3.厄介事は突然やって来る。
バカみたいに長い間更新していなかったですね・・・・・・すみません。
「何だッ!?」
俺は大声で叫び、周囲を見渡す。すると、ある二人に目が留まった。
様子を見る限り、なにやら言い争っているようだ。
「なぁ、マスター・ヴォルト。アレ止めなくても良いのか?」
「アレ? ああ、あいつ等か。心配するないつもの事だしな。と、言いたいが些か今回はやりすぎだな」
聞けば、いつもは殴り合いで決着が付いているらしい。だが、今回は片方は剣を抜くやら、片方は魔法を行使するやら、凄い事になっている。
ヴォルトも止めに入ろうと動き出そうとしていたが・・・・・・何やら俺を見てニヤッと笑みを浮かべる。
何か嫌な予感がした。
「オイ、ソウヤ。お前が止めて来い」
「はいぃぃ?」
「マスター・ヴォルト!? いくら彼らが下級クラスの傭兵だとしても、新人の彼には――――」
「アリア、仮にも自称傭兵を名乗っていた奴だ。そう簡単には負けたりはしないだろう。そうだろ、ソウヤ?」
もう、笑うしかない。
ああ、逝ってやる。殺ってやる。え? 字が違う? 気のせいだって。
こうして俺は言い争う二人の下へ向かった。
■
「・・・・・・ソウヤさん大丈夫でしょうか?」
私はとても不安だった。確かにソウヤさんは強い。だけど・・・・・・
「フム、どうしたお嬢さん? もしかしてアイツが心配か?」
「・・・・・・はい」
「心配するな。危なくなったら俺とアリアで止めに入るさ。何、仮にもお嬢さんを助けた奴だろう?」
ヴォルトさんの言葉に私は頷く。
「そういえば・・・・・・アリア。アイツが使った剣――――いや、日本刀とか言ったか? とにかくアイツの持つ武器は見せて貰ったか?」
ヴォルトさんが唐突にアリアにそう言った。
ソウヤさんの刀。確か、私を助けてくださった時も使っていた武器だったはず。
私は一回しか見た事が無い。だけど、それだけでもあの武器に凄まじい何かが宿っているのには気が付いた。
「私は見せてもらった事はありませんが・・・・・・それが?」
「いや、あの武器・・・・・・見ているだけで魂を根こそぎ刈り取られるような感覚に陥るぞ?」
「魂をですか?」
「ああ、アレには何かが込められている気がする。それも計り知れない何かが・・・・・・だ」
ヴォルトさんは至極真面目な顔で言う。
あの武器にどんな想いが込められているのだろう? それを私は知らない。
もし、それを聞く機会が出来たなら聞いてみようと思った。
■
「----テメェがいたらジャマなんだよ!」
「何だと? キサマこそ俺がサポートしてなかったら死んでいたぞ!」
何やらヒートアップしていく言い争い。
それより、言い争いで剣を振ったり、魔法を放ったしないで欲しい。周囲の被害状況がとてもよろしくないですよ?
「はいはい、お二人さん。そろそろ喧嘩は止めて欲しいんだけど、いいかな?」
にこやかな笑みで止めに入る。
決まった。と、思った自分は死ねば良いと思ったのは内緒。
当然ながら喧嘩が止る訳が無かった。それどころか火の粉が俺にまで飛んでくる。
「何だ? 打ち殺すぞ!?」
「ウゼェよ! 死ねよッ!?」
何と言うコンビネーション。どんなに喧嘩をしていても二人同時に息のあった攻撃をして来るんだ。いや、それよりも俺が死にそう?
「何だってんだぁぁぁ!?」
魔法の攻撃、それ避けたと思えば剣による攻撃。避けたら魔法、避けたら剣、と延々と続く攻撃の嵐。
そろそろブチ切れそうな俺。
そして、遂に・・・・・・ブチッと何かが切れる音。
「テメェェェェェェェらぁぁぁぁぁいい加減にしやがれェェェェェェェェェェェェ!!」
腰に指してある刀の柄に手を置き、抜刀。
横一直線に蒼い軌跡を残す。瞬間、ギルド全体が凍りついた。
《凍氷刀技 氷夜》
場が静かになる。
先ほどまで争っていた二人も静かになった。
パン。と、刀を鞘へ戻す。
「ちっ・・・・・・無駄な力を使っちまった」
俺は毒吐く。
と、言い争っていた二人が俺の前に来て同時に頭を下げて・・・・・・
「「すいやせんでした」」
と、謝罪した。
「分かった。まぁ、謝るならギルドマスターに言って来い」
終わった。そう思った。
だが、本当の厄介ごとはこの後だった。
「「分かりました師匠!!」」
「・・・・・・はい?」
「「師匠です」」
何と言う厄介ごとだ。
思わず顔に手を当て、溜息を吐いた。
後日、俺は「師匠」と叫び追いかけてくる二人を撒く事に全力を尽くした。