第十八話 馬鹿3人衆による勉強会が開かれる(予定)
今、俺は窮地に立たされている…。それは体育祭が高いから……じゃない、そう、定期テストだ!
いやいやこんな事言ってる場合じゃないぞ。俺が通ってる上代高校はまあまあの進学高。1ヶ月くらいこの学校に通ってわかった、周りの人頭ええ。高校って抜き打ちの小テストとかあるけど、大体中の下〜下の上くらいなんだよな。どーしよ。定期テスト、あと1週間ないんだよなー。誰か勉強できる身内の人は…いねーな。裕也はスポーツバカ、綾瀬さんは普通の馬鹿(大失礼)だし、どーすっかな…。
「おい湊、なんか考え事か?」
「あ、いえ…大丈夫です」
「そうか、よしじゃあこの問題湊が解け」
この授業が終われば帰れると言う油断で当てられてしまった…。今勉強できないって言っただろーが!(言ってない)まあこの先生で助かった…あんま怒んないし。………ん?何これ、全然わからん。
「この式のxの解を求めよx^4-5x^2+6=0」
だと?なぜxが二乗じゃなくて四乗なんだ??ぜんっぜん分からん。そういえば俺もなかなかの馬鹿だったこと忘れてたな。
(それx^2を別の形に変形して解くんだよ、じゃあx^2をAにしてみて)
(へっ?!)
横を見ると、綾瀬さんが片側から口を手で覆って小声でヒントをくれていた…女神だ……
「えぇっと、x^2をAとおいたら、式はA^2-5A+6=0になって(A-2)(A-3)でA=2,3になります。」
「その後は?」
「Aがx^2だから、x^2=2,3になってx=√2,√3です」
「あと少し足りないな」
「あ、x^2=2,3はx=±√2,±√3です」
「よし、よく出来た」
はぁ…危ねぇ……ってか綾瀬さん、数学は出来るのか?なら数学だけでも教えてもらいたい、俺の大不得意教科だし。
(出来たじゃん!)
(綾瀬さんが教えてくれたからだけどね。っていうか綾瀬さん数学は出来るの?)
(私も得意科目くらいあるよ!)
(あぁごめんごめん、もし良ければなんだけど…数学教えてくれない?)
(苦手なの?数学)
(うん、かなり苦手)
(そーいうことなら、全然良いよ)
よっしゃ!これで数学の赤点は免れたようなもんだ。後おれが嫌いなのは古典なんだよな〜…高校で急に教えられても分からんって。
(じゃあどこで勉強しよっか?)
たしかに…どうしようか。あ、近くにカフェあったな、一回綾瀬さんと言ったところ…そこにしようかな。歩いてそんな時間もかからないし。
(この前行ったカフェで勉強しない?そこならここから近いし)
(…)
ん?なんか変なこと言ったかな?急に静かになったけど…
(そ、そこじゃなくてさ……えと…)
ただでさえ小声で聞こえにくい声がさらに小さくなっていく。ぎりぎり聞こえてはいるが—
(みな…いや、湊君の家で勉強したいんだけど…良いかな?)
「はい!?!?」
「急にでかい声出すな湊!」
「すいません!」
いや流石にそれはびっくりするって…急に「湊君」呼びされたんですけど…なんかすっげぇ壁出来た感じする…
(い、いいよ…)
なんか喋りにくい空気になってる…ま、まあ、勉強教えてくれるならいいか…。後は古典だな。
キーンコーンカーンコーン♪
「じゃあ後は各自自習しておくように」
やっと終わった…。
「おい翔太、何いきなりデケェ声出してんだよ!」
終わって早々騒がしい奴が来た。
「なんだ裕也か…古典めちゃくちゃ出来るマンじゃねぇのかよ」
「なんだそれ…でも古典なら人並み以上には出来るぞ、めちゃくちゃ出来るとはではいかんが」
「マジか!なら古典教えてくれよ!!」
「いや、古典は単語覚えゲーみたいな感じだし…」
「物語の流れとかもあるじゃん!だからさ!!」
「わかったよ…で、日時と場所は?」
「今週の土曜、時間はまたわかったら伝える。場所は俺の家だけど、その日予定ある?」
「あーその日ならねぇぞ、行ける」
「ナイス!あ、じゃあまた時間決まったら連絡するから」
「オッケー」
ふぅ…これならなんとかなりそ—
「………長谷川君も呼ぶの?」
「…え?あー、うん。そのつもりだけど」
あ、そっか。俺は結構あいつと喋るけど、綾瀬さんは殆どないのか…そこまで考えてなかったな。どーするか…
「長谷川が来るし、綾瀬さんはあんま喋った事ないでしょ?だから無理に来てとは言わないよ」
「いや!行くよ!!」
「お、おぉ…分かった……ありがとう」
こうして3人で勉強会をする予定が立ったけど……なんか忘れてる気が…ま、いっか。
もし何かあったら連絡したら良いや。
高校になって急に古典やっても全然分からんよね。




