失わないために戦う
投稿は不定期です。色々と至らぬ点もありますと思いますが楽しんでいただけたら幸いです。感想やレビューをいただけると励みになるので書いていただけると嬉しいです。
「クソッ…止めろよ!」
俺は叫ぶ。目の前で父が、弟が、母が魔物に生きたまま食われようとしている。なのに俺には何もできない。
「逃げろ…アレン。」
父さんが動けない俺を突き飛ばす。弟が泣き叫ぶ。母が涙する。俺は怖くなって逃げだした。俺は泣き叫んだ。怒りに震えながら泣き叫んだ。家族が襲われても何もできない自分に、唐突に小さな幸せを俺から奪っていったこの世の理不尽に。いつしか俺は見たこともなあ不思議な場所へ出た。まるで地獄のような見た目の場所だったが何故か恐れる必要はない気がした。
「誰だお前は。なぜこんな所にいる。」
不意に後ろから問いかけられた。振り向くとそこには一人の女がいた。どこか人間離れした不思議な女だった。
「質問に答えろ。」
女が言う。
「わからない。怖くて逃げていた。そしたらいつの間にかここにいた。」
「何から逃げたんだ?」
女が聞く。
「家族を襲った魔物から…」
女は顔を怒ったように歪めた。何が気に入らなかったのだろう。
「家族をおいて逃げ出したのか?この馬鹿者が。それでは魔物から逃げたのではなく自分自身から逃げたようなものだろう。」
「だってしょうがないだろ!俺には何もできないんだ。だから大切なものを取りこぼしてしまったんだ。」
俺には何もなかった。家族を失い、家もなく生きがいもなく全てに諦めをつけてしまった。そんな自分が嫌だった。そんな自分に怒りを抱いた。
「いい目だ。よし、お前にその気があればだがとっておきの力をくれてやろう。もう二度と何もとりこぼさないため力をな。」
そう言って女が手を差し出す。俺はどうすれば良いのだろう。このまま絶望するのか今までの自分を捨て去って強くなるのか。
答えはもう決まっていた。
「お願い、します!力をください!」
女は笑う。美しく、苛烈に、そして愛情を込めるかのように。
「いいだろう。今日が弱いお前が死んだ日だ。」
主人公 アレン・デモン
女 カルナ・プレティコサ
とりあえず名前だけ紹介しておきます。これから少しづつキャラクターの詳細も増やしていくのでお待ち下さい。(´・ω・`)