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遠い声Ⅲ  作者: てんの翔
10/12

VOICE.4 五歳と六歳の大冒険 前編

       1


 夜景の見えるレストランは、ほどよい静けさのなかに包まれていた。

 世良には見えない。だが不思議と窓の外に、きらびやかな光景が広がっているのがわかる。見えていたときの記憶が、そう錯覚させるのだろうか。

「きれいですよ」

 さゆりの声は、むしろ無邪気なものだった。視覚的なものに配慮するほうが、世良にとっては罪であることを彼女はよくわかっているのだ。

「……あれ?」

「どうしたの?」

「見間違い……ではないみたい」

「?」

 レストラン内に、知り合いでもいるのだろうか?

 それとも……不穏なこと?

 おせっかいな依頼人・赤松からプレゼントされたものだから、どこかに不安があった。これまで彼女のもたらすものは、たびたび面倒な事態をひき起こしている。

 本来なら峰岸と来るはずだったのだが、彼が気をきかせて、さゆりを誘っていたのだ。事務所を出る直前までは、そのことを知らなかった。出掛けに、さゆりが来ることを伝えられた。

 もしかしたら、と思う。

 峰岸は遠慮しただけではなく、赤松からもらった食事券だから逃げたのかもしれない。そういう勘は、非常に鋭い。

「子供がね……子供だけで食事してるのよ」

「え?」

 たしかに、ガチャガチャと食器の音がうるさいテーブルがある。

「二人かな?」

「そう……女の子と男の子」

 その順番ということは、女の子のほうが年上で、男の子のほうが年下ということになるだろう。姉と弟だろうか。

「親がトイレに行ってるだけじゃないの?」

「ううん、さっきから二人。わたしたちが入ったときからだから」

 入店してから三十分ぐらい経過している。

 足音がした。従業員が近くを通っていく。

「あの」

 世良は声をかけた。

「あっちのテーブル……」

「あの子たちですか……」

 男性従業員は、少し困ったような口調になっていた。

「ここで食事をしたいと入って来たんですけど……お金はちゃんともっていたんですけどね、小さな子供二人だけっていうのが」

 門前払いしようとしたそうだが、店のオーナーがおもしろがって入店を許可したそうだ。

「お客様の迷惑になるようでしたら、退店してもらいますけど」

「いえ、そんなことはないです。ちょっと心配だったもので」

 従業員はそれを聞くと、ほかのテーブルに行ってしまった。

「気になる?」

「そうだね……」

「わたしが話を聞いてきましょうか?」

「何歳ぐらい?」

「女の子が小学校低学年で、男の子が幼稚園ぐらいかしら」

 普通なら、ありえないシチュエーションだ。

「行ってくる」

 さゆりが立ち上がった。

「ねえ、きみたちだけなの? パパやママは?」

「わたしたちはショクジをたのしんでます。そっとしておいてください」

 まちがいなく子供の声ではあるが、しっかりとした口調で拒絶していた。

「そう……ごめんなさいね」

 さゆりがもどってきた。

「聞こえてたでしょ?」

「ああ。悪かった……よけいなお世話だったみたいだ」

 その後は、二人で食事を楽しんだ。

 幼い姉弟と思われる子供たちは、さゆりが声をかけてから十分ほどで店を出ていった。

 出ていくまえに、すごくきれい、という女の子の声が聞こえた。

「どうしたの? やっぱり気になる?」

「……」

 答えに困った。

 身近に小さな子供がいないから、どう判断していいのかわからなかった。

「問題があるようなら、だれかが助けてくれるわよ」

 夜に子供たち二人で繁華街を歩いていたら、手をさしのべてくれる大人はいるはずだ。交番の警察官を呼ぶこともあるだろう。もしあの子たちに深刻な家庭の事情があるのだとしても、警察が介入すれば事態は好転するはずだ。

「……」

「じゃあ、出ましょうか」

 さゆりが提案した。まだゆっくりするつもりだったはずなのに。

「気になることを解決しましょう」

 世良が考えたことは、すべて希望的観測だ。あの子たちを見た大人が、本当に声をかけようとするだろうか?

