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真・恋姫†無双 ~緑に染まる黒の傭兵~  作者: forbidden
拠点フェイズ2.徐州にて
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拠点フェイズ2.愛紗

ガチャガチャ


午前中の最中、自分の部屋で仕事をしていたら、いきなり鍵のかかったドアノブが動いた。


コンコンッ


次にノックの音。


「雛斗、ちょっといいか?」


聞き覚えのある声が俺を呼んだ。


「愛紗? ゴメンゴメン、いつも鍵かけててね」


ドアに歩みつつそう言って、鍵を開けてドアを開いた。

すると書簡をいくつか抱えた愛紗が立っていた。


「すまない。少し意見を訊きたくて」


「まあ、その卓にでも荷物を置いて」


「すまない」


一言謝りつつ、愛紗は俺の部屋に入って卓に書簡を置いた。


「例のケンカの件だが……」


仕事の席に戻る背中に愛紗の声がかかった。

椅子に座りつつ、少し記憶を探る。


「……ああ、涼州兵? そうだね、星に……いや、北郷殿に決めていただこう」


董卓軍の兵、涼州兵が環境の変化にイライラしているということだろう。

董卓……月と詠に会ったのは袁術軍を追い払った後だ。

会ったときはかなり驚いたものだ。

それからは普通に話すようになっている。

なんのわだかまりもなく。

北郷が

「どうやったら詠と普通に話せるようになるんだ?」

って俺に相談するくらい。


ちょっと考えてから言って手元の書簡に目を移した。

まだ仕事はちょっとある。

愛紗の仕事だけど前も言った通り、桃香と北郷に頼まれて手伝っている。


「ご主人様に? 何故だ?」


愛紗が眉をひそめたようだ。

仕事の手を止めて椅子を愛紗に向ける。

愛紗は卓の席に座って一つの書簡を開いている。


「星に任せれば元からいた劉備兵と涼州兵、どちらにも甘くすることなく統率すると思うよ。北郷殿がそれに気づくかどうか……」


「試すと言うのか?」


「試す、と言うより練習だよ。見たところ北郷殿はまだ仕事に慣れていない、と思う」


「なるほど、仕事に慣れていただく訳か」


「どう裁くか。わからなくても、北郷殿がどういう行動をとるか。それに慣れていただかなければ、これから先続く仕事に耐えられない。頂点に立つお方なのだから」


「……そうだな。雛斗の言う通りにしてみよう」


ちょっと考えてから愛紗が頷き、書簡を閉じた。


「案件としてご主人様に提出してこよう。ついでに、訳もわからず私のところに辿り着いた、軍事に関係のない案件もご主人様に裁断してもらう」


「……ちょっと内容見せてよ」


内容によってはホントに北郷じゃ判断できないかもしれない。

愛紗からいくつかの書簡を受けとる。


「えーと、開墾作業経過と──」


「いつもすまないな、雛斗」


「いきなりどうしたの?」


突拍子もなく言われて聞き返した。


「いや、前も言ったが私の仕事だというのに手伝わせてしまって」


「だから気にしないで、と言ったのに」


「それでも申し訳が立たない。雛斗には別の仕事がある、なのに」


「何度も言うけど、気にしない。それに仕事があるとはいえ客将の仕事なんてそんな多くないよ」


「だが」


「申し訳なく思うんだったら、ありがとうってお礼言われた方が嬉しいよ」


「──そうだな。いつもありがとう、雛斗」


ようやく笑みを浮かべた愛紗に笑って、再び書簡に目を落とした。

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