第6話 夜月
「お邪魔しますわー!!!」
偽装された入り口を蹴破って、高さ20メートル以上はあるトンネルを進みます。大体100メートル先には光が見えていて、そこにMAが立っているのがチラリと見えました。
『敵襲! 敵襲ー!!』
『あれ白い悪魔じゃないか!?』
『無駄口を叩くな! 撃てっ! 撃てっ!』
通路の向こう側からの発砲が始まりました。敵は4機のMA。それもかなり性能がよさそうです。先日のリュドヴィック共和国の雑魚タンクが人間の動きの0.5倍速だとしましたら、ここのMAは等倍速といったところでしょうか。
「まぁわたくしは10倍速なんですけどね!」
目を開いて感応器官を《《開く》》と、コクピットが緑色の光に満たされます。
「あ゛あ゛〜これぎんもぢいいんですわよね゛~~~!」
『な、なんだこの気持ち悪いのは!?』
わたくしは一瞬で敵MAに近寄ると、失礼なことを宣うMAの頭を叩き潰しました。コクピットは潰しません。わたくし今日は《《話し合い》》に来ましたので。
「責任者を出しなさい! わたくしは全部壊しても構いませんのよ?」
2機目の腕を引きちぎります。
『た、助けてくれェ!』
おじ様の情けない悲鳴、助かりますわ!
3機目の足を蹴り折り、4機目の頭を掴んだところでグローシアに無線通信が入りました。
『お前か? うちに殴り込んできた悪魔っていうのは……』
フロントモニターの端に小さく表示された音声のみの通信ウィンドウ。しかし……通信の使い方がよくわかりません。もしかして、わたくしには友達が居ないから……?
『これ? このボタンですか? これで聞こえてます? あなた、「夜月」の翠蘭でしょう? わたくし、お友達になりに来ましたのよ! 聞こえてます?』
『聞こえてるよ。……どう考えてもお友達って雰囲気じゃないが……。誰にここのことを聞いたんだ?』
『それは岩肌を何時間も丹念に調べた結果ですわ。それにこの機体に興味があるのではなくって? あなたにとっても悪い話ではないと思いますわよ?』
『……わかった。今そちらへ行く。それ以上暴れるなよ』
「しゅ、主任! 危険です!」
「うるさいですわね……」
ごちゃごちゃとうるさいMAの頭を握る手にグッと力を入れます。ギギギギと金属の歪む音が響き、グチャリと頭部が圧壊しました。
「ぐあああああぁぁっ!」
「別にあなたが痛いわけではないでしょう?」
『暴れるなと言っているだろうが!!』
◇────────────────◇
わたくしが現在いる場所は格納庫兼搬入口といったところなのでしょうか? コンテナが積まれている広いスペースで物資集積所といった趣です。ここには今はもう動かなくなってしまったMAが4機配備されていたようです。
ちなみに彼らはもちろん15~20歳ではありませんが、スポットに居ること自体は違法ではありません。マギコークスを採取、採掘すると違法になります。
ちなみにスポット内で不法行為を行う者は殺してオッケーですわよ。なんだか途端に剣呑になりますわよねぇ……。
え? 12歳で魔獣を密猟してるやつがいるですって!? ほんっっっっ当に治安悪いですわね、スポットは!!!
わたくしがそんなことを考えていると、入ってきた通路とは反対方向にある通路の防護隔壁が開きました。無駄に重厚にゆっくりと開いていく様から、かなりの防御力がありそうな気配が致しますわ。殴ってみたいですわね?
「悪魔! 来てやったぞ!」




