第1話 覚醒の桃色シンデレラ
陽光が眩しい日曜日の午後。文芸サークルの新歓会場は、新入生の期待と先輩たちの気遣いが入り混じり、微かな熱を帯びていた。文学の世界に憧れて集ったはずなのに、肝心の一歩が踏み出せない後輩の震える横顔を見て、桃井ももは胸を痛めていた。
「大丈夫、深呼吸よ。君の言葉は、きっと誰かに届くから」
そう声をかけた瞬間、会場のざわめきが、まるでスローモーションのように歪んだ。
突如、会館の扉が内側から吹き飛び、無様な特撮マニア然とした男が立ちはだかる。名を**ジェイソン**。彼の瞳は、ももの透き通るような肌と、緊張で赤らんだ頬に釘付けだった。
「来たぞ、来たぞ!ターゲット確認! 女子大生のキラキラした青春の輝き、いただくぜ!」
ジェイソンは怪しげなスマホ型デバイスを翳し、ももに向かってそれをかざす。「さあ、最高の被写体よ!その輝き、**強制的に抽出**させてもらう!」
不意打ちにももがデバイスを掴まされた瞬間、彼女のスマホに酷似したアイテムが激しく振動した。何が何だか分からないまま、身体を駆け巡る電流のような衝撃。初めて知る力に体が制御不能になり、光の奔流が彼女を包み込む――。
**【第1変身バンク(不完全版)】**
それは、不格好な変身だった。光の渦はすぐに収まり、ももは「ピーチ・ブロッサム」のコスチュームに包まれたものの、**全身のパーツがわずかにズレているかのように不自然**で、必殺のオーラを放てていない。
「な、何なのこれ…!?」羞恥心と混乱で、ももの顔は紅潮し、汗が滲む。
「ハッ、不完全か。だが悪くない。この**"照れ"のパラメータ**、いただくぞ!」ジェイソンは高笑いし、不気味な光線を放つ。
「きゃっ!」
光線は後輩たちの群れを直撃。彼らの顔から、先ほどまでの期待の輝きが、まるで霧散するように消え去り、生気のない影になってしまった。
「ごめんなさい…私、せいで…!」変身したまま逃げ惑うもも。その時、通りすがりの同じ学部の友人(A)が目を見開いて叫んだ。
「ももちゃん!? 今…え、何? いつもの数倍、**肌の透明感とオーラがヤバいけど…大丈夫!?**」
その一言が、ももの心に刺さった。ただ逃げるだけではいけない。この異様な姿を晒しても、守るべきものがある。
「もう、ごまかさない!」
ももは顔を上げ、震える指先でアイテムのロックを解除し直す。今度は、羞恥心ではなく、守るべき後輩たちの姿を焼き付けるように、強く念じた。
**【第1変身バンク・完全版(再起動)】**
一瞬の沈黙の後、光は以前よりも深く、**肌の質感やラインを際立たせるように艶めかしく**輝きながら彼女を包み込む。光が収まったとき、そこには完璧な戦いの装いが整っていた。
「この桃色の輝き、青春の証! **桃色戦隊ピーチ・ブロッサム、参上!**」
彼女の瞳には、決意の炎が宿っていた。「青春のエネルギーを汚すなんて、絶対に許さない! **ピーチ・フラッシュ!**」
放たれた光がジェイソンを直撃し、男は悲鳴と共に闇の中へ退散した。
**ED:救いの小変化+次回の種**
後輩たちの顔には、少しずつ気力が戻り始めていた。ももはアイテムを握りしめる。この力は、まだ彼女自身も理解できていない。人前で晒すほどの輝きを放つ力――それは、諸刃の剣かもしれない。次回、ジェイソンは大学の掲示板をハッキングし、ももの「美しさへの反応データ」を収集し始めるという。




