第8話 過去の傷と「弱点」の利用
今日のテーマ: 弱さと向き合う勇気
演劇部の練習場は、緊張と後輩の焦燥感で張り詰めていた。かつて舞台で挫折を味わった後輩は、もものリーダーシップすら恐れていた。その「過去の失敗」への恐れこそが、ジェイソンの求める防御の鍵だった。
「人の弱みを解析するのに、過去のデータほど便利なものはない」
ジェイソンは、練習場全体を「記憶干渉フィールド」で覆い尽くした。フィールドが起動すると同時に、ももの視界に、過去のトラウマがフラッシュバックする。それは、変身に失敗し、無様な姿で崩れ去った瞬間の自分だった。
ももは変身を試みるが、フィールドが精神に干渉し、アイテムの認証が始まらない。身体は光に包まれかけるが、直前で過去の**「自信のない表情」**のイメージが脳裏を占め、変身バンクのプロセスが極端に遅延する。
【第8変身バンク(試行・開始遅延)】
光が点滅し、彼女の身体のラインを滑らかに覆い始めるものの、フィニッシュへ進むことができない。まるで、過去の屈辱の瞬間に、時間だけが引き伸ばされているかのような感覚。
「何を躊躇っている?その一瞬の躊躇が、敗北を決定づけるぞ!」ジェイソンが嘲笑う。
変身が始まらないまま、ももは追い詰められていく。その時、震えながらも一歩前に出た後輩の、真摯な声が響いた。
「先輩!私は、先輩が今、ここに立ってくれているその強さだけを見ています!過去の失敗なんて、私には見えません!」
その言葉は、過去の残像ではなく、「現在」の自分に焦点を当て直すスイッチとなった。後輩の純粋な信頼が、フィールドの干渉を僅かに削ぎ落とす。
「……そうね、私はここにいる!」
ももは過去の残像を振り払うように、力強く変身を再開する。
【第8変身バンク(過去の残像を弾き飛ばす・力強い演出)】
再開されたバンクは、光が過去の失敗の残像を、まるで肌を焼く熱で弾き飛ばすかのように力強い。加速と光の奔流が、彼女の身体のラインを、過去の頼りなさから解放し、意志の強さによって再構築していく。それは、乗り越えた痕跡が美しさとなって刻まれる瞬間だった。
「過去は燃料!未来へ飛ぶための、一瞬の輝き! ピーチ・リバース・エボリューション!」
浄化の光がジェイソンを捉え、彼は痛みを伴って後退した。
ED:救いの小変化+次回の種
後輩は自信を取り戻し、演技に熱がこもり始めた。ももは勝利したが、ジェイソンが最後に残した言葉が頭から離れない。「君の弱点、"自己を否定する瞬間"、これはデータとして完璧だ。最も防御が薄くなるのは、戦いの最中ではなく、その後の自己評価の瞬間だろう?」。彼女は力を取り戻した代償として、最も脆い「心の隙間」を敵に握られてしまったのだった。




