第六話 やっと、アンケートかっ!!
そして、1時間後。
「おーい、グレープジュースはあるか〜?」
「搾ればありますよ?」
「風呂入ってきていい?」
「あっ、俺もー」
「あんたは男でしょ」
「いいじゃん、混浴ぐらい」
「駄目ですよ。お年頃の子は今しっかりと教育しなければなりませんから」
「もうお年頃の年じゃ無いんですけど〜」
「それにだ、ここの風呂は狭い」
「そうだったな」
勇人、サラッと悪口言ったな?
「おーい、オレンジジュースはあるか〜?」
「絞れる人がいるなら…」
「あっまだ、余裕あるね。もっと呼ぶかー」
「呼んでくるついでに、本持ってきてー」
「手数料468円で〜す」
「安いか高いか微妙な金額だな」
「おいコラ人の部屋でなにしとんじゃ」
そう言っても掻き消されるほどのうるささである。
『コーラー!』
全員の頭の中に呼びかける、いや怒鳴った。
一瞬にして静寂が訪れる。
例えるなら…先生にブチ切れられた時にクラスが静かになる、といえば分かるだろうか。
ってこんな呑気なことを言ってる場合じゃなくて!
「呼び出した理由、覚えてるか?」
俺独特の、冷たく聴いたものを震え上がらされる声-(いつもは出してない)-で尋ねる。
「…」
誰も反応しない。
強いて言えば直樹が欠伸をしているぐらいだ。
んん!?欠伸!?
「直樹。欠伸をしているぐらいなら答えられるよな?」
「んーなんだっけ?…ああそうそう、アンケート取るって言ったような…」
お、直樹にしては真面目な回答が帰ってきた。
…成長したなぁ。
が、しかし期待は裏切られる。
「アンケートの内容は、隆盛の彼女に相応しい人だったよな!」
「…(イラッ)」
この後彼は-直樹-夜一人でトイレに行けなくなるほど-実際行けなかった-の恐怖を、隆盛に味わされた。
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「…君たちって、そんなに記憶力悪かったっけ?」
「多分そうだと思うよ」
糸唵が言うが、そんなの嘘だ!
全員が頭脳明晰、運動はそこそこできるかめっちゃできるかの人間だけだった筈だ。
要は文武両道のパーフェクト人間が周りの人だったと思うが…
「君が言うのだから、バカなんだろうね」
「左に同じく」
「俺も」
賛同する意見が多い。
みんな魔王につられすぎだろう、あっでもそうか。
側近バカだし。命令は従うからなぁ。
魔王の友達がほとんどだからしょうがないかぁ。
「じゃぁ、戻す」
「はっ?」
「……結界竜……」
「おい!こっ……」
言葉の途中で魔王達は消えてしまった。
何が言いたかったのかはわからないけどな。
…なんとなく想像はつくが…。
しょうがねぇ、1人だけ出すか。
「隆盛」
「んっ?なに?」
あれっ?入ってなかったの?
あっそうか、俺が設定をいじくって桃寧だけ入んないようにしたんだった。
「なんで入ってなかったって思ったでしょう」
「なんで、微妙に心を読んでるんだ!」
「…そりゃ、………か、か、彼女だし、…つ、つ、妻だし。微妙って何?」
「彼女では、あるけど妻ではない、あと微妙ってのは少し合ってたから…」
「私が、妻じゃ駄目?」
桃寧が目をうるうるさせて上目遣いで俺を見る。
…凶器だ、人をダメにする。
絶対にみんなの前では見せたくない…
「嫌ではない」
「なら、いいじゃん!」
今度はテヘッとして笑う。
表情がコロコロ変わるなぁ〜。
「…それはいいから、ドリク村までなにで行けばいいと思う?」
「うーん、途中まで転移で行って、そのあと車で行けば?」
「予算的に厳しいかも…」
「お金なら一生遊んで暮らせる程あるくせに…」
横を向いてボソッと棘のある独り言を呟く桃寧。
怖いですよ〜桃寧さん?
こういう時の桃寧は機嫌が直るまでに時間がかかる。
こういう時の対処法は…
「…桃寧の賢い案を採用させてもらおう」
おだてるに限る!
「やった」
と、小さくガッツポーズをしてこちらにニコッとして見せる桃寧。
…前世はエルフ-今もその面影が残ってる-なんだから、もうちょい自覚しろ!
…だから溺愛してしまうんだよ。
「リア充幻滅しろっ!」
って方は辛かったと思います。
不快な気持ちになった方は心よりお詫び申し上げます。
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