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幼い女神の迷宮遊戯  作者: 悠戯
第二章『幼い女神の新たな世界』

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33/62

33.幼い女神の幼い姉妹


 現代の地球人類の科学力で『ゲームの世界に入れるゲーム』を作り出すのは、どう考えても無理がある。かといって、ウルが同業他社に力を貸している様子もない。


 ならば考えられるのは、ウル以外の他の神が『似十堂』に力を貸しているという可能性。

 現状すでに『ブイブイゲームス』という前例があるわけですし、それより何よりその仮説が出たと同時にウルが大きな動揺を見せました。



『別に隠すつもりはなかったのよ? でも、別に使い道は聞いてなかったというか、貸しっぱなしで忘れてたというか……』



 どうやら、小さな女神様には何か心当たりがあるようです。





 ◆◆◆





 その更に翌日のことです。

 普段から顔パス状態で『ブイブイゲームス』の社屋に自由に出入りしているウルですが、この日は珍しいことに一柱ひとりではなく社外のゲストを伴っての出社となりました。



『んもうっ、こっちに来てるなら連絡くらいしてくれたらいいのに。水臭いのよ』


『ははは、すみません。どうせなら、姉さんをビックリさせようと思いまして』


『うふふ、こないだのサプライズも楽しんでもらえたようで何よりなのです』



 ウルが引き連れているゲストは二名。

 どちらもウルと同じくらいの体格、一般的な小学三年生くらいの女の子です。


 一人は理知的な雰囲気で敬語を使う少女。

 肩のあたりで切り揃えられた癖のない金髪に、大きな白いパーカーを合わせています。


 もう一人は見るからに眠たそうな目つきの少女。

 こちらの特徴は何といっても異常に長いピンクの髪の毛でしょう。

 自身の背丈の四倍か五倍はありそうな長さの髪を、地面に引きずらぬようにか身体のあちこちにグルグルと巻き付けて歩いていました。



『警備のおじさん、今日もご苦労様なの!』


「やあ、ウルちゃんもご苦労様。そっちの二人はお友達かい? もしかして社会科見学とか?」



 ウル一人だけでも相当に目立つのですが、他二名も存在感では決して負けていません。

 会社ビルの入口に詰めていた警備員に始まり、ロビーや廊下を歩いているだけで他の社員の視線がどんどんと集まってきています。



『さ、ここが会議室なのよ。もう、みんな集まってるはずなの』



 時折、まだ事情を知らない社員と挨拶を交わしながら歩き、エレベーターに乗って待つことしばし。三名は昨日の朝に緊急会議が行われたのと同じ会議室までやってきました。



『みんな、連れてきたのよ!』


「わぁ、その二人がウルちゃん様の妹さん?」


「お姉さんに負けないくらい美人さんね。さあ、座って座って」


『これはこれは、どうもご丁寧に』



 会議室の中には、すでに昨日と同じ『ダンジョンワールド』の主力メンバーが勢揃いしていました。あらかじめウルからゲストの到着時間を聞いて待機していたのでしょう。加えて、わざわざ連れてきた二人、いえ、二柱ふたりの簡単なプロフィールについても説明済みです……が、彼女達自身の口から改めて。



『皆さん、いつも姉さんがお世話になっています。何かご迷惑をおかけしていませんか?』


『迷惑なんて全然かけてないのよ! それよりも、ほら、早く自己紹介っ』


『ははは、これは失敬。ではまず、我はゴゴと申します。こちらのウル姉さんの妹に当たるという点からもうお察しかと思いますが、神です』



 まずは金髪の少女、ゴゴが簡単な自己紹介を。

 続いて、同じく本日のゲストである桃色髪の女の子も同じように口を開きました。



『どもども、モモの名前はモモなのです。こちらの二柱の妹なので、つまり神です。どうぞ、よしなに』



 モモも一応は敬語風の喋りではありますが、先に紹介したゴゴと比べると喋りのトーンといい雰囲気といい、全体的にずいぶん砕けた印象です。



『ちなみに我々は七姉妹でして、こちらのウル姉さんが長女。我は次女で、モモは四女ですね。他の四名に関しての紹介は、長くなりそうなのでいずれ機会があればということで』



 追加でゴゴから補足が入り、これで一応の紹介は完了。

 これでようやく本日の本題に移れます。

 ゴゴとモモ、異世界の女神が二柱も『ブイブイゲームス』を訪れたのは、もちろん社会科見学のためではありませんし、ウルの顔を見に来たのでもありません。



『皆さん色々と気になることはお有りでしょうが、まずは一番気になっていそうな件から片付けておきましょうか。結論から申しまして、我とモモは少し前から「似十堂」さんのゲーム開発事業のお手伝いをさせていただいております』



 その目的は、いわば宣戦布告。

 何故だか日本のゲーム業界を舞台にして、異世界の神々の争いが始まろうとしていました。



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