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38 新しい仲間

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


投稿不定期で申し訳ありません。改善に向け全書いたします。(本格的なダンの活躍までもう少し。頑張りますので待っていてください)


大海原の向こうにある島にたどり着いたマサとガトー。


一休みして、腹ごしらえしてから調査を開始するつもりで火をたき食事をしていた。


その近くの森の中でマサ達を睨み、涎をたらし、今まさに襲いかからんとしている。


「今、何か音がしなかったか?」


「いや。私は聞こえませんでしたが。まさか魔物ですか?」


「わかんねぇ。でもまだ此処の魔物には会ってねえし、どんなのが居るのか、わかんねぇ。その調査をしに来てるんだし。もしかしたら魔族に先を越されてるのかもな」


「怖いこと言わないでくださいよ。魔族と直接戦えるほど、私は強くないですから。マサさん頼みなんですから」


「わかったわかった。偉そうに護ってやるって言えねえが、ガトーひとりぐらい逃がしてやるぜ。身体張ってな」


「マサさん。私が女なら今のでイチコロですよ」


「キモいこと言うなよ。俺にはミサが居る。余所でそんなことして見ろ、直ぐにバレて放り出されちまうわ」


「まあそうですね。ミサさんが相手じゃ。精霊様の加護貰ってるんだから、悪い遊びは出来ませんね」


「まあ、本当に心から愛する女が女房になったら、浮気は考えられねえ。まあ世間の普通の男はそれでも浮気はする見てえだがな」


冗談交じりの会話を交わしながら、二人は周りの警戒の感度を上げた。


マサは精霊術で結界を広げ、ガトーは自分の喉を震わせ、高音を出しコウモリのような超音波で周りの動きを感じ取っている。


「マサさん!」


「わかっている。まだ動くなよ」


ガトーは何かを感じ取っていた。それをマサに伝えるとマサも感じ取っていた。


「さっきの音を感じたのも、同じですかね」


「多分な。合図したらそこの小石を俺の背中の藪目がけて投げてみてくれ」


「わかりました」


二人小声で話しマサの背後を警戒しているが、何気ない振りをして様子を伺っている。


林の中では涎を垂らしながら、マサとガトーが動かす手と口を黄色い眼と縦長の瞳孔で睨みつけている。


暫くしてガトーが小石を拾おうと少しかがんだ瞬間、奇妙な音が林の中から聞こえてきた。


「ギュルルル・・・・」


「マサさん?」


「俺じゃあねーよ」


「鳴き声ですかね?」


「鳴き声にしては、何か聞いたことのある・・・音のような・・」


「何か虫ですかね?」


「む、虫?・・・・・腹の虫?ガトー。そこの丸焼きにしてる鳥かコウモリかわかんねー奴焼いただろ。その足片方こっちにくれないか」


「良いですけど、もう少し焼いた方が・・」


「いいんだ。俺が食うんじゃ無いから」


そう言いながらマサは受け取った肉を精霊術で風を起こし、林の中に臭いが届くように微風を送った。


「ギュルルル・・・・」


「もういいかな?」


そう言うと持った肉を右手に持ち、右方向に高く放り投げた。


”ザバーーバキバキバキーーー”


牛か熊かと思うくらいの大きな体格の生物が飛び出し肉の方向に飛んできた。


「グヲオオオオオン」


マサとガトーは飛び下がり、木に隠れて様子を見ている。


「あれは魔物ですか?」


「何だろうな?短いけど角が二つ頭にあるだろ。尻尾もあって、背中に小さい羽が生えてるし。顔は何となくドラゴンに似てますね」


「精霊さんが居てくれりゃどんな奴か見て貰ったら直ぐわかったのによ。森の奥の精霊を探しに行って貰ったから、帰ってくるまでわかんねえ。取り敢えずやっつけて眠らしとくか」


マサは剣を持ち、腰の後ろに隠すように構えた。じわりじわりと回り込み、魔物の左後方にいつでも飛びかかれるように身構えた。


飛びかかろうとしたその時、またもや木々の中から今度はマサも知ってるサーベルタイガーもどきの魔物が先に肉をむさぼっている魔物に飛びつこうとした。


”ガーーーーーギャオオオオーーン”


真上から飛びかかってきたサーベルタイガー擬きに向かって顔を上げ口を開けた。


”グオーーーーン!!!ボーーーン!!!”


