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真・恋姫†無双 ~緑に染まる黒の傭兵~  作者: forbidden
第三章.反董卓連合と生きる誓い
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生きる為

∴名前

姓 黒 (くろ)

名 薙 (なぎ)

字 明蓮 (めいれん)

真名 雛斗 (ひなと)


∴武力(MAX6)

騎 4

槍 4

弓 1


∴陣形

偃月陣 騎0 槍4 弓0

衝軛陣 騎4 槍0 弓0

三段陣 騎2 槍2 弓0

横列陣 騎0 槍2 弓2


∴奥義

(Lv?名前 コスト 説明)

Lv1黒煙の狼煙 5

~黒き傭兵の号令の下、敵陣に全軍で突撃する。

効果

~突撃、迎撃、自攻+

Lv2黒き筆頭 10

~先頭を駆ける黒い傭兵の勇姿を見て倒れる兵たちは立ち上がり、連携して敵に当たる。

効果

~自軍計略無効、自兵+

Lv3黒龍の奇襲 15

~天性の軍事の才と培った経験を併せ持った黒い瞳が隙を見出だし、大混乱を引き起こす最強の奇襲攻撃をかける。

効果

~敵兵-、敵攻-、数日敵兵-


詳細:

未来から来た少年。

しかし、そのことを最初は廬植と黒永にしか話さなかった。

山の寺で身体を鍛え、廬植に軍学を教わり、司馬徽に軍事の才を見出だされる。


容姿はくせのない少し長めの黒髪に、黒い瞳のパッチリした目の、整った少し幼い顔立ち。

背は一刀よりちょっと低いくらい。

服装は黒いシャツを腕捲りして、黒いスラックスを着たさっぱりした格好をする。

左利きのため、右腰に黒い鞘の剣を差す。

性格は前向きで優しく、先読みが鋭い。

女性との付き合いは悪くないが、ある一定のラインから進まないところがある。

戦ともなると先頭を駆ける猛将となって兵たちを率いる。


武器は柄や矛を真っ黒にした長さ2mほどの槍を使う。

強さは趙雲と互角と思われる。

歩兵と騎兵が得意。

特に奇襲や夜襲を得意とする。

弓は火矢ぐらいにしか使わない。

若いながら軍事の経験豊富。

汜水関、防衛失敗。

しかしそれは、俺のせいでもないし霞のせいでもない。


「守れば勝ちやったのに」


霞が苦々しげに言葉を吐いた。

汜水関を後にして後退している途上だった。

陽がまだ上がりきらない午前中で、苦味に眉がひそむのに追い打ちをかけてくる。


反董卓連合軍は大軍が故に、兵糧の消費が膨大なはずだ。

籠城すれば兵糧がなくなり、そこを全軍で突き崩せば勝てた。

なんといっても汜水関は虎牢関と並んで堅固な関所なのだ。

そこを華雄は汜水関を出て攻めた。

先鋒の軍の挑発に誘われたのだ。

攻めると言って聞かない華雄に、俺と霞は汜水関を諦め、虎牢関に退くことにした。

他人の愚策に乗って兵を死なせることは、絶対にしたくなかった。


「仕方ない。華雄が攻めると言って俺たちの言うことを聞かなかった」


「せやけどなぁ」


「奴の天命だった、て思うしかない。天命に従ってたら俺たちの兵まで巻き込むになった」


「──せやな。雛斗の言う通りや。ここは気持ち入れ替えて虎牢関守らないかんな」


霞が俯いてた顔を上げてこちらに笑いかけた。


「ホント、あんたは前向きやな」


「気障(きざ)かもしれないが、過去ばかり見てても仕方ない。過去から学ぶものは学んで、これからに活かさなければ」


「気障な奴やな、雛斗」


「うるさい」


ニヤニヤと下品に見えない笑みでこちらを見る視線から顔をそらした。

できるだけ急がないと、汜水関を抜く連合軍が来る。

軍ごとで兵の練度がバラバラで進軍速度が遅いとは思うけど、早く虎牢関に入って迎撃体勢を整えたい。


───────────────────────


「やっと着いたなぁ」


大して疲れてもないはずなのに、うんざりしたように霞は言った。

午後に入った頃には虎牢関に到着した。

ここは猛将呂布が守っている難攻不落の関所だ。

虎牢関自体、堅い守りが出来上がっている。

そこに呂布がいる。

守りは万全なはずだ。

けど、そうも言ってられない。

汜水関が落ち、援軍が見込めないからだ。

籠城は援軍があってこそできる最終手段。

援軍と城や関所から出撃する軍で挟み撃ちにできるからだ。

けど、今の洛陽には軍はほぼ皆無だし、汜水関も落ちた。

籠城して兵糧攻め、と言っても汜水関の兵糧を手に入れた連合軍が容易く帰るとは到底思えない。

