り顔と笑顔を混ぜた表情でこっちを見てくる。お前情報管理ガバガバかよォ!?このままだと性別バレそうな予感がしないでもないし、フォロー入れとくか。


「まぁ、俺は男とか女とかそう言う区別はしない。ただそいつに似合うメガネを選んでやるだけさ。かわいいとかはあんまり関係ない」


 まぁ嘘だが。かわいいは重要だが。


「…記憶を失ってからのスレイのメガネ愛が尋常じゃないんだけど。まるで何かに憑かれてるみたい」

「キノセイダヨ」


 俺が墓穴掘っちゃってるじゃねぇか!いや、落ち着け。確証はないはずだ。記憶喪失が嘘であることも鈴木康太郎の魂が入り込んでいることもこの場で立証はできないはずだ。ダイジョーブ。


 フィーネの思案顔が視界の端に入るが気にせず、俺はミッシェルに向き直る。


「で、俺の頼みなんだが、ふふ。メガネをかけていただこう」


 ぶっちゃけ不本意ではあるが空気的にこれしか要求できねぇ…。くそぅ…頼めば乳揉ませてもらえそうな雰囲気なのにもったいねぇ…。


「メガネ、ですか?」

「メガネをかけていただこう。いいか?こちらが指定したメガネをかけるんだぜ。勝手に変えたりしちゃだめだぜ。そして俺が指示したら別のメガネをかけるんだ。その際それまでつけていたメガネはこちらが頂く。メガネはこちらが自費で用意しようじゃないか。期限は俺か君が卒業するまでだ」

「わかりました」


 わかっちゃうのかよ。これまでのパターンならここで要求を受けた側がのけぞる場面なんだが、なんか調子が狂うな。


「では、他に私にできることはありますか?」


 あぁそうか。ループするんだっけ。面倒だな。じゃあ地球のサブカルチャーで培った技の一つを披露しようか。


「…自分の席で昼飯を食べてきてくれ。君の腹が満たされるのが俺の望みだ」

「わかりました。それでは行ってきます」


 とまぁこのように面倒なキャラはお互いにデメリットのない指令を与える形で追っ払うのが正解なんですな。なんかすっごい気疲れしちゃったぜ。


「行ったみたいね。や、やっと解放されたわ…」


 フィーネがため息を吐くがこれフィーネが教室に戻ったらまたさっきの状態に戻るのでは。…俺は困らないしいいか!(外道)


 こうしてようやく、といった感じで俺たちは教室を後にして学生食堂へと向かうのであった。



明日からは午前0時に投稿する感じで行きます。

筆がノリノリの時はゲリラ投稿していく所存です♪(*´з`)

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