第十三話 執務室へレッツゴー!
「おお!」
言われた噴水に来てみたが、噴水が立派なものだった。
異世界時代の王都の噴水に似ている…王都?
なんで似てんだ?
しかも噴水の周りの感じが和風にはなっているが酷似している。
やっぱり偶然なのか?それとも…。
いやないだろう。
「お待たせしました」
「いや今来たところです」
「…それは彼女に言うセリフで、男子に言うセリフではありませんよ?」
「…事実を述べただけですけど…?」
「そうですか…」
少し頭を抱えて言う麻山さん。
何かまずいことでも言っただろうか?
「とにかく行きませんか?その村長の屋敷とやらに」
そう言うと麻山さんは顔を上げて頷いた。
☆
「なんか近くで見ると予想以上にでかいですね」
「そうなんです、見えてる距離と実際の距離が釣り合わないんですよ。どうやら村長がそれを望んだらしく」
「へぇ〜」
今目の前に自分の背丈の三倍ほどの門があり、門の先には広大な庭があった。
その真ん中に門と屋敷を繋ぐ一直線の石畳の道が敷かれていた。
にしても村長はなんで変なことを考えるんだろう…
「…普通はこれを見ると圧巻されるんですけどあなたは違うみたいですね?」
「前に見たことがありますから、これよりでかいのを」
そう言って王都の城を思い浮かべる。
これの十数倍ぐらい大きい。
下手をすれば桁が一個増えるかもしれない。
とにかく馬鹿でかい。
そうとしか言いようがない。
初めて見た時は、言葉がでなくて立ち尽くしたもんな。
「それじゃ、中に入りましょうか」
「そうですね…でもどうやって中に…」
「安心してください」
そう言うと門の前まで歩いて行って門の扉に触る。
すると触れたところから小さいが赤い光が見えた。
すると扉が開いた。
「はい?」
「驚きました?」
「はい」
いやもうこれホントーに辺境の村か?
どっかの最先端IT企業じゃなくて?
この世界での人間の技術的にはこんなことはまだ無理だと思うけど。
「では行きましょう」
そう言って麻山さんは石畳の上を歩いて行った。
「わわ、待ってください」
そう言って麻山さんを追いかける。
この門を調べたいが、今は村長のところに行かなければ!
にしてもあれは異世界の技を使えば全然作れるけども、現世の技術だけで作れと言われたら無理だぞこりゃ。
「すごい考え込んでますね」
「えっ?」
「なんでわかるんだみたいな顔をしてますよ?」
そんなに顔に出やすかったっけ?
元々顔に出る方ではあったがちょっとだけだったはずだが…
「まぁそう思っても無理はないですよ、だってそういう心の変化はなんでか知らないんですが、鋭いんですよ」
「へぇ〜、じゃあ多少なりともわかるんですか?」
「多少は鋭いと言うことですね、隆盛さんは顔に出るのが微妙なんですが体に出てますね」
「え?」
思わず目をパチクリしてしまう。
「体に、ですか…」
「だって、手を顎に当てて下に向いているんですよ?だれでも分かりますよ」
「なるほど。納得です」
大きく頷いた。
自覚ないなぁ、体に出てると言うことは誰にでも分かるということか…
なんか悔しいな。
そう他愛のない話をしていると玄関に辿り着いた。
すると麻山さんが扉の上を見て、
「着きました、村長開けてください」
と言った。
『うむ、入ってくれ』
優しいお爺さんのような声がしてから、ギィ〜と目の前の扉が開いた。
「相変わらずすごいですね…」
「いや〜、普段は開けっ放しなんですけどここ一週間は扉を閉めていたんですよ。多分隆盛さんが来るからなんでしょうね」
「なんだと思われてるんですか、俺は」
「村長に聞いてください」
笑いながら自分に言ってくる。
扉の先にはだだっ広い玄関があり、横には靴を置くためのものかロッカーが設置されていた。
その先には大きな大階段がありその脇には廊下がついており見た目で迷路のような感じをした。
「迷宮に入ったように感じます」
「本当に迷宮ですよ、ここ…」
げっそりとした顔で返されて気まずくなる。
よっぽど広いのだろうここは…
「村長のところまで案内します。ついてきてください」
そう言われて麻山さんの後をついていくと、階段を登り右に曲がり少しまっすぐ行くと、
木製の綺麗な扉の前に来ると、止まり
「ここです」
扉の上には執務室というプレートが付けられていた。
「執務室…近くないですか?玄関から」
「面倒だったみたいです、というか部屋はあんまりないんですよここは」
「え?どういうことですか?」
「詳しくは村長に…というかその質問を覚えていたらいいのですが…」
「はい?」
うしろの方が声が小さくて聞こえなくなる。
「ではいってらっしゃい!」
扉を開けて俺を押し出す。
「わわっ〜と!」
バランスを崩しかけて部屋の中でつんのめる。
慌てて目の前を見るとそこには座り心地の良さそうな椅子に、まさに執務室の机という机にいる初老の男性がいた。
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