プロローグ
ただただ趣味の作品です。
気が向いたら読んでみて下さい。
ボクの記憶の中にとても強く残っている思い出がある。
それは、ボクがまだ小学校の低学年だった頃だ。
子どもの思いつきは唐突で、夏休みに家族には内緒で祖母の家に行こうと小さな自転車に乗って、その時のボクはひとり走り出した。
いま思えばボクの家から祖母の家までは、車で片道三時間はかかるので行けるはずがないと思えるが、その時のボクはこれっぽっちも距離の事なんて考えずに家から走り出したのである。
そうして、案の定──ボクは道に迷い、帰れなくなったのである。
少しずつ暗くなってゆく空と、何処まで行ってもたどり着かない焦りで、その時のボクはパニックになっていた。
そうして、何処かもわからず、人もいない場所を彷徨っていたその時のボクは───────────────────────怪物達に襲われたのだ。
「ボス!このガキを捕まえて、今日の晩飯にしやしょう!」
「それはいいな!よし、捕まえろ!」
そう言って、怪物達はボクを自転車から引きずり下ろし、手足を縛って連れ去ろうとしたのだ。
『もう駄目だ、殺される』
そう思った時────
「待ちなさい怪人共!その子から手を離せ!」
そう言ってあらわれたのは、黒髪のロングで黒いジャージ姿にネックレスをしたお姉さんだった。
「何だぁ貴様、邪魔をするな!」
『怪人』と呼ばれた奴等は、お姉さんの方を見てそう叫んだ。
「何の罪もない子どもを拐って、そのうえ食べようだなんて!───」
「───絶対に許さない!」
そう言ってお姉さんは、首から下げていたネックレスを掲げた。
そして─────
「変身!!」
お姉さんがそう叫ぶと、ネックレスから『Change Over』と声が聞え、お姉さんの姿が光り輝く。
「何だなんだ!何者なんだ!」
怪人達が騒ぐなか、お姉さんの姿を包んでいた光が消え、姿が見えるとそこには──黒いスーツで全身を覆い、黒いヘルメットをした人物が立っていた。
「なっ!?『ヒーロー』だと!こんなところで!」
「こうなったら、あいつごと殺っちまえ!」
怪人達が黒い人物に飛び掛かった瞬間───
「ハアァッ─────!」
力強い声が聞こえ、怪人達はその場に倒れた。
そして、黒い人物がボクに近づき、ボクを縛っていたロープをほどいてくれた。
黒い人物が光り出し、それがおさまると、さっきのお姉さんになった。
「キミ、こんな時間にひとりで居たら危ないよ」
そう言ってお姉さんはボクの頭を撫でた。
「そうだ!キミ!これをあげるよ」
そう言ってお姉さんは、ポケットから自分がしているのと同じ形のネックレスを取り出した。
「これがあれば、また襲われたりしたときに私が直ぐに駆けつけるから──だから、持ってて」
そう言ってお姉さんは去っていった。
その後、直ぐにボクは警察に保護され、家に帰ったのだった。
そう、ボクは小さい頃に『ヒーロー』に助けられたのである。
それからボクは、いまに至るまで『ヒーロー』に憧れている。