魔物が火を噴いた。襲いかかったサーベルタイガー擬きは一瞬で焼かれ灰になっていた。


横で見ていたガトーとマサは口をポカーンと開けたまま、固まっていた。


「お、おい。あれは!」


「そうですね!た、たぶん・・・ドラ」


「その先は言うな!わかっちまったから言うな」


「でも、動けませんね。どうします?」


「俺に考えがある。今日の予定の夜まで飯は無いからな。もしかしたら夜も無いかも知れねーがな」


「マサさん、飯の心配よりこれを切り抜けられるんですか?」


「一かバチかだ」


そう言ってしずかに足を動かし、残りの肉と鍋の所まで来た。


片手に肉。片手を鍋の中の杓に手を掛け、じっと魔物の方を見つめた。


やっとさっきの肉を食べた魔物は次を食べようと探し始めた。


「お前の探してるのはこれか?取れるもんならとってみやがれ!」


ちょっと震えながら啖呵をきって、腰をおとして身構えた。


”バフーーーーン””ハアハア”


”ベローーーーン””ハアハア”


「??」


「マサさ〜〜〜ん、何か可笑しー〜ですよ!」


「お前何処まで逃げてんだよ。聞こえねーよ。もっとこっち来いよ!」


マサが肉と鍋を持って向かっていったとき、ガトーはマサの後ろに向かって走っていき相当魔物が小さく見えるまで離れた。


ガトーに気を取られて居る場合では無い。気を取り直して前を向き直ったマサ。魔物を見て眼を疑った。


マサの手に持っている肉を見て涎を垂らしながら、ぴんと伸びた尻尾をぶんぶん振っている。飼い犬が飼い主に餌を貰う時のように。


「お前はこれが好きなのか?」


手の動く方に魔物の目が、顔が動く。


右に左に、上に下に。下に下ろしたときは、地面に這いつくばった格好になった。所謂”伏せ”である。


「お前、もしかして・・・」


なおもブンブン尻尾を勢いよく振り、肉を貰えるのを涎を垂らしながら待っている。


「わかったわかった。やるから、暴れるんじゃ無いぞ」


そーっと近づき、鼻の頭まで手をゆっくり伸ばした。


魔物の方も、鼻をマサの手に近づけてきた。


”ブフォー”と音をだしながらマサの手の臭いを嗅ぐように。


「ほらよ。これはお前にやるよ。いいか、暴れるんじゃねーぞ!」


理解出来るかどうかわからないけど、目を見て言って聞かすように話しかけるマサ。


「コウワアー」


「何だ?俺の言うことがわかるのか?」


「コウワアー」


叫んだかと思うとマサの差し出した肉を加え取り、ガツガツとむさぼった。


「おーーいガトー!大丈夫みたいだぞー!」


「ほんとーですか。近寄ってから火を噴くとかなしで」


「そんときゃ風で飛ばしてやるよ。しかし、こいつはどういうことかわかるか?」


「見ている限り、私たちに害する気は無いみたいですね」


「おまえ地竜みたいに話せないのか?」


「ああ、怖くてそれどころじゃ有りませんでした。ちょっと試してみますよ」


「案外ビビりだな」


「ん、んん。兎に角やってみます」


マサに弄られ、照れ隠しに咳払いを一つ。そしてガトーは、喉をゴロゴロ鳴らし出した。


ガトーのゴロゴロと喉を鳴らし出すと、魔物がビックリしたように肉をかじるのを止め、ガトーの方を見つめだした。


暫くの間ガトーと魔物のやり取りが続く。


やがて”アーーーー”と魔物が笑うように吠えた。


「どうなった?」


やり取りをじっと見ていたマサがガトーに会話が出来たのか聞いてきた。


「はい。最初は通じませんでしたが、合わせてくれました。こいつまだ幼いドラゴンですよ」


「これで幼いドラゴン?・・・何の種類かわかるか?」


「多分、黒龍の次に恐れられてる奴ですよ」


「黒龍の次に?・・・もしかして・・飛龍か?」


