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真・恋姫†無双 ~緑に染まる黒の傭兵~  作者: forbidden
拠点フェイズ1.北平にて
11/160

拠点フェイズ1.黒永

∴名前

姓 黒 (くろ)

名 永 (え)

字 ? (?)

真名 氷 (ひょう)


∴武力(MAX6)

騎 2

槍 3

弓 3


∴陣形

偃月陣 騎0 槍4 弓0

衝軛陣 騎4 槍0 弓0

雁行陣 騎0 槍1 弓3

四段陣 騎1 槍2 弓1


∴奥義

(Lv?名前 コスト 説明)

Lv1三段攻め 5

~精練された傭兵軍の強力な三段攻撃。

効果~迎撃

Lv2ほつれ直し 10

~細かなことまで気を配ることで兵たちが安心し、力を尽くす。

効果~自兵+、自攻+

Lv3偽城の計 15

~騙された敵軍に火矢を浴びせ、士気を激減させる。

効果~射撃、敵兵-、敵攻-


詳細:

黒薙の従者。

実は女性。

洛陽郊外の生まれで両親を病で早くに亡くし、出稼ぎに洛陽に。

従者の募集に応じ、黒薙に仕える。

家事から炊事までそつなくこなす。

何か学を学びたいと思い、黒薙に軍学を教わる。

それから仕事の合間を縫って学にのめり込み、政や国政、商学まで広く学び、政務は大抵の仕事をこなせる。

黒薙と暮らしていくうちに尊敬の念、そして好意を抱くようになったが、それを理解できないでいる。

名前は黒薙にもらった。


容姿はくせのない長い茶髪を首筋辺りで黒い紐で縛り、瞳の黒いちょっと鋭い目をしている。

服装は黒薙に合わせて袖の長い浴衣のような黒い士官服を着る。

少々胸が小さい。

そのためちょっと好青年に見える。

性格はおとなしくて静か。

黒薙に忠誠を誓っていて関羽に似ている。

しかし、黒薙自身隙があまりない為か、怒ることがまったくない。


従者であるため目立つ武器を持てない。

その為、袖に短刀を隠し持っている。

黒薙率いる兵士以上に鍛えられている為、大抵の兵や暗殺者には勝てる。

戦場では剣を使う。


民政などの事務が得意で、洛陽では黒薙の事務仕事をよく手伝った。

「いやぁ、流石やな雛斗~」


兵をまとめていると、霞が笑いながらこちらに歩いてきた。

鏃を砂をつめた袋にした矢、矛を同じく砂をつめた袋にした槍の演習用の武器。

それらを使った原野での軍事演習。

先程やってたのはそれだ。

黒薙軍が二つに分かれて時々やる。

実戦に近くて重宝している。


「しかし、陣を動かすのが速いなぁ」


「俺が兵の中央にいて陣の中心になるようにして、後は部隊長と兵全体に並び方を徹底してるだけだよ」


とはいっても、俺は大体先頭に立って突っ込むけど。

流石に調練の時はそれでは練兵にならないから、先頭で槍を振るうことはしない。


「兵全体に徹底か。その徹底ぶりがすごいんやな。勉強させてもろたわ」


ふむふむと頷きながら霞が言った。

今は城に戻ってきていて、兵舎にいた。

兵たちは昼近くの陽射しを避けて、囲い壁の日陰に思い思いに休んでいる。

霞は俺たちの調練の見学だ。

恋はどっかに行き、陳宮が兵の調練、白蓮は政務に追われ、黒永は俺の調練に加わっていた。

恋が調練やれよと思うけど、まあ恋だしと思って止めた。


「黒薙様。午後はいかがなさいますか?」


兵の様子を見ていた黒永が、水の入った竹筒を差し出しながら訊く。

黒永と俺で兵を半分に分けて調練をした。

黒永は粘って抵抗したものの、俺に突き崩されていた。

陣形を変え過ぎなのだと思う。

陣形を変えている間は兵は無防備だし、何度も変えればうんざりして士気も下がる。

黒永は負けたというのに、けろりとしている。

それでも、夜に兵法書なんかを読みふけるだろう。

その勤勉なところは、読んでは体で覚えてきた俺にはすごいと思う。

面倒臭がり屋だと、自分でわかっていた。

だから、学問も盧植先生の下で習った。

人に指図されでもしなければ、たぶん自分はだらける。

生真面目な黒永にも助けられている。


黒永の竹筒を受け取った。


「今日の調練は終わり。明日は部隊長に調練を任せる。半日ね」


「わかりました。そう、伝えてまいります」


黒永が兵たちの方に歩いていく。

背を向ける時に、結いた長い茶髪が舞った。


「献身的な従者やなぁ」


「俺にはもったいないぐらいだよ」


「雛斗だから尽くすんよ、あれは。兵の動かし方はちょいガチガチやけど、あれは経験が足らんだけやな」


やっぱり見るところは見てる。

あの調練で黒永の軍人としての資質を見抜いている。


「雛斗の側にいればあれは強うなるんちゃう? 従者としては完璧やな。ウチもあんなかわいい従者が欲しいなー」


苦笑して霞に返事した。

