第九十一話 高瀬川の誕生日
ま、まだあいつと決まったわけじゃない……なんとなく察してる人、シーッ。
「どんな人から告白されたの?」
「んー、よくわかんない事言ってた人だったなあ。『ついさっき覚悟を決めた』とかなんとか」
うん、あいつじゃねえか。どーーーーー考えてもあいつじゃねえかよ。
「いきなりのこと過ぎて面食らったよ~。『いったん考えておく』とは返したけど……」
「あ、綾瀬さん~おっはー」
「長谷川君、おはよー」
「二人で何話してたの?」
「ああいや、さっき綾瀬さんが告白されたらしい」
「そりゃまた随分タイムリーだな……」
「な」
「ん?何の話?」
「「いや、何でもない」
「???」
(なあ、これ絶対あいつじゃね?)
(さっき綾瀬さんから聞いた話だと『ついさっき覚悟決めた』とか言ってたらしい)
(あいつじゃねえか)
(当たって砕けろの精神すごいよな)
(そこだけは尊敬だわ)
「さっきからめっちゃこそこそ話してる……私だけ除け者にされてる気分……む~…………」
なんか勘違いしてる、そして安定でかわいいっすね。
(それな、可愛いよなー綾瀬さん)
(俺の思考を読むな)
朝からまあまあなイベントがあったが、それ以降は特に何事もなく一日が過ぎた。
そして学校の帰り道。
「お前ら、『あれ』覚えてるかー!?」
「覚えてるよ~『あれ』でしょ?」
「もちろん」
「そう!!〈高瀬川の誕生日〉だ!!8/31っていってたよな!」
「おう」「そーだね」
「ようやく夏休み明け初の土日!!今週はいろんなことあってごたごたして祝えなかったけど、今日は金曜日!ようやく待ちに待った土日だ!!」
「ついに明日祝えるな」
「盛大に祝っていげよう!!!」
……………………こいつら、本当に友達思いだなあ。
事の発端は、夏休みが明けた日のこと。
俺、裕也、桜川の三人で集まった。
「え、お前ら弘治の誕生日知ってた?」
「知らなかった~」
「俺も知らんかったわ。というか、俺もそっちに誕生日言って無くなかった?」
「あー、たまたま綾瀬さんと話してたら『ねーねー、7/2がみなっちの誕生日なの知ってた?』って言ってきたから」
「なるほどね」
「それで、どうやって祝う~?」
「ん~それね~、まだ決まってないんだよなー」
「あ、じゃあ…………」
と、いろいろ悩みに悩み、やーーっと明日祝えることに。
「喜んで、くれるかな…………?」
「そうだといいな!」
「だな」
こいつらめっちゃ考えてたし、そんな心配しなくてもちゃんと喜んでくれると思うけど…………友達思いだなあ(2回目)
「いつ言ってた?前過ぎて忘れたわwww」って人、正直俺も忘れかけてたわw
あ、ちゃんと第六十五話を見たら書いてあるぜ!!
………………………………誰が覚えてんねん。




