4.エルモ村
ギルドでの出来事から数日。現在、俺はギルドマスターであるヴォルトから直々に仕事を任され、とある村を訪れていた。
「数週間前から連絡の取れないエルモ村への調査……ね。まぁ、その村に到着したのだが……」
村をぐるっと見回し、その異常な状況に溜息を漏らす。何とも面倒な匂いがする。
「太陽の位置から察するに正午くらいか? だが、それにしては全く活気が無いな。どういうことだ?」
フム、と俺は手を顎に当て考える。
人の気配は家屋から感じるため村民はいるのだろう。しかし、こんな日中に家の中に引きこもっているのは異常だ。
何か、厄介なことがこの村を中心に起こっているのではないだろうか?
このまま考えにふけっても何も分からない。よって、俺は手始めに村長の家を訪ねることにした。
村長の住所はヴォルトに手渡されたメモに記されていたため、迷うことなくたどり着いた。
「済みません。ギルドマスターのヴォルトからの依頼で訪れましたソウヤ=キサラギです。少し伺いたいことがあるのですが……」
扉をノックし、そう言ってみたが中からの反応は全くない。一応、人の気配はするのだが……
「あの……済みません」
と、少し扉が開かれた。隙間から少女が顔を出している。
「……どちら様でしょうか?」
その表情は何かを恐れている様だった。一体何を恐れているのかは分からないが、ここは丁寧に自己紹介がベストだろう。変に警戒させるのはよろしくない。
「傭兵のソウヤ=キサラギです。ギルドマスターのヴォルトからの依頼でここを訪れました。えーと、クシル村長は御在宅でしょうか?」
使い慣れない敬語。ああ、面倒だ。そう思いながら俺は問う。
すると、少女の眼に涙が浮かび、いきなり俺の胸に飛び込んできた。
「はぁ!?」
「やっと……来た」
何が何だか俺には分からないが、とりあえず理解できたことはひとつ。
どうやらこの村で何かが起こっているようだ。とりあえずはこの少女から詳しい話を聞かなくてはならないだろう。
だが、その前に少女を宥めるとしよう。
放置し過ぎました。申し訳ありません。
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