表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスの地味キャラも恋をする  作者: ぱらな
第1章 高校一年1学期
29/91

第二十九話 第四種目『騎馬戦』の秘策,最終種目『リレー』

今から騎馬戦か…。何度か練習の機会があって、自分の担当する騎馬のメンバーとはとょくちょく話すくらいにはなっていた。

定位置に着き、始まるのを待つ時間が手持ち無沙汰だなーと思っていると—


「あ、翔太君。もうきてたんだね」

「うん。まあ、別にやる事ないし早めに来ただけなんだけど」

こいつはメンバーの1人、さくらがわ圭太郎。俺の一回りは小柄で、顔は中性的だ。人との距離の取り方が良いのかはわからないが、無言であっても居心地が悪いことはない。気の置けない仲、とはではいかないまでも居ると安心する…そんな奴だ。

一言で表すなら『周りに敵を作らないタイプ』だ。


「お、湊はえーな。まだ綾瀬さんと話してても良いんだぜ?」

「そういうんじゃねぇから」

このちょっとチャラさといい、どことなく裕也に似ているこいつは高瀬川弘治。名前通り(?)歴史が得意という特徴を持つ男。俺と同じくらいの身長だが、運動部にでも入っているのだろう。俺、背高のっぽとは違い筋肉質体型だ。騎馬の土台としては適任だな。


「お〜待ったかみんな」

まあ、説明不要だろう。エスパーこと長谷川裕也。こんな感じでゆるい性格だ。



練習でこの4人で集まることが度々あったからか、4人集まると謎の団結感と安心感がある(伝われ)。


「そういえば、裕也君。今まで何してたの?結構前に昼ごはん食べ終わってたから来てるのかと思ってた」

「あー、俺?さっきまで応援席のあの子口説いてた」

「何してんだよお前……」

「分かる!あの子可愛いよな!」

「いやそこで分かりあうなや!!」

「おお、このグループ唯一のツッコミ役!ナイスツッコミ!!」

「なんかそんなに嬉しくねぇ…」


とそんな会話をしているうちに本番が始まろうとしていた。ちなみに各団1〜3年生でそれぞれ分けられており、競技自体の長さはかなりある。

あと、学年ごとの騎馬は5組となっている。

騎馬戦なんて単純に頭にある『ハチマキ』を多く取った団の勝ち。ただ闇雲に取れば良いわけじゃなく、自分のハチマキも守りながらという意外と戦略性のある競技である。

だが、俺たちには秘策がある。騎馬戦は限られた範囲内に居なければ場外という扱いになるらしい。そこで思いついたのが、

「ハチマキ取るだけじゃなくて、場外に押し出してもいいってことじゃね?」

という作戦だ。まあ相手に怪我はさせないようにはするが、裕也が「当たって砕けろ!」とか容赦のないことを言って暴走していた。いや砕けたら意味ねぇんだって。



そうして第一回戦が始まった。

騎馬戦も綱引き同様、次は勝った団同士、負けた団同士で戦う為、あまり手の内は明かされないように立ち回る。今はまだあの作戦はやらない。

幸い俺たちが一騎、他の味方の騎馬が4騎落として勝ちとなった。

次の対決もハチマキを取り合う一進一退の攻防の末、黄団の勝利となった。黄団とは大体30pt差ほどで負けている。しかしここで勝てば1位50pt,2位30pt,3位10pt,4位5ptとかなり差を縮めるチャンスとなる。


「作戦はわかってるよな?」

「ああ!」

「分かってるさ」

「ボコボコをしてやんよ!」

1人物理で殴りかかりそうな危険臭のする奴がいたが気にしないでおこう。



まずは勝った団同士の対決である。

「いくぞ!」

「「「おぉー!!」」」


「ここでもっと差を広げてやるぞ!!」

「「「おおー!!」」」


火花を撒き散らすように互いの掛け声がぶつかり合いながら、試合は開始した。


俺たちが一回戦目に戦っていたため、少し攻めにくくするような立ち回りをする黄団。おそらく団長が咄嗟に「緑団はこう動くからここをこうして—」とか俺たちの戦い方を見て指示でもしたのだろう。だが甘いぜ!!ここで俺たちの作戦が火を吹く。


「おらっ!」

もはや上人のハチマキを取ることなど二の次だと言わんばかりに、土台の三人で、敵の騎馬を押し出す。

周りからは「何あれ、相撲やってる?」みたいな声が聞こえてきた。確かに、この作戦客観的に見ると手押し相撲に近いな。





しかしこの作戦が功を奏し、俺たちの騎馬は三騎も落として無事1位となった。


「しゃあ!やってやったぜ!!」

「これは完全に作戦勝ちだね」

「騎馬戦だったのかは置いといて、勝てたな!」

「ああ、まさかこんなにうまくいくとは思わなかった」

結果的に一年の結果で緑団と黄団とのptの差は10ptに縮まった。これなら総合優勝も狙えるんじゃないか?

いや、まだ早い。まだ2,3年生の騎馬戦も終わっていない。ここはもう願うしかなさそうだ。





2年の部

一位 青団

二位 赤団

三位 緑団

四位 黄団




3年の部

一位 赤団

二位 緑団

三位 青団

四位 黄団



と、赤、青団も急激にptを伸ばし、全団でも最低点の団と最高点の団との差は20ptだ。こうなればもうどの団でも優勝はあり得る。

そうなると最終種目の『リレー』に託された訳だ。

リレー選手の皆、頑張って!!!

ここまでくると優勝したい欲が出てきちまうよなぁ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