僕にできることがあるんだよ……。
重い話になってしまいましたが、こういう事もあるかもしれません。
辛くなったら、色んな人に相談してみて。道を踏み外す前に。
暖かく優しい日の光の下、町の小さな病院で僕は産まれた。最初に見たのは、大人の女性の顔。白く透き通った白い肌、靱やかで綺麗に真っ直ぐと伸びている少し量の多い黒い髪。顔には疲労の色が見られる。僕のママ!そう直感した。皆がミキ、僕を見ながら皆が言う。きっと僕の名前は、ミキなんだと納得した。皆と言ったけど、年老いたおばあちゃん、おじいちゃん。僕のじぃじとばぁばかな?ママと思った人の隣には大人の男の人。きっとパパだ!それにしても、ママのこの腕の中は暖かく、気持ちいい。これからは、この家族で楽しく暮らして行くんだね!
…そう思っていたのに…
そして、時は進んで僕が産まれて8年後。僕は小学校3年生!
…今日も家の中はママの怒鳴り声と皿が割れる音。ママがこうなったのは2年前から、パパと仲悪くなってからだった。その原因を作ったのは、僕。パパが他の女の人と出かけているのを学校帰りに見て、それをママ言ってしまったから。そこからパパはその人と何処かに出かけてしまってから、帰って来なくなった。ママはそれから僕に強く当たるようになった。
「アンタのせいでパパとママはバラバラになったせい!!アンタは何も出来ない役立たず!!」
そういつも僕に怒鳴る。テストで100点取っても、
「どうせ、まぐれ。アンタは出来損ないだから! アンタなんて産まなきゃ良かった!なんであんな事言ったのよ!!!」
前までは飲まないお酒を沢山飲むようになった。酔うと僕に怒鳴り散らして殴ってくる。今もそうだ、殴られる。
ママの強く握られた拳が僕の頬を何回も…何回も殴って来る。…痛い。
痛いと思った途端、僕が居るからこんな事になってしまったんだ…。そう思った。
「…ママ?」
「何よ…」
ママは、僕を凄い睨みつけてくる。
「ママ、僕に何も出来ないって言ったけど、一つだけママの願い叶えられるよ…」
僕はそう言って、窓開ける。塀を登るとそこは2階のベランダだった。冷たい風が背中をなぞる。怖い…そう思ったけどママの願いが叶うなら。僕は振り返りママの方を見る。
「ママ、僕を産んでくれてありがとう。こんな事しか出来なくてごめんね…。僕はどんなに殴られてもママの事、大好きだよ」
ママは、驚いた顔をしていた。小声で、やめてと言う声も聞こえたけど……もう降りちゃったよ…。
さよなら、ママ…パパ。
こんな親にならないようにと自分に言い聞かせた短編です。
子供には優しく、愛情を与えていきたいです。