 みなが、ほかのだれかがするだろう、と同じように考えるかもしれない。警察だって、それは同じかもしれない。民事不介入の原則を堅守するかもしれないからだ。

「行こう」

 世良も決意した。

 しかし、いまから追いかけてみつかるかどうか……。

 店を出ると、世良は耳を澄ました。

 そんなに都合よく、あの子たちの声は聞こえてこなかった。

 知らない場所だから、さすがに一人で歩き回ることはできない。さゆりの先導がなければ、まっすぐ進むことも困難だ。

「見当たらないわ」

 そのとき、驚いたような声が聞こえた。

 おい、と男性がつぶやいたものだ。

 声の方向に足を向けた。

「なにがある?」

「男性二人が、ビルを見上げてる」

 屋上に、なにかがあるようだ。

「あ……」

「どうした?」

「あそこにいるみたい……」

 ビルの屋上に、あの子たちが?

「どうする?」

「おれたちも上がろう」

 世良は、迷わなかった。

「あの人たちは?」

 さゆりは、見上げている男性たちを心配していた。いまのところ、子供たちの存在に気がついているのは、その二人だけのようだ。

「うちの子だとでも言って、落ち着かせて」

 強引でもいいので、騒ぎを大きくしないようにした。さゆりが彼らに説明している。もちろんデマカセということになるが、いまは上へ急ぐほうが先決だ。

 世良は、一人でビルのなかに入ろうとした。方向はあっているはずだ。手を前方にのばしながら前進していく。

 横手から、スッと介助された。さゆりがもどってきたのだ。

「納得してくれたか?」

「まだ見上げてる。すぐ大騒ぎになると思う」

「急ごう」

 さゆりの先導があれば、あとはエレベーターに乗るだけだ。

「どれぐらいの高さ?」

「十階まである」

 最上階まで、一分もかからなかった。

「こっち」

 屋上まで続く階段を上がっていく。扉を開ける音がして、外気が吹きつけてきた。

「このさきにいます」

 さゆりの声を頼りに、近づいていく。

「こないで!」

 少女の叫びが、空気を切り裂いた。

 屋上とはいえ照明が設置されているのか、それともとなりのビルやネオンの光があたっているのか、視認性は問題ないようだ。

「そこでなにをしてるの?」

 やさしく聞こえるように注意しながら、声をかけた。

「こないで」

 少女は繰り返した。語気は弱くなっていた。

「そんなところにいたら危ないよ」

「あぶないからいいんじゃない。オトナなのに、そんなこともわからないのね」

「死のうとしてるの?」

「そうじゃなきゃ、こんなところにこない」

「どうして?」

「あなたは、どっち?」

「どっち?」

「コロしにきたヒト?」

「どういうことかな?」

「わたし……しのうとしたの、おとうとと」

 やはり二人は、姉弟だったようだ。

「ここで、とびおりようとしたの」

 時系列がよくわからないので、話のなりゆきをいまは見守る──聞守るしかない。

「おかしなヒトにあった……」

「おかしな人? だれのことかな?」

「おじいちゃん……」

 名前などは知らないようだ。

「その人が?」

「おカネをくれたの……それで、あのレストランでショクジをしろって」

 ここまでを整理すると、いつなのかわからないが、ここで同じように自殺をしようとしていたら、おかしな老人と出会って、その老人からお金を受け取って、あのレストランで食事をした──そういうことになるだろうか。

