監禁1日目: わからないの。
お姉ちゃん視点。
ふふっ、可愛い。
顔中に『やっちまった』みたいな焦った表情貼り付けちゃって。
ちょっと鏡を持ってきて君に見せてあげたいくらい、その表情は傑作だ。
どうしても、君がどんなに好きでも、この楽しい感覚は我慢できない。人が焦った表情と、痛みに顔を歪める表情。この2つを『面白い』『楽しい』『可愛い』と感じてしまう私は、とっくの昔に壊れてしまっている。今更考えてもしょうがない。それでも君には、出来るだけそれを向けまいとしてるんだけど…伝わってないだろうなあ。
この冗談めかした口調と笑顔も。
バカっぽい台詞も。
全部。
『ツクリモノ』。
君には、いつまでもそれに気付けない子供でいて欲しいなあ。
なんて思いながら大振りな金切り鋏を持ち直して、適当に長さを取って、鎖を切る。まあ最初は見せしめの意味合いも兼ねて、長めにカットしてしまおう。
別に私はサディストでもないし、性的倒錯者でもない。
でもやっぱり、ちょっと楽しいし、面白いのだ。
そこそこ大人になった君は、生意気な可愛い男の子。
そういう子は、余計に、ちょっと苛めたくなる。
それだけ。
昔よりずっと大きくなった目の前の君を見て、私は自分自身の衝動を抑えきれていない。
多分私の愛情表現は可笑しい。
それは知ってるから、出来るだけ抑えているけれど。
でも、しょうがないよね。
それ以外、どうしていいかわからないの。
そんな私自身を、君に知ってもらいたいわけじゃない。
ただ、ちょっと付き合ってくれるだけでいいんだよ。
私の自己満足だからさ。
だから…
もう少しだけ、一緒に居てくれないかな。