俺が空にしたはずの椀に手を伸ばしたら、いつの間にか茶が入っていたりする。

俺の行動は黒永の頭に入っているのだろう。

そう考えると、なんだかむず痒い気がする。

悪い気分じゃない。


「調練終わんのやったら、今から昼飯一緒に行こっ」


霞がそう誘ってきた。

お誘いは嬉しいけど。


「ゴメン。この演習のあと、いつも黒永に兵法指南をせがまれるんだ。だから、また今度頼むよ」


「そか、残念やな~」


その言葉を背に、街に足を繰り出した。

指南と言っても、先の調練の指摘をするだけだ。

白蓮は軍事だけでなく政もできるらしい。

盧植門下なのだから、できて当たり前か。

とはいえ、人並みにだ。

白蓮が自身で言っていたように、彼女には軍師がいない。

文官がいないわけではない。

諸葛亮や龐統、曹操の荀彧みたいな優秀な部下はいない。

その分、白蓮が手を回しているのだろう。

その努力が実ってか、街には活気があった。


「白蓮も大変だな」


そう呟きながら一つの店に入った。

黒永と探して約束した場所だ。

点心が美味しい店だ。


「いらっしゃい、黒薙様」


人の良さそうな女性が俺を笑顔で迎えた。

董卓軍にいたという事実があるにも関わらず、こうした対応を受けるのは「公孫瓚様のご友人に悪い方はいませんよ」ということらしい。

確かに劉備とか趙雲とか、いい人ばかりだけど。


「お一人ですか?」


「いや、従者も来る」


「黒薙様と黒永様は仲が大変よろしく、何よりでございます」


そんなことを言われて席に案内された。

お茶をもらって待っていると、それほど待たずに黒永がやってきた。

演習とは違い、腰に剣はない。

ただ、袖の中に短刀を隠し持っている。

腕は悪くない。

強すぎる、というわけではないけど。


「お待たせして申し訳ありません」


「いいよ。全然待たなかったし」


失礼します、と言ってから卓を挟んで俺の前の席に座った。

すぐにさっきの女将がやってきた。


「ご注文は?」


「点心を二つ。あと酒を頼むよ」


「黒薙様、昼間からお酒は」


「仕事がないんだから、たまにはいいでしょ」


「点心二つ、お酒を一つですね」


そう復唱してから女将は調理場に戻った。


「洛陽では控えていらしたのに」


「今は客将で仕事はもらえないからね」


いつ離れるかわからない客将に民政とか重要な仕事を任せる、というのは愚行だ。

白蓮は俺のことを信じられないわけではないだろうけど、仕事を客将に任せているという事実が街の人に知られたら、街の人は不安になるだろう。

客将は完全な配下、というわけではない。


「あまり、お過ごしになりませんように」


「わかってるよ」


苦笑しながらお茶をすすった。

少し待って、点心二つと酒が用意された。

黒永が徳利を両手で持って俺の盃になみなみと酒を注ぐ。

この動作で頭をひねる人、黒永は女だ。

胸がちょっと小さくて、なかなか整った顔立ちのせいか好青年に見えてしまう。

けど、女。


「こうして酌をしてもらうのは洛陽以来だな。黒永も盃を取れよ。酌をしよう」


「──では、一杯いただきます」


しょうがない、という風に黒永は盃を持った。

盃は俺が持っているのと黒永ので二つあった。

女将が見越していたらしい。


「なかなか平和な世は訪れないな。白蓮には悪いけど、それも世の将士が私腹のため、名誉のため、そして我が我がと天下を狙って次々に各地で台頭するからだ」


「人間というのは、欲で動きますから。生理の欲にしろ、名誉にしろ。互いの欲がぶつかり合う。それが今の乱世です」


曹操にしろ、白蓮にしろ、劉備にしろみんな自身の思惑があって乱世に立っている。

俺はどうかな──何を目指すか。


「ところで黒薙様。先ほどの調練ですが」


黒永はどう考えているのか。

たぶん、俺の意志に従うと言うだろう。


「ああ。陣形を変え過ぎだね。調練を多く積んだ精鋭ならまだしも──」


人々の意志が混ざり合った混沌とした世界。

でも、その中でも民は生きている。

俺も生きている。

今日は黒永の兵法指南、明日はどういう調練をするか考え、白蓮から離れた後の行き先を考え──。

俺の周りはこんなで、この中で生きている。

この生き方は、どこに向かっているのか。

目標、というものを持つべきかもしれない。

これは黒永や霞、恋、陳宮との考えとは別にだ。


「なるほど。もっと兵たちの身になって考えるべきですね」


でも、今は黒永との暮らしを楽しもう。

乱世で、いつ黒永と離れるかわからない。

そこで後悔しないよう、今は黒永と共にいよう。

本当は華奢な女の子のために。

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