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真・恋姫†無双 ~緑に染まる黒の傭兵~  作者: forbidden
第十四章.小覇王と美周朗の欲
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あなたに会いたくて

ここの街も活発になったものだ。

元はここは劉表の治めていた平穏な土地だった。


城壁から街を眺めながらボーッとする。

昼過ぎの街は快晴にさらされてさらに明るさが増したように見える。

荊州は長く戦乱から離れ、広く人工が比較的多い土地だ。

その収益を持ってすれば大勢力の発展も十分に見込めたはずだけど、劉表に天下を目指す意志がなかったらしく、私たちが攻めた時もそれほどの抵抗もなかった。

老人なのだから、と言ってしまえばそれまでだけど。


劉表以下の内政官は生かしてばらばらに散らせて地方の仕事についてもらった。

内政の腕に関しては優秀な彼ら、そして何より荊州に蓄えた豊富な物資をほとんど残して抵抗らしい抵抗もしなかったのだから斬首の考えなんてこれっぽちもなかった。


「……はあ」


そんな平和な街並みを眺めてため息をついた。

お酒を呑んでも憂鬱な気分は変わらない。


「最近の雪蓮は雪蓮らしくないな」


「……うっさいわね」


誰かわかって毒づいた。

自分でもらしくないことはわかってる。

だけど、どうしようもない。


「また考えているのか?」


わかっているくせにそう訊いてきた。

隣に立った冥琳はそんな私の様子を気にせず、同じように街を眺める。


「……黒薙が頭に浮かんで離れない」


「はぁ。……本格的に病み始めたか」


私の言葉にため息をついた。

呆れているのは隣を見なくてもわかる。

だけど、本当にどうしようもないのだ。

夷陵で対峙した時の黒薙の大喝する姿が目を瞑ると自然と浮かんでくるようだ。


「時間が経てば治るさ」


「無理。今すぐにでも黒薙と会いたい」


「無茶を言うな。黒薙を捕縛する作戦を決行してから蜀はこちらをより警戒しているのだ。誘うような真似をしても今度は食い付かんだろう」


冥琳の言うこともわかる。

時間が経てば治るかもしれない、とも思う。

ただ、耐え難い。

胸が絞まってもどかしい。


「だけど会いたい。胸が苦しいの……黒薙を掻き抱きたくてたまらないの」


「黒薙にお願いでもするのか? そんなことを受ける男ではないだろう」


「……秘密裏にお願いできない?」


「なに?」


冥琳は聞き間違えたかとこちらを驚き見た。


「黒薙に内緒で会うことはできない?」

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