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第8話 ベヒーモス

 エメラルドアイと彼女は言いましたが、主に緑色の瞳を持つ人間のことをエメラルドアイと呼びます。材料として指すことありますが……。


 原作「カルヴォノ・マギストリア」をプレイしていた際に、パーツの材料として出てきた時は目と製作者の頭を疑いましたわよ。


 とりわけこの世界においては緑色の目を持つ女はよく誘拐されたりするのですが、それは緑色の目が不吉なもので、それを持つ子どもは悪魔が連れ去ってしまうから、だなんて迷信も流布されております。……これ絶対(さら)う奴らが流した噂ですわよね!?


 ほどなくして翠蘭しゅにんの自室に通されると、少し待っているようにと言われましたので、わたくしはちょこんとローテーブル横のソファーに座って待ちます。


 わたくし偉いですから、ちゃんと待てますの。……お茶くらい出ませんの?


 わたくしのいらだちをよそに、すぐに彼女は戻って参りました。


 先ほどまでは黒かったはずの主任の瞳が、わたくしと同じ緑色の瞳に変わっていることに聡明なわたくしはすぐに気がつきました。


「お前ほど感応器官は強くはないが、私もエメラルドアイでね。普段は色つきのコンタクトレンズさ」


「まぁそれはそれは……。お揃いですわね?」


「もっと驚くところじゃないのか……?」


 テーブルの上にグラスと氷、ウイスキーが置かれました。わたくしは飲めませんわよ?


「それで何が望みなんだ?」


「わたくしはただ魔獣の死骸の卸先おろしさきを探しているだけですわ。そして報酬は金銭ではなく、MAマギアスピーダと武器の設計、製造をして欲しいんです」


 お金でもらっても困りますのよね。そろそろ我が家も怪しまれそうですし……。


 初めてスポットに行った時に倒した魔獣を集めておきまして、あとで回収してもらおうとビーコンとともに放置してそのまますっかり忘れていたのですけれど……。


 不幸にも近くでリュドヴィックの部隊が壊滅させられてしまったせいで、なんだか国際問題になってしまっているんですのよね。嫌ですわ……不運な偶然ってあるんですわねぇ……。


「MAの製造って言っても、お前はアレ(グローシア)があるだろうが。うちじゃあれ以上は造れないぞ?」


「スポットの中でコソコソ遊ぶくらいならグローシアで良いのですけどね……。もうとっっっっってもアシが付きますのよ!」


 どれくらいアシが付くかというと、全身に表札がはりついてて「えくそしあ」って書いてあるレベルですわね。見る人が見たら即バレです。いまだバレてないのは不鮮明な映像しか残ってないからでしょう。


 この世界、マギコークスとマギアスピーダ、一部の乗り物関連以外のテクノロジーレベルが1920年代くらいですものね……。


「……その《《アシの付かないMA》》で、お前は何をする気なんだ?」


「自衛と復讐……でしょうか?」


「復讐? 復讐は何も生まないぞ」


「復讐は気持ちいいからするんですのよ? 生むとか生まないとか、連鎖とかどうでもいいんです」


「……だが、いまいち信用できんな」


夜月イーリンは大型魔獣のマギコークスを求めているんでしょう? それで手を打ちませんか?」


「なぜ知っているんだ!? そういうところが信用できないって言ってるんだよ!」


 この取引とは別にわたくしにはずっと気になっていることがありました。ゲームでは夜月イーリンに衣装変更のNPCがいたはずなのですけれど……。


 よくありますわよね。クリア後にえっちな衣装が増えたりして着せ替えのできるやつ! あれですあれ! どこにいるんでしょうか……? もし居るなら会いたいですわね!



◇────────────────◇



 『ベヒーモス』と呼ばれる大型魔獣、それが翠蘭に指定されたターゲットでした。アペルピシア山脈の麓に生息し、岩のような固い殻に覆われている大型魔獣だそうですわ。


 個体差もありますが全長は40メートルオーバーは当たり前で、動きは遅いですが恐ろしくパワーがあり、スポットを囲んでいる壁も簡単に突破することから、とても恐れられている……のだそうです。


 話を聞いた感じですと、おバカデカくて脚が多い、トカゲと亀とイノシシを足して3で割った感じでしょうか……? ゲームにそんなの居ましたっけ?


 退治する際は実弾兵器が通用しないため、エネルギー兵器と呼ばれる所謂いわゆるビームみたいなやつで外殻を熱することで退治するそうです。


 わたくしの記憶にまったく思い当たらなかったので困っていたのですが、いざ実際に見てみると、「あぁ〜! こいつのことでしたのね!」と思わず声が出てしまいました。


 ターゲットはデカいカニでした。居ました、居ました! 殻を熱したら赤くなるギミックありましたわね! 懐かしいですわ。


 ちょうどいいところに運搬担当として着いて来ていたおじ様たちが居ます。解体用のナイフを借りることにしましょう。


 ああこの前、指を折ってしまったおじ様とも《《仲直り》》しておきました。ご安心ですわ。


 わたくしはグローシアで飛び上がり、背面のバーニアで進入角を調整しながらベヒーモスの脚の付け根を狙います。


 わたくし、やるんです! 今ここで! 冬の日本海で培った技術が生かされる時が来ましたわね……!


 関節のつなぎ目にナイフを入れて、こうして……こう! ほら、脚が取れましたわー! ってやってましたら、後ろでおじ様たちがドン引きしてました。旬のカニはとてもおいしいんですのに……。

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