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01 前触れ
捨てる神あれば拾う神あり。できればひろいあげてもらいたいです。
ザクッ、ザクッ
腰まで伸びる草をかき分け前へ、前へ。
ときおり、手に持つ杖代わりの太めの枯れ枝でかき分けて視界を確保しながら進んでいく。
少し傾きかけた陽光を木漏れ日に見ながら森の木々の間をくぐり抜け、開けた空間にたどり着いた。
「ここら辺で少し休んでいくとするか」
男は木の根元に腰を下ろした。腰にぶら下げた木でできた水筒の栓を抜き、口に当てて喉に流し込む。
「ん、んっ、ふう」
口の周りのこぼれ落ちたしずくをぬぐいながら一息つき、腰の袋に入れておいた木の皮で包んだ干し肉を噛みながら日の光に目を細めていた。
朝早くから獲物を探して森に入ったが、このところなかなか思い通りに捕まえられず、丸二日家に帰っていない。
「蓄えはあるからいいけど。なんとかしないとな」
焦る気持ちを我慢し、食べ終えると腰についた土を払いながら立ち上がった。
初めて小説を投稿しました。出来はどうかはわかりませんが、最後まで仕上げたいです。
よろしくお願いいたします。




