第二十三話 地獄の体育祭練習part2,父、襲来
そんなこんなで、体育祭の団体練習も当たり障りもなくこなせるようになってきた頃—
「よし!今日はここまでだ、明日に響かないためにもな!!…この2週間よく俺たちに着いてきて頑張ってくれた!!!明日、もちろん優勝するのは?」
「「「緑団!!!」」」
もう完全に一致団結出来てんなこの団…って他人事みたいな言い方になっちゃってるけど。
「や〜っと終わった。練習に追いつけはするけど普通にキツいんだよな。でもようやく終わったー!あーゲームして〜…もう明日だけだしそれくらい我慢するか……ゲームが生きがいの俺が我慢するとか偉くね?」
いや何様だよ俺。どんだけ上の立場にいると思ってんだよ。しかも独り言で。
「おーいみなっち〜!」
「あ、綾瀬さん」
「やっと追いついた…帰るの早くない?ちょっと教室で友達と話してたらもう居ないんだもん」
「いや逆に教室で時間潰せないから早いんだよなー」
「それはそうと、明日だね!体育祭!!なんかそわそわするー」
「分かる、本番1日前とかになったら変に緊張するあれね」
「でも早く明日になってほしいこの気持ち」
「これどの学生も当てはまるよね」
知らんけど、と心の中で付け足しておく。
「じゃ私こっちだから、また明日ー」
「また明日、学校で」
というやりとりも終わって自宅に着いた。
「あ、翔ちゃんおかえり。もうちょっとでご飯できるから先お風呂入ってて」
「オッケー」
「あ、あと明日…お父さん帰ってくるって」
「げ、マジか」
俺の父は世界中を飛び回る……とまでは行かないが、数カ国を行き渡る仕事をしている。いわゆる『商社マン』ってやつだ。そのため家には中々帰って来れないのはずなのだが—
「お父さん、『翔太が高校生になってはじめての体育祭だろ!行くに決まってる!』とか言って張り切ってたわよ」
「なんでこういう時に親バカを発揮すんだよ。しかも俺より張り切ってるのなんなん?」
両親はかなりの親バカだ。何かと気にかけてくるから落ち着かないし…まあ感謝はしてるけど。
「そういうわけだから、私の代わりにお父さんが見に行くって」
絶対カメラとか持ってきそうだな。持ってたら速攻壊す準備だけしとくか。
ピンポーン♪
ん?なんだ?…………なんか嫌な予感がする。
「ただいま。帰ったよ」
「あら貴方、おかえり。早いわね」
「明日の朝から体育祭だからね。張り切って前日から帰っておこうと思って」
ほら、こういう嫌な予感だけはあたるんだよ。
「お!翔太、元気してたか?明日はしっかりこのカメラにお前の勇姿を収めるからな」
よし、先に壊しとこう。
「おい!何しようとしてるんだ翔太!」
「いや、俺の黒歴史が残る予定のこのカメラに終止符を打とうとしてるだけ」
「それ遠回しに壊すって言ってるよね!!やめて20万もしたんだから!!」
たっっっか!なんで体育祭一つにこんな大金つぎ込んでんだよ!!もっと他に使う場面あるよ絶対!!
やっぱり相変わらずの親バカっぷりだな。早々に見せつけられたわ。