「そのおじいさんに会ったのは、今日のこと?」

「ううん、何日かまえ」

「そこがよくわからないんだけど……」

「オトナなのに、そんなこともリカイできないの?」

 そう言われてしまったら、返す言葉がない。

「数日前に会ったおじいさんにお金をもらって、今日になって、あのレストランで食事をしたってことだよね?」

「そう」

「どうして、おじいさんはきみにお金をくれたのかな? 食事は、あのレストランじゃなきゃだめだったの?」

 言葉を選びながら、世良は質問を続けた。

「世良さん、女の子が困ってる……」

 いくつも訊かれたら、子供のキャパシティを超えてしまう。

「ねえ、お金のことは?」

 さゆりが、かわってくれた。正直、助かった思いだった。

「レストランにいけって、わたされた……」

「あそこで食事をしろって言われたの?」

「うん」

 どうやら、あのレストランで食事をさせるのが目的で、老人はお金を用意した、ということになるようだ。

「そのおじいさんは、どうして親切にしてくれたの?」

「わかんない……でも、なやみがあるなら、あそこでたべれば、カイケツするって」

「そのおじいさんっていうのは、どんな人?」

「んー」

「何歳ぐらい?」

「50?」

 おじいさんと呼ぶには若い。

「たぶん、もっと上だと思う。このぐらいの子だと、二十歳を過ぎていれば全部おじさん・おばさんだし、五十歳以上なら全部おじいちゃん・おばあちゃんだから」

 さゆりの考察は、もっともだった。

「ここで会ったのよね?」

「うん」

 その老人が屋上にいたのは、いまの世良と同じだったのかもしれない。心配して、この子たちに声をかけた。

「どんな人だったか、わかるかな?」

「ここに、トランプのかたち」

 トランプ?

「ほっぺたを指さしてる」

 頬にトランプ?

 ダイヤのマークだ。瞬間的に思った。

「世良さん?」

「……だれだかわかった」

 そして、どうしてあのレストランへ食事に行かせたのか。

 なぜ今夜、世良が食事すると知っていたのかは謎だが。

 ならば、この子たちの悩みを聞くのは、自分の役目なのだ。

「どんなことで悩んでるの?」

「……」

 少女の口は重いようだ。

「ねえ、なにがあったの?」

 さゆりが言い直した。

「わたしたちは、ころされちゃうの」

「どういうこと?」

「あのひとたちに……」

「あの人たちって?」

 世良の耳には、駆け上がってくる足音が聞こえていた。

 激しく扉がひらく音。

「きみたち、なにをしてるんだ!?」

 二人だ。

「おまわりさん」

 さゆりが言った。世良に何者が来たのかを教えてくれたのだ。

「あなたたちは!?」

 いぶかしむような声が、世良にふりかかった。

「この子たちの保護者です」

 答えたのは、さゆりだ。

「本当に親御さんなんですか?」

 警察官の声は厳しい。

「はい」

「嘘を言ってはいけませんよ」

「どうして、嘘だと思うのですか?」

 すぐにその問いの答えは返ってこなかった。

「……親なら、保護者とは言わないんじゃないですか?」

 それまでとはちがうほうの警察官が指摘した。たしかに、そのとおりかもしれない。

 しかし、世良にはべつの情景が浮かんでいた。

「親がわりのようなものなんです。この子たちは、姪っ子と甥っ子ですから」

 さゆりが、この場をつなぐように嘘を並べ立てる。

「さゆり……ここにいる警察官は、制服なんだよな?」

 おまわりさんと呼んだのだから。

「え、ええ」

「軽いな……」

 この分析には、絶対の自信があるわけではない。

 制服警官は、手錠、警棒、拳銃、無線をホルスターにおさめて帯革に吊っている。一つ一つは軽い。手錠や警棒は重いと思われがちだが、はじめて持ったときにその軽さにみなが驚く。むかしはかなりの重さがあったそうだが、いまでは装備が軽量化されているのだ。

 とはいうものの、すべてを合わせると、それなりの重さはあるものだ。しかしこの警察官の足音からは、そのような重量感はない。

「あなたたちは、本当に警察官ですか?」

「なにを言ってるんですか?」

「身分証をみせてください」

「なに言ってんだ、おまえ!」

 口調が変わった。

 まずまちがいなく、この男たちはニセ警官だ。

 なぜ、そんなのが出てくる?

