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いろいろな短編

サヴスランソミィリ辺境区の小説書き

作者: ださいやさい

小説を書けない。

書けなくなった。

なかなかやまない雨が降って、私の考えを乱している。

小屋の窓越して、自分が埋めた愛犬の墓に、さざ波立つ水たまりをじっと見て、時間をつぶす。

そうだ、ぜんまいを巻かないと…けど何回も止まったことがあるから、正しい時間なんて追いつけないし表せないんだ。


サヴスランソミィリ辺境区----手元の古びた地図ではこう書いてあるが、発音が何年もよそ人の口から出されていない。

それはそうよ。だって、もう何年も他の人と出会っていないから。


形のない怪物たちを道を塞がれ、なかなか遠方に行けないから。

今までどんな気持ちで小説を書いてきたの理由の一つもこうだ。


どうやって食料を確保してきた?氷上釣り。

どうしてオイルランプが未来永劫に点灯し続いているのか?わからない。

とはいえ、何年もそれに関する記憶がうすいのもわからない。

なんの小説を書いているのかもわからなくなる。


父との鹿狩りの記憶を再現するため?ともいえない。

そういえばどうしてここに来たっけ?軍のじゅうたん式の捜索から逃げるためにここにたどり着いた。あれからも何年?わからない。


いつのまにかテーブルの上に鏡があった。でも、鏡が映しているのは、私の姿ではない。怪物の姿だ。髪が白く、顔がしわくちゃで、歯がところどころ抜けている姿だ。


そっか、ここはヘルシンキの高級マンション----サヴスランソミィリ塔だ。

「大師、先にお風呂の方がいい?それとも…」

不意打ちの女の子の声に驚かされた。

気がつけば、私が座っているのは、ただの椅子じゃなくて、車椅子だ。容姿の麗しく女の子が、私の服越して抱いてくる。思いだした。彼女は、フィンランド文学協会の後輩で、私の愛人だった。

サヴスランソミィリ辺境区を恋しく思っていた。

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