「その様ですね。しかも大きい方の奴ですね。親は火を噴く山から出てこないらしいですから」


「火を噴く山からって、それお前、・・もしかしてサラマンダーって言うんじゃ・・・・」


「それはどうか知りませんが、こいつがそう言ってます」


「エラいもんがいたなあ。と言うことはこいつはサラマンダーの子供。ファイアードラゴンか?」


マサはこいつを奥へ連れて行こうと考えた。島の南においておくと、魔族の企みに使われてはたまった物では無い。小さいとは言へ火を放つドラゴンが人間の町に現れたらそれだけで大騒ぎである。


ほっとため息一つ、やがて手をドラゴンの鼻筋に伸ばした。


ファイヤードラゴンは目を瞑り、マサのすることを受け入れているようである。


「こいつに名前を付けて良いか?」


「えええーー!連れて帰るんですか?」


「まさか!ここで居る間世話するだけだよ。まあ言わばテイムするって事になるか。連れて帰ってもダンに任すしか無いしな」


「そう言えばダン君今頃どうしてるんですかね。順調に修業してるんですかね。早く逢ってみたいですよ。小さいときから凄い強いって、どのくらい強いか見て見たいですよ」


「生まれたときから戦う運命にあるって、どんな拷問だよって俺はそう思うよ。今は詳しくは言えねーが、何れ時が来たらお前にも知ってて貰いたいが、今は言えねえ。だがお前の力も貸して貰いてえ」


「もちろんですよ。お互い様じゃ無いですか。人間全部で戦わないと、魔族には勝てませんよ。仙人様達が戦うって言っても、俺たちも何もしないで見ているなんて出来ませんからね」


「ありがとう、ガトー。さあ飯は食い損ねたが、奥に行けばもっと旨いもんがあるかも知れねえ。行くとするか」


「マサさん、名前名前」


「おう、そうそう。こいつの名前・・・・お前雄か?雌か?」


「多分、雄ですよ。話してると何となくわかるんです。うちの地竜とよく似てますよ」


「そうか、お前は雄か。・・・ポチ、タマ、ドラ、マックス、・・」


ファイヤードラゴンは元気なく俯いてしまった。


「どれも犬猫の名前のような気がしますが?」


「そんじゃ、イチローとか」


「いろいろ問題ありすぎませんか?」


「そんなこと無いぞ。村長ン所の近所の子供にはゴローって付けてやったんだぜ」


「人間は良いんじゃ無いですか。魔物やドラゴンは別だと思いますが」


「細かいことは気にしちゃ負けだぜ。ま、兎に角だ。何となくだがこいつの名前はドランが良いんじゃ無いかと思うが、ガトーどう思う?」


「なんだかこいつマサさんの方見て尻尾振ってるみたいだし気に入ったんじゃ無いですか」


「そうか、気に入ってくれたか。これからお前はイチローだ」


「違いますって」


「ん。おお、違った。お前はドラン。たった今から、ドランだ!」


”ギャオオオオーーン”


名前を付けられたドランは嬉しそうに空に向かって吠えた。


森の中に響き渡るほどの叫びを満足げに終えて、ドランはマサに向かって頭を低く突き出し、鼻先をなでて欲しそうに”フガー””バフ−”と荒くしている。


「マサさん、こいつ、ドランが背中に乗って欲しいみたいですよ」


「えええ。乗るのかい?む、まあ、の、のれねーこたあねえが」


「何ビビってんですか」


「だってドラゴンだぜ。飛ぶんじゃ・・」


「あの羽見てくださいよ。あの体格にあんなちっちゃい羽では恐らく飛ばないんじゃ無いでしょうか」


「そ、そうか。た、高いとこ苦手だから。頼むぜ。飛ぶときは言ってから飛んでくれよ。心の準備が居るからよ」


「マサさんにも苦手な物があったんですね」


「そりゃあるよ。ミサと、空腹と、高いとこ。三大恐怖って」


”ちょっとあんた!!”