力押しに攻められれば、数で遥かに劣るこちらが不利だ。


「まずは恋のとこに行くで」


「誰だって?」


「ああ、あんさん知らんかったか。呂布や。呂布の真名」


「そうか」


とりあえず霞の後をついていった。

董卓軍に属しているとはいっても、ホントに間もないことだ。

董卓軍の武将や兵数といった数的なことは把握したが、実際に武将に会った訳でもない。

霞と華雄が董卓の臣で会うのが、実は初めてだ。

兵に聞きつつ城壁の上に登り、赤髪の少女のところへ向かった。


「恋ー!」


霞が手を振りながら呼んだ。


「……霞」


少女がこちらを見て呟いた。

そちらに歩み寄る。


「……だいじょうぶ?」


「平気や。雛斗もな」


「……?」


少女が首を傾げた。


「ああ、せや。恋は雛斗と会ったことなかったか。こっちの男は黒薙や」


この娘が、呂布。

三国志に疎い俺でも名前だけは知っている三國無双──今はまだ三国にまとまってないけど。

どこかぼんやりした可愛らしい、しかし背丈は霞と同じくそれなりにある少女だ。


「お初にお目にかかる。黒薙、字は明蓮。真名は雛斗。よろしく頼む」


「……恋」


「……?」


いきなり自分の真名を言ったからちょっと拍子抜けした。


「恋は恋って呼んでええ。自分で自分のことを恋って呼んどるし」


「そうか。では、俺のことも雛斗でいい」


そう言ってから手を差し出した。


「……?」


「握手。よろしく、てこと」


「……よろしく」


そう呟いて手を握った。


「仲良しなのはええけど、そろそろこれからのこと決めなあかんで」


霞が場をとりなすように言った。


「籠城は援軍がないから無理や」


「汜水関の兵糧を手に入れたから兵糧攻めも望めない」


霞に続けて俺が言う。

さっそくその場で軍議が開かれる。

しかし、この二人はこの世界でも有数の名将。

その軍義に俺が入っていいものか。


「黒永はどう思う?」


俺は試しに、ずっと後ろに控えていた黒永に訊いた。

霞が多少驚いている。

黒永は気配を消すのが上手い。


「──何を目的にですか?」


「そら勝つ為以外になか」


霞が即答した。


「では、私には思いつきません」


そして黒永も即答した。

虎牢関に到着するまでに、黒永も俺も如何にして連合軍と戦うか考えていた。


「それ以外に考える、ということだな?」


「御意」


黒永が頭を下げた。

もう、そこ以外には突き詰められなかった。


「どういうことや?」


霞が端整な眉を潜めながら訊いた。


「霞には勝つ方法は思いつくか?」


「──いや」


霞がちょっと考えたけど、頭を横に振った。


「恋は?」


「……(フルフル)」


恋も横に首を振った。


「なら、次を考えた方がいい。次は何か──おそらく、生きることだろう。戦を前にして生きることを考えるのは、武人の恥だとは思うが」


「……(フルフル)」


すると恋がまた首を横に振った。


「……雛斗は間違ってない。みんな、生きた方がいい」


「せやな。ウチかて死ぬ為に戦いとうない」


「よかった。──黒永、生きる為の策は?」


「そこまで私には思い浮かびません」


「なんや、妙策でもあるんやと思っとったのに」


「私は黒薙様の質問に答えたまでです」


そうきっぱりと返しはするが、黒永だって考えに考えた。


「じゃあなんや? 雛斗は最初から勝てないと考えとったんか?」


「流石にそうは言わない。順を追って考えただけだ。言い訳がましいがな」


「……雛斗は正しい」


恋が言った。


「恋の言う通りや。勝てないんやったら、生きる方法考えるのは当たり前や。そして、ウチら三人はみんなに死んで欲しくない、て思っとる」


「じゃあ、考えよう。生きる為の策を」


二人は頷いた。

勝つ為じゃなく、生きる為に戦う。

生きる為には勝て、と言う。

勝つことと生きることは似ているようで似ていない。

そして、今は勝てない、けど生き延びる──今は、そんな状況にあるんじゃないか。

たった今知り合って間もないけど、恋と霞には死んで欲しくない。

もちろん、黒永にもだ。

みんなが生きられる策を考えないと。


まだ見えない連合軍の来る先を、俺はじっと見つめた。

風で砂塵が舞っていて、遠くの山を隠していた。

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