第四十一話 三人中二人が美少女の外出は肩身が狭い
なんとか学校という名の地獄を乗り越えた俺は、ついに約束の日が来たのである。
今日はこの前綾瀬さんがコーディネートしてくれた服で着ている。これなら外さないだろう。
ちなみに綾瀬さんは『困ったことがあったら聞いてね♪』と言っていた…いや2人きりとか気まずすぎるだろ!「私の友達と一緒に」とか言ってたからてっきり綾瀬さんも来るもんかと思ってたのに!
俺なんて初対面だぜ!?そんな時に2人だけとか何話すねん!!まあそこは相手に期待しよう(丸投げすんな)。
そう心の中でぶつぶつ言っていると、1人の女子がこっちに向かって歩いてくる。多分この子だろう。
見た目は……めっちゃ可愛い、ってそこじゃねぇわ。
「こ、こんにちは」
「あ、ども」
「「………………」」
……………なんだこの気まずい感じ!綾瀬さん助けて!!
『今会ったんだけど話すことない、どうしたら良いですか』
『頑張れ!』
丸投げかよ!(人のこと言えない)
「仕方ないな〜」
「うわ!どっから湧いてきたの綾瀬さん!?」
「私をモンスター扱いするな!」
「なぎちゃんいたんなら言ってよ〜!」
膨れ顔可愛いな。ってか綾瀬さんのことは「なぎちゃん」呼びなのか。
下の名前が渚なのは知ってるけど呼ぶ機会はなさそう。
「それより、ほら!折角みなっちに会えたんだから!!んー取り敢えず自己紹介でもしたら?」
「そっか、私は湊君のこと知ってるけど湊君は私のことわからないよね」
「ごめん、女子に興味なさすぎて」
「まあ知ってるから今更驚かないんだけどね。じゃあ最初に、私は茨実小春と言います。趣味は観察、特技は人を追いかけること。あ、部活は入ってないので帰宅部です。一応同じクラスで委員長やってます」
「うん、ツッコミどころ満載の自己紹介ありがとう。どこからツッコめば良いんだこれ。ひとまず趣味観察ってどういうこと?」
「え?それは勿論みなt———何でもないです」
「へ?あ、うん、深くは聞かないでおくわ」
出会って10分で分かったこと。この子多分変だわ。
「で、何でここに?」
今俺達がいる場所は、待ち合わせの駅から三駅ほど離れた所にあるアニ○イト。
俺は良いけど他2人が楽しめる場所とは思えない。
「湊君確かこの作品好きでしたよね?」
「え?あ、そうだけど…なんで知ってんの?」
「だって黒タイツとポニーテール好きの湊君なら外さないだろうなと思って」
「だからなんで知ってんの!?怖いよこの子!綾瀬さん助けて!俺の性癖暴露会になっちゃってるから!!」
「うーむ……この作品はいける!」
全く話聞いてねぇ!!なんでアニ○イトで新しい出会いしてんだよ!!
まあ折角きたしなんか買ってくか…ってこれ佐倉ちゃんのアニ○イト限定商品のアクスタとクリアファイルじゃねーか!!!これは買うしかねぇよなあ!?
そんなこんなでそんなに使う予定のなかった金が湯水の如く消えていったとさ。ついでに綾瀬さんも満足げに買い物をしていた。茨実さんは俺が手に取った商品を一目見てメモしていた………控えめに言って怖い。
「次どこ行きます?」
「俺は別にどこでも」
「どこでも?言いましたね?じゃあ着いてきてください!」
あ、なんかやった感すごいんだが……まあ言ったからには仕方ない。お金はできるだけ使わないところでお願いします。




