第二十七話 昼休憩は神
屋上って言ってたよな……ってあれ?まだ来てないのか。てっきり俺より早く着いたと思ってたけど。
「わっ!!」
「うおぉぉい!?」
「あっはは、相変わらずいい反応してくれるじゃん」
「心臓に悪すぎる…軽く1週間の寿命は縮んだわ!」
いやマジで、俺ビビりなんでやめて!!と言っても止める気は無さそうなので言わないが。
「そーいえば、あの子みなっちの友達?」
「あー…さっきの子は借り物競争で一緒に走っただけだけど。どうかした?」
「"一緒に"って?」
「お題が『自分より背の低い人』だったから緑団のテントに行って、全然女子と喋れなかった所にあの子が『私でよければ』って言ってくれて」
「ふ〜ん……………」
え?何その嫉妬してますオーラ全開の顔。いや自惚れは良くない。そうじゃなかった時恥ずかしすぎるしな。
「私でよかったのに…」
ぐっ…!?これはもう狙ってるよねぇ!?!?そうじゃなくて素でこれは破壊力半端ない……。
「い、いや…ちょうどその時綾瀬さんがいなかったから」
「じゃあ私がいたら私と走ってたの?」
「そりゃ喋れる女子が綾瀬さんしかいないし。気楽なのは綾瀬さんだしね」
「ふ〜ん…」
"ふ〜ん"の破壊力たるや。次はなんかご満悦そうになってるし。なんでかは知らんけど。
同じ言葉でニュアンスが変わる日本語、恐ろしい…。
なんか急に綾瀬さんの青が青ざめてる。どした?
「一緒に走ったってことは…手、繋いだってこと??」
「え?まあ、一応そうなるね」
と、女子の手を握って「こんな柔らかいんだ!」とか思っていたキモ陰キャが言ってます。
「……………」
え?なんか癪に触る事言ったか—
「私ですらした事ないのにー!!!!」
はい???その言い方だと俺と手を繋ぎたいっていうニュアンスに…いやキモ。ラノベしか読んでないせいでそういう展開を然らずとも期待する陰キャのワイキモ。
「っ〜〜〜!!」
なんか急に顔を湯気が出るくらい赤らめてフリーズしてしまった—
「あーん…美味しい〜!」
「いやなんで!?」
油断していたところに、何故か綾瀬さんの箸が…って!なんで俺の弁当の唐揚げ食べたん!?思わず心の声漏れたわ!
「だって…今のはみなっちが悪い!!」
「えぇ…」
じゃあ何が正解だったんだろ……いやもしかしたら正解がないのかもしれない。ギャルゲーの概念に囚われてるけど、現実は必ずしも選択に正解があるとは限らんし。いや人生クソゲーじゃんそれ。(乙女心を全く理解できない陰キャの心)
「…こういうの、いいね」
「あー、なんとなく分かる」
こういう何気ない会話が弾むのは相性がいいんだろうな。これは自惚れではない……多分。
その後も他愛のない話で笑い合いながら昼飯を終えた。
卵焼きがすっげぇ甘く感じたんだが気のせいかな?まあ母さん甘い系の卵焼き好きだから甘いんだろうな。
いやー、朝から何を書いてるんだろうか。
飲んでたコーヒーがココアくらいの甘さになりましたね。
今日も朝から素晴らしい糖分摂取だね!




