新しい人生
レビューや感想があると嬉しいです。あとこの小説は8/17以降は長い時間をおいてからの更新となるので気長に待っててください。
カルナの元から離れて俺は最初に自分の家があった場所へ向かった。これまでの弱い自分と決別するために。俺の家は原型をとどめていなかった。何だか無性に悲しくなり俺は家族全員分の墓標をたて花を供えた。これまで育ててくれた感謝ともう二度と会えない悲しみを込めて。しばらく立ち尽くしているとあの日のものと同じ魔物が現れる。戦うことへの躊躇はない。命を奪い奪われることへの恐怖も捨てた。今日が俺の、アレン・デモンの初陣だ。
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腰にさした刃渡り30センチほどの短剣を抜く。逆手に持ち油断なく構え、同時に魔術を行使する。使う魔術は強化魔術。強化魔術というのはものの強度や効果を強化する魔術で武器との相性が良い。魔力の微細な変化を感じ取った魔獣が距離をつめようとする。強化魔術は必要な魔力量が少ないはずだがそれを感知された。かなり感知能力が高いのだろう。だがもうすでに魔術は発動している。飛びかかってくる魔獣をひきつけ首へと剣を振る。カルナにもらった業物に魔術付与がされたのだ。この程度の魔獣を切り裂けないはずがない。俺の剣はたいした抵抗もなく魔獣の首を切り落とした。初めての戦い、初めての勝利に対する喜びがこみ上げてくる。ここから始めるんだ。新しい人生を、負けることの許されない日々を。
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魔獣を解体して魔石を取り出す。魔石は他の生物にはない魔獣特有の器官で大量の魔力が貯蓄されていることが多い。そのため様々な用途がありかなりの値段で売れる。さらに爪と皮も剥ぎ取り魔獣の死体を燃やす。放置しておくとまた魔獣がよってくるかもしれない。体や剣などについた血も拭き取る。そして因縁の相手とも言える魔獣を倒した俺はその場を離れて王都へと向かった。魔獣の魔石と爪、皮を売るのとギルドに入るためだ。道を歩いているといくつかの荷台と馬車があり商人のような格好をした男と護衛の冒険者が数人ほど休憩を取っていた。
「すまないがあなた達はどこに向かっているのだ?」
「王都だよ。目的地が一緒ならあんたも一緒に来るかい?」
「なぜ俺が王都へ向かっていると思った?」
「そりゃあこんなところで冒険者っぽい格好してる奴がどこに向かってるかなんて聞いてきたらわかるだろ。」
なるほど。なかなかに観察力があるようだ。さすがは商人だな。
「そうか。では俺も乗せてもらってもいいか、」
「あぁ、いいぜ。お前らもいいだろ?」
そう言って護衛に確認を取る。
「ええ、戦力が増えるぶんには困りませんからね。みんなもそれでいいだろ?」
一番年上の男が尋ねる。
「別にかまいませんよ。」
剣士風の男が答え全員が賛成した。
「ありがたい。少しの間だが世話になる。」
「いいってことよ。顧客がひとり増えると思えば安いもんだ。」
なるほど。そういう考え方もあるのか。
そして俺たちは王都へと向かった。
毎日投稿無理や…ガンバル(;^ω^)
他の人文量めっちゃ多いな…