 いや、考えるのはあとだ。いまは、この場を乗り切ることに全力をつくす。

「これは、おれたち家族の問題だ。警察の出る幕じゃない」

 世良は、むしろ高圧的に接した。

 ニセ警官たちは、無言になった。どう行動するのか決めかねているのだ。

 この子たちに危害をくわえるつもりではないようだ。だが、保護をするつもりにも思えない。

「さあ、行こう。おまわりさんも迷惑してるみたいだから、家にもどろう」

 世良は、女の子に語りかけた。

 小さな身体が動いた。

「わかった……」

「ほら、きみも」

 さゆりが男の子を確保したようだ。世良が手を差し出すと、小さな手が握ってきた。

「これでいいですね?」

 ニセ警察官は、無言のまま。

 突然、襲いかかってくることも想定したが、彼らの横を通過して、階段への扉を開けても、危険はなかった。

 エレベーターで下に降りたとき、最初に見ていた二人の男性はすでにいなくなっていたようだ。子供たちから話を聞くために、どこかの店に入ろうとしたのだが、よくよく考えれば、おたがいが食事をしたばかりのなのだ。

「きみたちの家はどこ?」

「……」

 女の子は答えてくれなかった。家に帰りたくないのだろう。両親とのあいだに、なにか問題を抱えているのはまちがいなさそうだ。

「公園で話そうか」

 近くに公園があるのかわからなかったが、世良は言った。

「あっちにあったと思う」

 さゆりの誘導で、四人で公園に入った。小さい面積しかないようだが、ベンチに二人を座らせた。

 男の子のほうは、眠くなってしまったようだ。

「わたしが抱っこしようか?」

「いいです。ほら、ねえちゃんのカタによっかかって」

 本当におとなびている。

 すぐに寝息が聞こえた。少女の肩で夢を見ているようだ。

「名前を教えてくれるかな?」

 これから会話をしていくにも、そのほうがいいだろう。

「ルリ」

「弟さんは?」

 さゆりが引き継いだ。

「ハルト」

 苗字を答えてくれないことに、物事の本質があるようだ。

「年齢は、いくつかな?」

「6さい。もうすぐで7さいになるけど。おとうとは、5さい」

「どうしてあんなことを?」

「……」

「きみは、おれをさがしていたんだ」

 世良は言った。少女──ルリには意味が理解できないだろう。

「きみにお金を渡して、あのレストランに導いた老人は、きみとおれを会わせようとしたんだ」

「……あのおじいちゃん? しってるひとなの?」

「ああ、知ってる」

《かかし》が、この子たちと世良をめぐり会わせたのだ。

「おじさんが、たすけてくれるひとなの?」

「事情を話してくれないと、なにもできない」

「……ころされちゃうの、わたしたち」

「だれに?」

「あたらしいパパとママ」

「新しい?」

「ジコでしんじゃったの」

 本当の両親は──ということらしい。

「新しいパパとママが、きみたちを殺そうとしているの?」

 大切なことなので、世良は強調して問いかけた。

「しんじてくれないんでしょ……」

「そんなことはない。ルリちゃんの言うことを信じるよ」

「ちゃんはやめて」

「ごめんごめん、ルリさん」

 少女は、どんな表情をしているだろうか。眼の見ないことが残念でならない。

「具体的に、なにか危ないめにあったの?」

 さゆりが質問した。

「まだ」

「まだなにもされてないのに、どうして殺されると思ったの?」

「さっきのひとたち……」

「あのおまわりさん?」

「わたしたちをしなせないためにいるの」

「え?」

 殺されると主張しているのに、しかしあのニセ警察官は、死なせないためにいるという。いろいろと矛盾がある。

「どういうことなのかな? ええーと、あのおまわりさんは、きみたちを守っているの?」

