第八話 作戦実行。
まず、バスを自動運転に切り替えて…
って出来ない!
あっちゃー、自分のバスと勘違いしたわ〜。
と、とにかくこの問題はまた後でだな。
危険だけど、やるか。
本来は法律に引っかかるけど…
運転しながら外の様子を伺う。
現在車とバスは並走している。
作戦の成功率を上げる為だ。
作戦はこうだ。
1)車をスキルl縮小でエンジンを小さくする。
2)中に乗っている人間をスキル催眠で無力化させる。
3)車と人間が無力化したらスキル浮遊で車を浮かせる。
4)車をスキル溶接でバスの後ろにくっつける。
5)中の人達をバスに積み込む。
6)ドリク村で事情聴取
こんな流れでいいだろう。
まずは、縮小しなきゃ。
「…スキルl縮小」
呟かないといけないのをなんとか出来ないのかなー、恥ずかしいんだけど…。
そんなことを呑気に考えていると、犯人の車のスピードが急激に低下した。
「あわわわわ」
急いで、
「スキル催眠!スキル浮遊!」
無力化させて、車を浮かせる。
犯人と人質が眠ったのを確認してから走行中のバスに、
「スキル溶接!」
くっ付けた。
ふとルームミラーで後ろを見てみると、特に焦ってる様子もなく、バスレクを楽しんでいた。
…隣にいた車の運転手には驚きの目で見られたが。
幸い、このバスと犯人の車ともう一台の車しか高速道路上にいなかったため騒ぎになることはなかった。
(と思いたい)
もうすぐで高速道路を降りるから、そこら辺で止まりたい。
犯人達をバスに積み込みたいからな。
そこでようやく、直樹達は異変に気づいたみたいだ。
後ろに得体の知れない物体があることに。
まっ、あとで説明すればいいでしょう。
高速道路を降りて料金所の方に後ろの方を見た途端白い目で見られたのは言うまでもないだろう。
☆
「ってな訳です、それでl全血竜君には協力をお願いしたいんだが…」
料金所を降りたあと、近くにあった道の駅で車を停めて事情を話すと、最初はポカンとしてはいたものの
すぐに顔が元通りになった。
桃寧曰く、
「呆れてんるんだよ?みんな」
らしい、どこに呆れる要素があるのかだろうか、不思議だなぁ。
「全然ええよ。久しぶりやから少し腕が鈍ってもうてるかもしれへんけどな」
座席の奥の方から声が飛んできた。
l全血竜だ。
彼は現世時代からの友人で名前をl國乃彩都。
元捜一、すなわち捜査一課の人間である。
現役時代は取り調べが上手く、自白しない人間はいなかったと言われている。
体格はゴツいのだが、顔だけを見るとみんながホッとしてしまう顔をしており、つまり可愛いということだ。
そのため「取り調べのl笑鬼」と呼ばれている。
本人は、
「やめろって!印象悪くなるだろ!」
と、切れているが…。
今は異世界時代の体の為、面影がない。
なんというか、l全血竜になってからカッコ良くなり、イケメン子犬系男子で様々な竜を虜にしてきた。
が、彩都は全く興味がなかったみたいだが。
ま、今でも警官時代のl空気が残っているからまだ通用するだろう。
「…ねぇ、僕のこと変な風に思ってなかった?」
「いや、思ってないよぅ」
こういう風に勘が鋭いので警官としての腕は鈍ってないと、言えるだろう。
…本当かどうか定かではないが。
本人曰く、
「これでも鈍ってる方だ。昔なんかなぁ!犯人探さなくてもすぐにわかったんだよ!こいつが犯人だってな!
でもよ〜若造は信じてくれなくて無駄な捜査しかしなかった。これだから世間知らずわぁ〜!」
と、酒に酔ってベロンベロンになっているから、またまた本当かどうか定かではないが。
それはさておきドリク村まであと少しだ。
待つのもいいが。
今やっちゃおうか。
「彩都〜、準備して」
「よっしゃーいっちょやりまっか!」
腕をまくって気合十分の彩都。
「今場所用意するから」
そして自らが、習得したスキルで倉庫に入り取調室っぽく空いている空間を作り上げた。
完成したところで、取調室の横に冷蔵庫を備え付ける。
…なんで倉庫の中に冷蔵庫があんだ?
そして、頭の中に優輝の姿がチラついた。
(あいつかよ!)
突っ込んでから、
(あとで処分だな!処分!)
そう決めた俺だ。
☆
「あとは、カツ丼と牛乳かな」
取調室の制作がひと段落して足りないものを考え、足してみた。
刑事ドラマの定番でいいか。
これなら十分のl道具《武器》になるだろう。
そして倉庫から現世へと帰った。
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