第五話 結界、壊します!
まだまだ!
でもな、転移スキルは一度行ったことがあるところにしか行けないから難しいな。
アンケートでも取るかな。
「解放魔法!」
そう叫んで、結界を壊す。
そして俺の右腕からわやわや人が出てくる。
「魔王ばっか外に出てさズルいよ!」
「しょうがないよ…あの結界はl魔王《直樹》しか解けないんだから」
「久しぶりに外に出た〜」
「空気が美味しい…」
一気に10人ぐらいが外に出たので静かだったマンションの一室が、一気に騒がしくなる。
「あのー皆さん。人の部屋で騒がないでもらえますか?」
そうすると一瞬にして静かになった。
なんでだかわからないけども…
しかし読者の方には疑問が起きるかもしれない。
何故、異世界の人間が現世で生きられるかという事に。
理由はとってもシンプル。
元人間だからだ。
ここに普通の魔物を解き放つと、すぐに死んでしまう。
だが、魔王達は、一応元人間だから生きられる。
仕組みは、魔物は周りの魔素を吸って生きていく。
しかし残念ながら、現世には魔素が空気中に漂っていない。
その結果死に至ってしまう、と言うわけだ。
これにあぶれるのが、俺たち転生組。
元々魔素に頼って生きていないため、己の力で生きていくことができると、俺は推測している。
…研究をしているわけではないので詳しくはないが。
話は戻って。
「あのー、何故結界をぶち壊したかわかりますか?」
皆を見渡しながら言った。
「…単純に会いたかったから、とか」
「ご馳走を振る舞ってくれる」
「雑用係」
「自由にするため?」
みんなが好き勝手言うので、バンドのライブ会場のように騒がしくなる。
「みんな違〜う!アンケートを取るためです!」
そう言うとみんなの顔が
「一体何をアンケートするんだ?」
「誰が一番彼女にふさわしいか?」
「なわけ」
「じゃあ、おにぎりの具は何が好きかとか?」
…いい加減食べ物ネタから外れようか、優輝。
因みに優輝は、魔王の側近であり転生する前-一番最初-から直樹と仲が良く、直樹が橋渡しになり
僕らも仲が良くなった。
優輝は、ご飯が大好きだからどうしても食べ物ネタになってしまう。
全く、容姿端麗なのに口を開けば…やれやれ何故俺の身の回りの人間は容姿端麗なのに曲者なんだろうか…
またまた話を戻して。
アンケートの内容について話そうとした時、直樹が思い出したような顔をして、
「そういや隆盛彼女おったよね」
直樹の言葉に全員が凍りつく。
途端に、みんなが一斉にこっちを見る。
一気に自分の顔が赤くなるのを感じる。
「…いたんだ〜」
彩音がにま〜っと笑い、
「ま、容姿端麗だからねぇ〜隆盛は」
と、呆れた顔をしながら言うl糸唵に、
「逆に良く今まで隠せたね、隆盛は嘘つけない性格だから」
と、莉愛。
「…いいからやめてくれよ…」
蚊の鳴く声で言ったがそれは興奮しているみんなの耳に届くことは無かった。
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「ねぇ〜、誰なの?」
彩音がニヤつきながら聞いてくる。
「教えるか!…どうせいじられるし…」
「ああ彼女なら桃寧だよ?」
「直樹グッジョブ!」
「直樹テメェ!」
直樹が横から突っ込んで人の彼女を勝手に教える。
「まぁ、勇者時代から付き合ってるらしいんですが…」
「直樹…お前覚えとけよ。」
直樹の悪事を心のノートに赤ペンで記入して仕返しを決意した。
「え?嘘、勇者時代にはそんな素振りは全く無かったのに…」
「まぁ隠れて付き合ってたらしいからな。隆盛は隠すのは上手かったから」
おいおい優輝、入ってくるな?
「てか、桃寧さぁ現世にいるよね?」
「と言いますと?」
直樹が俺に訊いてくるが、惚けながら言うと、
「え?そろそろ帰ってくる頃だと思うんですが…」
その時、玄関の方からガチャっと音がした。
…うわ最悪。連絡しておけば良かった。
そのまま廊下を歩きまっすぐリビングにくる。
「噂をすれば桃寧じゃないすっか」
当の本人はビックリしてレジ袋を床に落とす。
「直樹…もうやめてくれ」
懇願する様に直樹に話しかけた。
「え?なんで皆さんがいるんですか?」
首を傾げながら訊く桃寧。
「え〜と、隆盛が出してくれました」
そう言うと、桃寧がこちらに来て僕を引っ張りみんなに声が聞こえないようなところに行く。
「なんで、出したんですか?」
小声でかつ少し怒っているような感じだった。
「そのー、簡単に言いますと仕事をクビになって引っ越そうかと…」
「勝手に決めないでください!こちらとて事情があります、いきなり言われても難しいです、
と言いたいところですが良いですよ?」
「えっ!良いの!?」
「どうせ引っ越すところはあなたがちゃんと、色々なことを考慮して決めたんでしょう?」
…桃寧には悪いがテキトーだ。
が、それを言ったら後が怖い。
「…う…ん」
「ん?どうしました?」
「いやなんでもない」
すまん!桃寧!嘘をつかさせてもらった…
ってか!アンケートを取ろうとしたのに、全く別の路線に行ってるぅ!
それもこれも全て、直樹のせいだ。
…魔王恐るべし!
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