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02 精霊と子供

まだまだ前触れの話です。

 ふっと何かの気配がして腰の短剣の柄を押さえながら腰を低くして近づいていく。

 すると木の根元で何かが黄色く輝いている。

 男は恐る恐る近づいていく。


 光はフワフワと舞うように上下左右に、まるで舞っているように動いている。

 さらに男が近づいていくと、光はクルクル回りながら舞い上がり、少し離れた空中に移動した。


「何だこれは?光る虫か?そんな虫いたっけか。もしかしたらアンデッドの罠かも・・・」


 男が近づいていくとまた光も離れていく。


 しかし、逃げている様子ではなく、男が不思議に思っていると光が呼ぶように上下に動いている。



「いよいよ罠っぽいな」


 眉をひそめ、怪訝な顔のままあたりを見回し、光の動きを目で追い様子をうかがう。



 用心深く潜んで様子をうかがっていると、光がゆっくり動き、その先に何かがあることに気がついた。


「ありゃ何だ?何か籠みたいだが」


 そこには小ぶりの籠が木の根元に草を敷き詰めておいてあった。


 さらに光はクルクルと空中を舞っている。おいでおいでと呼ぶように・・・


「罠にははまりたくないけど、あの籠が気になるうーッ」


 そのうち光は縦に回り出した。

 虫を寄せる線香の渦のごとく


「何か怪しい。俺を嵌めようとしてもそうはいかねーぞ」


 威勢よく言い切った。

 普段はそんなにはっきりとは言葉にしない男であったが・・・言い切った。

 が


「何だと!!」


 気がつくと、男は呆然と立っていた。しかも隠れることもできないくらい、開けた踊り場のような空間の大きな木の前で


「あああ、あれーー??」


 気がつき慌てて隠れようとするが、先ほどより光の動くスピードが速くなったような気がした。


「ええい!こうなったらしょうがない。あの籠の中身を確認してやるか」


 少しずつ籠に近づきつつ、しかし男の腰はかなり引けていた。


「怖くない怖くない怖くない」


 呪文のように繰り返し、唱えながらなんとか手の届く位置までたどり着く。

 片手を短剣の柄に乗せて


「ふうっ。さあ、何が出るやらだ。出るなら出やがれこのー!!」


 抜いた短剣の先で、籠の上にのって塞ぐように重なっている葉っぱのようなものを、1枚1枚はがしてみることにした。


 男は籠の中と光を交互に睨み、まだ「騙されないぞ」と目で訴えていたが、光を見つめているうちに、


「お前を見てると、嫁さんに点けられたモグサの火を思い出すよ」


 何日か前の夕べの嫁とのやり取りを思い出し、少し緊張が抜けたのだった。


「お前、ホントは悪いやつじゃないのか?・・」


 そんな気がして呟いた男の顔の前を、光は上下した。


「じゃあ、これは何だ?何かくれるのか?」


 籠の中に意識を戻し、短剣を鞘に収めて葉っぱを剥がしていった。


「今まで苦労してきたから、神様が褒美をなくれたりしてな」


 先ほどまでと真逆の不用心なことを考えていた。


 何枚か取り除いた葉っぱの最後の1枚を取り除き、


「何日か前のコボタの奴の話にあったな。嫁に見つかるとやばいから山に隠しに行ったって。もしかしてこれのことかあ?」


 カード仲間の家庭問題の相談に乗ったときに聞いた話を思い出した。

 先日の夜、狩りにいくと言って仲間とカードゲームをして、嫁にばれてお灸を据えられたことは隠している。このお灸の火がフワフワ回ってる光と重なっていたのである。




「何か布にくるんであるな。なあに隠していったんだか。みてやるよっと」


 男がそっと籠の中に手を入れてみると、少し生暖かい。


「ん?」


 布をめくり、顔を近づけてみると


「こ、これは・・・」


 驚きの声をあげた。


「こ、子供?なのか?」


 目をぱちくりしながらもう一度顔を近づけてみる。

 すると、光が籠の上に舞い降りてきた。


段々盛り上がっていくと?思いますので、気長に、ながーーーーい目で(生暖かい目で)見守っていただけると、何となく嬉しいです。

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