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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

配達に来ただけなのに

作者: 華城渚
掲載日:2025/04/20

※これは意味が分かると怖い話です。


後書きにて解説っぽいヒントがあります。

私はピザの配達員なのですが、いつも仕事量が多く残業になることが度々ありました。


月が綺麗な夜の出来事だったと思います。

いつものように住宅街のある家に配達に来たのですが、着いた家に違和感を覚えました。


二階建ての一軒家。どこにでもあるような家。

ですが真っ暗なんです。

電気が一つもついておらず、庭の手入れもされていないようでした。


寝るには早い時間帯だとは思ったのですが、まぁこんな家もあるかと思い、気にしないようにしました。

とりあえず、インターホンを押して留守なのか確認だけしようとしました。


ピンポーン......ピンポーン......


二回ほど鳴らしましたが出る気配はありません。

しょうがないと思い、持って帰ろうとした時です。


「......はい。」


反応が返ってきたのです。

持って帰る手間が省けそうで心底安堵しました。


「ピザの配達に来ました。」


そこから数分は経ったでしょうか。

何も音沙汰がないので、もう一度インターホンを押しました・


ピンポーン......


「......はい。」


「あの...ピザの配達です。」


先ほどと同じやり取りをしたのですが、やはりまた反応が無くなりました。

何か出てこれない理由でもあるのでしょうか。

それならと思い、ドアノブを回してみました。


すると、鍵がかかっていなかったのです。

不用心だなと思ったのも一瞬で、すぐに別の感情にとらわれました。


中から異臭が漂ってきたのです。

匂いの原因は分かりませんが、今まで嗅いだことのない匂いにも関わらず吐き気がしました。


長居するのは危険だと見てすぐに判断し、家主を見つけて渡したらすぐに帰ろうと決めました。

今思えば、ピザを中に置くか持ち帰るべきだったと思います。

なぜかこの時は、ピザを渡さなければならないという考えになっていました。


靴を玄関で脱ぎ、ゆっくりと進んでいきます。

進めば進むほど、異臭は強くなっていきます。

ねっとりと何かが体にまとまり付く雰囲気も相まって次第に恐怖感も芽生えてきました。

歩いている地面からもネバっとした感触があるかのように感じてきました。


この家は実在する家なのか。

現実から離れた場所に迷い込んでしまったのではないか。

そう考えてしまうほど、この家は異質でした。



リビング、キッチン、寝室など隈なく探しましたが、誰もいません。

だんだんと恐怖よりも苛立ちが勝ってきました。


なぜ荷物一つにこんなに時間をかけなければいけないのか。

今頃なら家に着いてゆっくり家族と過ごせていたはずなのに。


もう限界でした。

意を決して「すいません~!」と呼びかけました。


「......はい。」


すると声が返ってきたのです。

しかも比較的近くから聞こえました。


「ピザの配達です。」


「......はい。」


また声が返ってきました。


「ピザはどこに置けばいいですか。」


「......はい。」


声は返ってきます。ですが反応してくれるだけで、何も指示してくれません。


何かおかしいと感じました。

声がインターホン越しに聞いたときと同じに聞こえるんです。

思えばこの時の聞こえ方も不自然だったかもしれません。



インターホン越しではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



顔から血の気が引きました。

もし私の考えが合っているなら今私の後ろには......



「いるよ?」



私はピザを放り出し、靴も置いてけぼりのまますぐにこの家を出ました。

ピザの状態とかなんで私の考えが読まれたとかどうでもよかったです。

今この家から離れられればそれでいい。 それしか頭にはありませんでした。


急いで車に乗り込み、震える手を何とか押さえつけエンジンをかけます。

家を見ずとも何かがゆっくりと歩いてくる気配を感じます。



やっと走り出せる時に家の方を一瞬見てしまいました。


そこには......


こちらを見る血だらけの少女がいました。

右手には血が付いた包丁、左手にはぬいぐるみを持っています。


少女は私と目が合うと、笑顔でこちらを見ながら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

その雰囲気はまるで、次は私の番だと言われているように見えました。




何とか家の駐車場に帰ってくることができた後も震えは止まりません。

ハッとなって辺りを見ましたが、あの少女はいませんでした。

段々と落ち着きを取り戻し、車の中で一度あの家について調べることにしました。


調べた結果、二十年前にある家族が住んでいたのですが、一人娘が両親を殺害し、その後自分も自殺した事件があったようです。

私が見たのはその一人娘だったのでしょうか。ならあの異臭は......


吐き気がします。そして足を踏み入れたことを心底後悔しました。

ただ配達に来ただけでなぜこんな体験をしないといけないのか。

何も悪いことはしていないはずなのに......


再び来る吐き気とともにある疑問が浮かび上がりました。


()()()()()()()()()()()()()()

あの家には誰も住んでいないはずです。家族は死んでいるのですから。

それに最近とはいえ二十年前の事件です。

なぜ異臭がするのでしょうか。


気になってもう少し調べてみることにしました。

すると二枚の写真を見つけることができました。

二十年前のあの家の写真とそこで住んでいた家族の写真。

その写真を詳しく見る前に自宅の玄関に着きました。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


事件を調べていたこともあり、いつもよりだいぶ時間が遅くなってしまいました。

息を落ち着け、自宅の鍵を開け中に入ります。

妻と子供の顔を見て今日は休もう。


でも、その願いは叶いませんでした。


「おかえり。」


あの時見た少女が()()()()()()()()()()、にこやかに私を出迎えたからです。


解説っぽいヒント

・主人公は死んでいますか?それとも生きていますか?

(文章全体は何で書かれているか。 少女を最初に見た時、最後に見た時でどう変わっているか。)


・誰がピザを頼んだと思いますか?そしてなぜ異臭がするのでしょうか。

(二十年前の事件ではないのでしょうか? つい最近の出来事......?)


・なぜ少女の声は主人公の後ろから聞こえているのでしょうか。

(インターホン越しでも後ろに聞こえるということは、少女は庭に......? なぜ?)


・「見るのは明日でいいかと思ってしまい、携帯の電源を落してしまいました。」

(少しくどい言い回しですよね。 主人公が後悔しているように感じます。

 まるで写真を見ればこの後のことが分かったかのような......そんな気がします。)



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