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37 無人島上陸

ダンの父さんの行動が先になりました。海の向こうの確認に出向く二人。何が待ち受けているのか!


 マサ達が中間の岩に目印付けて凡そ3時間。


 途中怪魚やらウミヘビの魔物に襲われ、マサも初めて海を泳いだ。


「ほんと、死ぬかと思ったぜ。なんちゅう魔物の大きさだよ!規格外にも程があるよなあ、ガトー」


「ほんと。特に外に出てからは大物しか見えてませんからね」


「こいつらは何処で瘴気を取り込んでるんだ?魔力や魔物に変化するのは瘴気が発生するとこがなきゃ魔物化しねーだろうし」


「そこいらも向こうの島に秘密があるんじゃ無いですかねえ。精霊様のお考えじゃ、向こうにも精霊がいるはずと仰ってましたから、何か教えて貰えるんじゃ無いですか?」


「協力してくれりゃありがたいが・・・まあ兎に角、あの島に上がろうや。丁度あそこに船を隠せる入り江があるぜ。そこから上がろう」


 二人はようやく島に到着した。



 断崖絶壁を何とか登り切り、しばらくは休息と腹ごしらえ。マサ得意の森の木の実をさがし、煮炊きをして一息ついた。


「流石マサさん。こんな初めての森の中で、普通に食える物を見分けるなんてたいしたもんですね。私なら水飲んで終わりでしたよ」


「まあ、長いこと森の中獲物探して歩いてたからな。しかしここは俺の知ってる森と雰囲気がだいぶ違うな。しずかって言うか、あんまり動物や魔物の泣き声や遠吠えのような動きが感じられねーな。空気に少しだが瘴気も混じってるみてぇだ。セイメイ様が行ってた龍がいるから?」


 マサが森の中、と言ってもそんなに深く分け入って歩いたわけでは無いが、それでもその雰囲気を感じたのである。


「そうかも知れませんね。翼竜とか黒龍とかがいれば、獣がいなくなるのはうなずけますね」


「飯食ったらそこら辺を探ってみっか!」


「そうしましょう。直ぐ火をおこしますんで」


「んじゃあ、俺は獲物を捌いて焼き物と煮物の準備しとくよ」


 マサとガトーは分担で腹ごしらえの準備に勤しんでいる。


 この二人を木の影から見つめている、金色の目があった。


 猛禽類を思わす、縦方向に瞳孔が獲物を見つけたように、ぎゅっと絞られた。


「出来たぞ。ガトー、火の方はどうだ?」


「大丈夫。石積んでますんで、煮物から始めてください」


「おう。こら〜旨いぜ。何せ此処の獲物、脂がのってるって言うかまるで高級食材の宝庫だぜ」


「まあ海の物は海で食べるのが一番旨いですしね」


「だけど、これ全部森のもんだぜ?」


「それですよ。海が近いって言うのが旨さに関係してるんですよ。この海は栄養が豊富なんじゃ無いですかね。獲れる魚もめちゃくちゃ旨いですから」


「んじゃ、この次は海の獲物だな」


「マサさんに海の旨い奴を食べて貰いますよ。昼からの準備は私に任せてください」


「頼むぜ。明日からの調査のためにも、食料は確保しておかないとな。ここなら干し肉も簡単にできそうだし」


「何かそんな話してたらおなかが空いてきましたよ。そろそろこっちも火は出来たので焼いていきましょう」


「おお、じゃあこれ頼むわ」


 籠いっぱいの捌いた肉や、大きめの木のみを串に刺した物をガトーの手に渡した。


 マサはマサで葉っぱで拵えた即席の鍋で湯を沸かし、持ってきたコロンボの実(胡椒と味噌を足したような実)をすり潰して即席鍋に入れた。そして、木の実から、小さい動物の捌いた肉を葉っぱに包んで煮込んでいった。


 辺りには最初、火をおこした煙が漂っていたが、次第に良いにおいが立ちこめていった。


 このにおいは森の中まで漂っていった。


「これはマサさん。王宮の料理よりおいしいですよ」


「言い過ぎだぜ。旨いけど。こんな離れた島で取れたての木の実や獲物を頂いてるんだぜ。保存食なんかとは比べもんにはならねえ。けど、いくら何でも王宮は言い過ぎじゃねーか?」


「いやいや、マサさん。このガトーが保証しますよ。ポルゴダでもここまで美味しいのは食ったこと無いですよ」


「褒めて貰うのはありがたいが、何にも出ねーよ!ミサの手料理の方が精霊様に気に入って貰えるくらいだから、もっとうえだとおもうぜ」


「そう!私もミサさんの料理にはビックリしました。ミサさんにこの食材で料理して貰いたいですね」


「そうだな。平和になりゃ、いつでもこれるよ」



 森の奥深く、魔物が魔物を襲い食い散らかしていく。弱肉強食の世界。ルコイ村やポローニャの辺りではもう魔物も、人間を恐れる位、弱体化していると言える。しかし此処ではまだ手つかずの未踏の地となっている。


 野生?の魔物が闊歩している。しかもマサ達の想像を上回る大きさ、強さ。


 その魔物達の最上位にいる魔物がこの島に君臨している。魔物達の王が此処に居る。




 そんな中でマサ達は、島に調査に来てしまった。


 金色に輝く縦に割れた瞳孔をマサ達に向けて様子を伺っていた者は、息も次第に激しさを増し、とうとう我慢が限界に来てしまった。森の木々の奥から雄叫びを上げて飛び出し、マサとガトー目がけて襲いかかってきた。




「マサは良いよな。何でもそつなくこなせて」

「そう言う村長こそ、精霊様から貰った雫で頭の毛が復活したのは、みんなうらやましがってるぜ」

「これは副作用みたいなもんじゃ」

「その副作用を羨ましく思ってるのさ」

「若返りの副作用じゃからな!」

「何が言いたい」

「もうお前は儂より年上かもな」

「それだけはご勘弁を」


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