「なにーー!!」


「どうしたんですか?」


「い、今ミサの声したろ?」


「いいえ。何も聞こえませんでしたが?」


「気のせいか?」


「ビビると幻聴ってあるもんですよ。怖い声が聞こえるって」


「はあー、あせるぜ。さ、ビビってないで森の奥に行くか」


「行きましょう。食料も調達しないといけませんし」


「ワゥフーッ」


このあとダンとファイヤードラゴンが、奇妙な旅に誘われていくが魔族との戦争が収まってからの話。


マサとガトーを乗せたドランは、大陸の断崖を螺旋状に登っていく。


時々出くわす魔物も、マサとガトーが、大きな物はドランが片づけていった。


「夜の食料も手に入ったし、此処を越えたら野宿の用意だな」


「そうですね。さっきがあんな中途半端な感じだったんで、おなか空きましたよ。あいにく海から離れてしまいましたが、今度はしっかり食べましょう」


「そうだな。ドランも腹空いたみたいだしな。さっきから鼻をクンクンならしてんだよ」


木を拾っては集め、蔦を見つけては引き裂いて紐を編み、長いロープを拵えていた。


木を編んで即席の椅子を拵え、二人が乗りやすいようにドランの身体に据え付けた。


振り返ると1000メートル以上登っていた。


「フオーオオン」


やっと目標の高地までたどり着いたのか、ドランが鼻息で報せた。


「さあ、飯の支度・・・・・・これは!!」


「どうしたんです?なんか?」


「あれ見ろよ!」


マサがガトーに顎で合図!眼を見開いて驚いている。


ガトーも見て口を開けたまま、固まっている。


100メートル、いや200メートルぐらいの深さの谷底のような所に人間の集落と、周りの森が緑青々としており、その外側を岩の崖が囲むように切り立っていた。


マサは夢を見ているようだった。ルコイの村も綺麗な村だと思って、自慢の村だったがその上を行く綺麗な光景に出会ってしまった。


ガトーも思いは同じ。


「これはまさにに桃源郷って言うやつですね」


「ううーん。すごいな!言葉が無いぜ」


しばし呆然と景色に見とれていた。


「クワーーーン!」


「おお、そうだ。飯だ飯!ドランが腹減ったってよ!」


「私もですよ。今度は腹一杯食べますからね。そしたら、あの村に向かいましょう」


「そうだな。すんなり迎え入れてくれりゃあ良いが。兎に角、飯食ってからだ。ドラン待ってろ。さっきのキングドリルボアを捌いて食わしてやっからな」


「しかしその袋、便利ですね」


「そうなんだよ。何でも入ってくれるから。スザクさんが人には見せるなと言って、くれたんだけどよ。特別なアイテムって言ってたな」


「成るほど。さすが仙人様は持ち物が違いますね」


「他にも色々持ってるみたいだけどな。今の俺たちには必要ないみたいだ。この袋も、何れダンに行くようになる」


「火の用意は出来ましたよ」


「おうよ。今、肉捌くから。下味つけたほうが 旨いからな」


マサもダンの成長ぶりが楽しみになっていた。


深い森の中へ旅立つ前の、一時の休息であった。



「父さん」

「どうした、ダン」

「出番無いから、修業してたらこんなん出来ました」

「おお!それは母さんが喜ぶな!」

「そう思って父さんの分も練習道具、用意しておいたよ。機織り機」

「帰ったら糸紡ぐの手伝わされそう」

「頑張ってね。その間僕が頑張って冒険するから」


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