 そうだとすれば、殺害しようとしている両親と、それから守ろうとするニセ警察官たちが対立していることになる。

「ちがうの!」

 怒っているような声だった。

 子供の語彙力には限界があるから、真意を聞き出すのは難しい。

「こういうことじゃないですか?」

 さゆりが言葉をはさんだ。

「殺そうとはしているけど、自殺されたら困るということじゃないですか?」

「そうそう」

 ルリの声が、可愛く聞こえた。本人は一生懸命だろうから、不謹慎だと反省した。

 そういうことがあるとしたら、保険金になるだろうか。契約によってそうでない場合もあるだろうが、一般的には自殺ではおりない。

「保険金かな?」

「むずかしいことわかんない」

 しかし、こんな幼い子供たちに多額の保険金をかけるだろうか?

 かりにこの子たちが死亡すれば、確実に疑われる。うまく事故にみせかけたとしても、簡単なことではない。

 本当の両親が事故死しているのなら、遺産ということはないだろうか? 保険会社を通さないから、くわだてる人間からすれば、リスクは一段階下がる。

 が、遺産相続に自殺は関係ないはずだ。むしろ自殺してくれたほうが手間がはぶける。

 それとも……。

「ねえ、殺そうとしているって……いまの話?」

「ちがうの……」

「そうか」

 どうやら、遺産がらみというのが正解のようだ。

「世良さん?」

「たぶん、この子たちが成人したときに、遺産が渡されるんだと思う。それまでに死亡したときは、遺産がべつのところにいってしまうんじゃないかな」

 さゆりに説明しながら、ルリにも確認している。

「そんなこといってた……」

 ルリが返事をした。新しい両親が、そう口にしていたということだろうか。幼い子供には難しい内容だから、断片的に理解しているだけなのだ。

「だからきみは、死のうとしてるの? 遺産をその人たちに渡さないために」

「そうだって」

 うなずいたのを、さゆりが教えてくれた。

「? おじさん……みえないの?」

「ああ、見えない」

 それを耳にして、少女はどんな表情になったのだろう……。

「おじさんが、どうにかしてあげる」

 世良は言った。

「おじさんは、探偵なんだ。きみの悩みを解決してあげる」

「……ほんとうに?」

「ああ」

「でも……おかねないよ。セイジンしたら、あるけど」

「子供は、無料なんだ」

 この子の言うことが真実なのかどうか……それを確かめるまで、この子たちを新しい両親の待つ家に帰すわけにはいかない。

「わたしの家に来る?」

 さゆりが提案してくれた。ルリから反論は出なかった。

 こうして、さゆりの部屋へ行くことになった。タクシーを呼んで、四人で向かった。

「すまない」

「ううん……最初に声をかけたのは、わたしだし」

 部屋について、二人をさゆりのベッドで寝かせた。もう遅い時間になっている。すぐに小さな天使たちは、深い眠りについていた。

 世良は帰ろうとしたのだが、

「あなたも泊まっていって」

 たしかに、またタクシーを呼んで、そこから自宅へ帰るのは一苦労だ。言葉に甘えることにした。

 リビングでブランケットをかけて横になった。さゆりも、すぐとなりで同じ姿勢になっているはずだ。

「どうやって解決するんですか?」

「まずは会ってみるよ、新しい両親に」

 世良は答えながら、ことのなりゆきを想像した。

 まったく見えてこなかった。

「世良さんなら、どうにかできますよ」

「そうだといいけどね」

「ただの気休めじゃないですよ。ちゃんと根拠があります……」

 さゆりの答えを待った。

「さゆり?」

 眠ってしまったようだ。

 彼女が確信しているなら大丈夫だろう──世良も、そんなことを考えながら眠りについていた。


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