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真・恋姫†無双 ~緑に染まる黒の傭兵~  作者: forbidden
拠点フェイズ5.益州にて其の三
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拠点フェイズ5.恋、ねね

「恋と一緒に行けば良いのに」


庭に面した廊下の手すりに寄りかかりながら言った。


「恋殿は今はお昼寝中なのです。起こす訳にはいかないのです」


裾に手を隠したいつもの姿でねねは残念そうな顔を隠さなかった。

職務の合間の休憩中だった。

昼はとっくに過ぎ、おやつ時くらいのほのぼのとした時間帯だ。

城の庭が俺はお気に入りで、よく休憩にはここに来て眺める。


「まあ、そしたら俺も起こさないけどね。でも他にいなかったの?」


「恋殿の次は雛斗とねねは思ってます」


「ちなみに一刀は?」


「蟻の次にも置けないのです」


ねねらしい返事に苦笑した。

と言うかねね、何気に大告白したよね。

恋と次は俺って。


「仕事も少しだし、良いよ。俺でよかったら」


───────────────────────


ねねにお願いされたのは市の視察の同行だった。

市の拡張で増えた店や治安の様子などを細かに見るらしい。


「南蛮からの物が流入してきたね。上手くやれば収入が上がりそうだけど」


「値の決め方が難しそうなのです。逆に南蛮へ流入させれば値がつく物があれば良いのですが」


南蛮へ交流しに行ったらしい行商が奇怪な物を並べている。


「収集家には高く売れそうだけどね。南蛮の食物でなにか良いのなかったの?」


「南蛮から連れてきた奴らを見れば分かるでしょうが、あれの味覚が独特ですからなー。南中自体が特殊な土地なため、こちらに流用出来そうな物は少ないですなー」


それもそうか。

南中は暑く密林で特殊な地域。

こちらの土地と環境が違う。


「素直に珍しい物品を扱うしかないかな」


「やはり雛斗を選んで正解なのです。これが霞でしたら、きっとあの珍しい物に飛び付いて視察にならないのです」


「……確かに」


俺はまた苦笑した。

霞がおっ、と言って店に飛んでいく姿が目に浮かぶ。

内政の話は霞には合わないからなぁ。


「亞莎とか氷でも良かったんじゃない?」


「あの二人は別のところを回ってるです。今日は内政に携わる皆で市を回って、後に意見を出し合うのです」


「じゃあ他の皆も誰か連れてるんだ」


「亞莎や氷は武の心得が多少ありますから平気なのです。朱里や雛里はそうもいかないですからなー。それぞれねねみたいに頼んでると思うです」


なるほどね、と相槌を打った。

氷は俺が鍛えてるけど、亞莎は元からなかなか力がある。

元は武官を目指していたらしい。


「ここはもう良いです。あとは東を回るです」


「東は軍備専門の区画だね」


兵の鎧、武器、鐙などを扱う工業区画だ。

軍事に関わる俺もちょくちょく訪れる。


「そう言えば馬上で扱う槍の試作、出来てるかな……」


工業区画という言葉でふと思い出した。

地上と馬上両方で使える槍を考案していた。

馬上だと長い方が良いけど、地上だと使いにくい。


「今日はねねに付き合う約束です。また今度にしてくださると助かるです」


ねねがこちらをちらっと見上げながら言った。

まあ、急ぎじゃないから良いけど。

まだ騎馬隊の調練が仕上がってないから。


「折角街に出たのです。もう少し羽を伸ばしたら良いです」


ん、とねねの言葉に引っ掛かった。

──気を使わせちゃったかな。

仕事の話を口滑らしたから。


「お言葉に甘えて、息を抜きながら護衛はさせてもらうよ」


「ねねに感謝するのですな」


ふふん、とねねが得意気に笑った。

ねねも気にしてくれてるのがちょっと意外だったけど、正直に嬉しかった。

まあ、ホントは恋と一緒の方が良かったんだろうけど。


「恋にお土産屋買っていこうか。御菓子で良いかな?」


「それが良いです! 甘いものが良いです!」


ほら、元気になった。

その様子にやっぱり俺は苦笑いした。

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