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テンプレ主人公は偉大だった!?(プロト版)  作者: トクシマ・ザ・スダーチ
テンプレ主人公になっちゃった!?
26/62

魔術

26話です。ちょっと短めです。

 ジャックの情報力は一抹の不安以上のものを感じたが貴重な情報源ではある。


 まぁちょっと今の情報を整理してみよう。


 どうやらスレイの家族ってばそこそこ大所帯であり、姉はともかく、祖父母、両親、兄、そして妹までいるらしい。これは重要ですよ!祖父母が隠居している別荘まであるとかアパートの一室を城にしていた俺にはちょっと想像がつかないぜ。貴族ってのはみんなそんな感じなのかな?


 で、気になってた二つ名の数だが…俺の予想よりかなり多い数の二つ名がついているらしい。もう二つ名って何だっけってレベルなんですが。


 残りの情報は大体俺の知識と相違なかった。やっぱり元のスレイはかなり主人公と言えばこんな感じ、というテンプレに乗っている。…最後の方の精通だのなんだのは一端置いておく。


 そんなことを考えながら教室の一部でわいのわいの言っていると不意に一際大きく鐘が鳴った。鳴って数秒もしないうちに教師服に白衣という独特のテイストの先生が入ってきた。どうやら始業の鐘だったらしい。


「あー…、と。なんだっけ。あぁそうだ、席につきたまえ諸君。始業の時間だ。ホームルームを始める」


 金髪の天パで咥え煙管の気だるそう女性が心底面倒くさそうに教壇に立ってそう言った。というかセレナ医務教官だった。


 セレナ医務教官の登場により席を立っていた生徒が粛々と自分の席へ戻っていく。ジャックもドジャーもニアも自分の席へと戻った。 


「全員席に着いたかな。えーと、なんだ。あぁ、今日から一応君らの担任らしきものになるセレナ・キュートドライブだ。医務教官も兼任してる。先生とでも教官とでもセレナちゃんとでも好きに呼ぶといい。以上」


 それだけ言うとセレナ先生は教壇に突っ伏す。お疲れなのだろうか。らしきものとは一体。あと、家名がなんだかかわいらしい件について。


 突然教壇に伏せてしまった教師を目に、2組生徒達はざわざわと色めき立ち始める。「最初のホームルームって自己紹介とかしないっけ?」とか「医務教官が担任兼任してて大丈夫なの?」とか大体似たようなことを近くの生徒達と小声でやりとりしている。高校時代俺もやったわー。


「あ、そうだ言い忘れてた」


 また唐突にセレナ先生が顔を上げて何事かをつぶやく。なにか教師らしいことをするのかと生徒達は興味津々に先生を見つめる。


「いや、そんなに見つめられても大したことは言わないよ。あー、と。スレイ・ベルフォードってこの教室にいるだろ?そいつ昨日から記憶喪失だからその辺よろしく頼む」


 それだけ言うとセレナ先生はまたスリープモードに移行した。


 対して教室に投下された微妙な速度で落下した爆弾は間をおいて広がりを見せる。


「記憶喪失!?あのベルフォード辺境伯家次期当主が!?」

「まさか本当に!?さっきのはジェラードの戯れ言じゃなかったのか!」

「そんな!これはスレイ親衛隊設立以来の大事件よ!幹部会議を打診しなくては!」


 そんな声が聞こえる。早速13ある二つ名の一つが発覚した。そういえばスレイ親衛隊とかあったんだったな。あの見目麗しいモブ子ちゃんも会員だったりするのだろうか?イケメン主人公すげぇ。自分の身体じゃなければもげろと叫んでいるところだぜ。


 あれ?スレイが次期当主ってことは俺の兄貴はどっかに出家でもしちゃったんだろうか?まだ授業も始まってないのに調べることが山積していくな…。


        ☆☆☆


 その後の休憩時間は美男美女のモブに押し寄せられて「大変だろうけど強く生きてね!」とか「困ったことがあったら聞いてね!」とか「記憶喪失ってどんな感じ」とか励ましの言葉や質問を受けたが平和的に終わったので良しとしよう。


 で、今はこの世界に来て初めての記念すべき授業なのだが。


「…-で、あるからして魔法のみを主力とした旧来の魔術は廃れ、皆さんのご存じのように魔力循環や魔力纏衣が台頭してきたというわけですな。現在の基本魔術技法はその二種類が主流となりましたが、魔法が全くの無用の長物ということはありません。こと、外界や郊外、戦場においては何が幸いするか未知ですからな。選択肢を増やすという意味でも魔法もある程度は習得しておくとよろしい」


 白い髭をサンタクロースのようにわしゃわしゃと生やした優しそうな表情をした老人が良く通る声で授業を進めている。一限目は魔術学だそうです。


 はいどうも。絶賛困惑中な現場のスレイこと鈴木康太郎です。


 いや、なんなの!?いきなり魔術とか言われても困るんですけど!精霊術はどうなっちゃったの!?周りのクラスメイト達は「今更何を」という表情をしていた。ダメだ。質問できる雰囲気じゃない。まりょくじゅんかん?まりょくてんい??一体何を言ってるんだ。


 いや言葉尻からなんとなくは察せるけど基礎知識がないから判断つかねぇ!中二心をくすぐる事柄を覚えるのは得意だが知ってることを前提とした授業にはさすがについて行けないわ。


 これはあれだな。図書館的な施設を探してお勉強をする必要性が出てきたな。勉強はあまり得意じゃないが仕方ない。これからの生活に関わることだしな。数式を覚えるよりはゲームのフレーバーテキストを覚える方が得意だったしなんとかなるだろう。…なるといいなぁ。


 それにほら、図書室でメガネを着装した素敵なヒロインと知り合える可能性だってあるし!お、なんか急にやる気が湧いてきましたな!やっぱ何事も楽しみを持ってやらなきゃな!好きこそものの上手なれってやつだ。ちょっと違うか!


 愚にもつかないことを考え始めたところで授業の終わりを告げる鐘が鳴った。



次話は明日の8時です。

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