04 加護と適正
魔法とか加護とか良いですね。勝ち運の加護とか、お金が稼げる魔法とか授けてもらいたいです。
マサの両腕の光の明滅は速度を増し、やがて明滅をやめ、すうーっと消えていった。
はっとなったマサの顔から高揚しているような、湯気が出てきそうな赤い顔をしていた。
『うまく発動しましたね。しかもあなたには魔法の適性があるようですね。それも仙人に教わるとよいでしょう』
もうすでにマサのキャパオーバー。もう頷くしかなかった。
『2年後。仙人があなた方の前に現れます』
「わかりました。仙人様の来られるのを待ってます。それともう一つ伺っても良いですか?」
『何なりとお聞きください』
「精霊様の名前とか位とか有るんですか?」
『そうでした。まだ、名乗ってませんでしたね。』
精霊が少し照れたような声で
『名を”セイメイ”と申します。この準精霊の子も、マーリンと言います。位は精霊にはありません。精霊は長生き故に年を重ねていろいろな特技を吸収してやがて名を貰い、それから事象をも操れる大精霊になっていきます。私はまだまだですね』
マサは、前に夢に出てきた不思議な格好の祈祷師の名が同じ”セイメイ”だったことを思い出した。
『私の前では”セイメイ”と呼んでください』
「では、セイメイ様。私たち家族と村を、宜しくお願いいたします」
『こちらこそありがとう。さあ、もう暗くなります。村に帰り、明日の朝、ミサと二人で神樹の前に。その時にまたお目にかかりましょう。マーリン、マサを村まで連れて行ってあげてください』
そう言われると、光が籠の上をクルッと回るとストンと籠の中に消えた。
あたりが静けさに包まれ、もう日も沈みかけている。
「早く帰ってミサにこのことを話してやんねーと・・・」
立ち上がったマサは、上着を脱いで籠の中の子に寒くないようにと巻き付け、籠ごと抱き上げて森を出て行った。
子供とこの夫婦の、これからの荒波に翻弄される(かもしれない)運命の出会いであった。
次回、やっと主人公が登場。約束の2年後からです。