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Cheat sheet

掲載日:2026/03/16

テスト、学生の皆さんはよく訪れる鬼門ではないでしょうか?今回はそんな、「テスト」のお話。

しかし主人公は…どうやら点数が悪いわけではないようです。

 俺は学校でも家でも、天才と呼ぼれていた。

点数は80点から下がることは一度もなく、中学時代に塾で予定をギチギチに埋めていた報いが来たのだと心が弾んだ。

塾は親に勧められたのでも、強制されたわけでもなく、自分から進んで始めたことだった。


特にズバ抜けた採点が無い俺が認められる事なんて、勉強しかないと思っていたから。

学年順位は高校のテストでいつでも学年1位。

 しかし、今回の俺は絶望感に苛まれていた。

スマホゲーム。初めてダウンロードしてみたソレは驚くほど面白かった。黄色のコインを使ってアイテムをゲットし、ステージのモンスターを倒すゲーム。

コインは時間が経てば勝手に補充された。

中学の時から誰とも遊ぶことなく、もちろんゲームだってやった事なんて無かったから、勉強以外で時間が溶けていくように感じたのは初めてだった。

ここ最近はゲームの事しか頭になく、授業中もロクに頭に入って来なかった。


 そしてついに、俺は今年度最後のテスト1日目を迎えてしまったのだ。

親、先生、クラスメート…

みんなの驚いた顔や呆れた顔、失望の顔が目に浮かぶようだった。


ピコンッ


スマホの通知音が鳴る。

触っている暇なんて無いと分かっているのに俺はスマホを手に取った。


『新ステージ!早速やってみよう!』

の下には、STARTの文字が浮かんでいる。

何も考えずに押すと、そこには学校のような場所のステージが現れ、数学と書かれた解答用紙のモンスターが紙の体をヒラヒラと揺らしていた。

(紙ってことは、剣で切裂けば倒せるか。)

黄色のコインで剣を買い、アイテムをぶつける。

しかし、モンスターはビクともしなかった。

(は?どうしたらいいってんだよ…)

何かあるのかとスマホ画面全体を見ると、黄色のコインの隣に赤いコインが表示されていた。

持っている残高は約90。

アイテムを見てみると、鉛筆やシャーペン、消しゴムの他に緑や赤、青なんかのメモが表示されていた。初めはどれもコインを使わずお試しで使えるらしい。

これらのアイテムを使って倒すのは分かるがメモに関してはどうやって使うか分からない。

鉛筆やシャーペンでも軽くダメージはいったものの、俺はメモをぶつけてみた。


ボンッとメモをぶつけるとテスト用紙のモンスターは一気に散った。


こんな紙切れになんでそんな力が…と考えていると、アイテムの下には『カンニングペーパー』

の文字が書かれていた。

次の英語、国語、化学…どの科目でもメモを使えば一撃で倒す事ができた。

(楽しい…!このアイテム最強じゃんか…!)

ゲームをしながら俺はいつの間にか眠ってしまっていた。


「…ヤッベ!時間」

次の日俺はバタバタと用意をした。急がないとバスに乗り遅れてしまう。荷物を乱雑にまとめ、

朝食に手をつけずに家を飛び出した俺はなんとかバスに間に合った。 

(よかった…ギリギリだ…)

しかしバスに遅れなかったとは言えども、何の解決にもなっていない。ほぼノー勉の状態で授業内容も覚えていないままテストに臨むことがついに確定したのだ。

(あぁ、終わった…)

1時間目のテストは確か英語。

何もしないよりはマシかと思い、単語帳はどこかとポケットを探った時紙質のものが指先に触れた。

引っ張り出すとそれは紫色の小さなメモだった。

(なんだコレ…)

やけにゲームに出てきたペーパーに似ている。

そんな事よりも、英単語を…

俺が考えたその時メモにズズズッと英単語が浮かび上がった。

(…は?)

もしやと思い、俺はリュックから英語のワークを取り出した。 

(このページの大問1…)

今度はさっきまでの文字は消え、今開いたワークの答えが浮かんだ。

これは、これってつまり…


 学校でのテストは、スラスラと解くことができた。英語を終えたらポケットを探る。すると数学の青色のメモが姿を表した。

(これさえあれば、テストなんて余裕じゃねぇか…!)


 その日、家に帰った俺は今朝までの不安感など吹っ飛び、代わりに高揚感が体中を駆け巡っていた。

スマホゲームを開き、学校のステージをタップする。アイテムの所からまだゲットしていないメモのアイテムを次々と買い占めた。

化学、国語、公共に、音楽…

赤いコインの残高は10となったがそんなのどうでも良かった。



 テスト明けの休日、俺は満足して自室の机にテストを並べた。全教科今までにないほどの高得点。おまけに、数学と英語は100点満点でみんなは俺を褒め称えた。

努力するよりこのメモを使う方がよっぽど良いのだ。

口角を抑えられない俺の耳にスマホの通知音が届いた。


ピコン…

ピコンッ

ピコンッ!

ピコンッ!


すごい勢いで来る通知に驚き慌ててスマホを手に取ると、そこには

『コインの補充が必要です』

の表示だった。

確かに、前の日から黄色のコインしか補充はされていなかった。

課金の説明はなかったから、お金を支払う物じゃないはずだ。


なら一体何をすればい


ボフッゴトッ


少年の服とスマホが床に落ちる。

机の上からまばらに落ちたテスト用紙に埋もれたスマホ画面には


『コイン補充完了』

の文字が浮かんでいた。





いかがでしたか?

テストは大変ですが、くれぐれもこの少年のようになってしまわぬようお気をつけください。


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