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目を離しちゃいけません。

ハルさん油断する。

そして、投稿したつもりで、してなかった私orz

気付けば二日も経ってました。

3月中に更新したかったです。

感想、いつもありがとうございます。

マイペースですみません。

『リュートを駄目にしたような子ね』




 えぇと、つまりリュートに悪影響な子ってこと?

 いやいや、落ち着こう。何か違うから。

「お前、名前は?」

「リュートだ。君は?」

 よし、偉いぞ、うちの子。初対面の相手を、お前呼ばわりしてないね。

 って、違う違う。

 そうだよ、リュート『を』駄目にしたような子、なんだから……?

 リュートは、素直ないい子だから、それを駄目にすると、ひねくれた悪い子? いや、普通の悪い子で良くないか?

「俺はトラクだ。お前も、冒険者なんだよな?」

 女神様の表現に悩んでいると、自己紹介が聞こえてくる。ひねくれてる割には、きちんと名乗って――。

「あぁ、そうだ」

「ま、俺みたいな優れた冒険者とは違って、お前は弱そうだよな」

 にこにこと無邪気な笑顔で、あくまでも、無邪気に見せかけて言い放つその姿は、確かにリュートにも負けてない美少年だけど……。

 あ、リュートにも負けてないって言っても、リュートの方が格好良くて、数段可愛いから!

 誰かに聞かれてる訳じゃないけど、内心で叫ばずにはいられなかったってことで。

 ちょっとすっきりしたから、女神様の鑑定についてもう一度考える。

 素直ないい子のリュートを駄目にしたら……もしかして、『自分の欲望に』素直な子ってことか、こいつ。

 ぴろん。

『一部正解よ。さすがハルね。あとは、リュートの美点を全部真逆に振り切ってるわよ〜』

 文字でもゆるさが滲み出るって、さすがゆる女神様です。

 それと、リュートの美点? ありすぎるよね。

 謙虚で可愛いとこと、素直で可愛いとこと、女の子に優しいけど甘い訳じゃないとこ?

 あ、あと、たくさん食べる姿も可愛いよね。

 ぴろん。

『おのろけ、ごちそうさま。

 私が悪かったわ。

 その子は、良くも悪くも道を間違えたリュートみたいなものよ。

 リュートは、自分の外見なんて気にしてないし、それで相手がどう思うかなんて、考えないでしょう?』

 うん、リュートは無自覚美少年だね。

 駄々漏れないよう注意して相槌を打つと、また気の抜ける通知音が響く。

『それに、とんでもなく自己評価が低い子よね』

 そうそう、こっちがヤキモキしちゃうくらい。

『つまりは、その少年は、自分の外見の良さをフルに利用してて、なおかつ無駄に自己評価が高い子よ』

 で、『自分の欲望に』素直な子、と。

『実力は、まぁ、前のお仲間よりはマシぐらいかしら』

 ふぅん、少しは強いのか?

 しかし、自己評価が高い――簡単に言えば、自意識過剰でプライド高いぐらいだよね?

 何で、ここまで空気が悪くなってるんだ?

 女神様通信に気を取られていた私は、不意にリュートのまとう空気が変わったのを感じ、ぱちぱちと瞬きをして横を窺う。



「――殺せば良かったです」



 え? 何があった?

 何か、リュートめっちゃ瞳孔開いてるし、良い笑顔してるんだけど。

 ぷち狂戦士化?

(えい)

 私が固まってたら、私の代わりに、物理的に固くなったルーが、ごん、と頭突きをしてくれた。

「あれ……痛いです?」

 不思議そうに頭を擦る姿は、すっかりいつものリュートだ。

(どうしたの? 私、鑑定してたから、聞いてなかったんだけど……)

 そう言えば、あの少年……トラなんとか、いないな。

 私がそんな事を考えながら問いかけると、思い切りギュッと抱き締められる。

「トラクと依頼をすることにしたんですが、俺がソロか、と訊いてきて、ハルさんとルーがいるって言ったら……」

(言ったら?)

「そんな薄汚い毛皮と、雑魚モンスターが役に立つのか? なんて、酷い事を言うんですよ!?」

 途中で、何と無く流れは読めたけど、喋ってて怒りを思い出したのか、声を荒げるリュートを、私は微笑ましく……て、え?

(私達、あいつらと一緒に依頼こなすの?)

「はい!」

 嘘だと言って欲しかったよ。




 私が女神様とゆるい会話をしてる間に、リュートとトラクは、何でかトラクの持ってきた依頼へ一緒に行くことになったらしい。

 そう、よりによって、トラク『が』持ってきた依頼を、だ。

 私達がやって来た時の、室内の空気の悪さも、その依頼に関係していたらしい。

 リュートのいい子フィルターを通しちゃうと、話がよくわからないので、私は目線をカウンターへと向ける。

 すぐに気付いてくれて、手の空いていたイリスさんが手招きしてくれる。

 私はルーを乗せたまま、リュートの肩から手近な冒険者の肩へと飛び移り、さらに次の冒険者へ、と繰り返していき、最終的にカウンターへと着地する。

 背後から、リュートの情けない呼び声と、踏み台にさせてもらった冒険者の、もふもふだな、とか聞こえたけど気にしません。

「ハルさんたら、悪女です〜」

 うふふ、と笑うイリスさん。

 心外だなぁ。

 もっふもふと撫でられながら、ジト目で見上げていると、イリスさんは誤魔化すように小さく咳払いする。

「トラクさんと、持ち込んだ依頼に関して説明しますね〜」

(お願いします)

(ます)

 私が小さく頭を下げると、真似をしたルーも、ぷるぷると頭を下げている。

 ちなみに、私もルーも何処からが頭なのかわからないだろ、とか、突っ込みは禁止で。

 実際、私は自分の頭がどの辺りを指すか、よくわからないんだけどね。

 しょうもない事を考えている私を他所に、イリスさんはカウンターへ地図を広げる。

 トイカで見たのと同じような地図だ。

「ここがノクで、ここがノクのダンジョンですよ〜。で、ここがですね〜、問題のカナ村です〜」

 イリスさんがそう言いながら指差すのは、ノクから少し離れた所にある村だ。

 ま、私には読めないんだけど。

 少し離れた、とは言っても、間には深い森があるので、実質的には結構な距離感だろう。

 私がコクコクと小刻みに揺れて、動きで相槌を打つと、イリスさんは笑顔で続ける。

「今回、トラクさんが持ち込んできたのは、緊急性の高い依頼です〜。村の近辺に、ゴブリンの住み処が出来て、頻繁に襲撃を受けている。まだ人的被害はないが、食料は奪われ、家畜は殺され、このままでは村人に被害が出るのは時間の問題。今はなんとか自衛してるが、そろそろ危ない。ゴブリンを追い払うか、全て倒して欲しい。って感じです〜」

 依頼の説明だけゆるくならないのは、さすが受付嬢とか場違いな感想を抱いた私だけど、すぐに体全体を傾げてイリスさんを見つめる。

(別にあんなギスギスする要素なくない?)

 難しい依頼だから?

 だとしても、組合長自ら乗り出せば、何とか出来るよね。エヴァンだし。

「何でギスギスしてたのか、って思ってますね〜」

 うん、当たってるのが怖い。

「トラクさんはぁ、ノクに来る途中で、カナ村の村人と出会って、依頼を預かったらしいんですけど、相手の弱味つけ込んで、吹っ掛けたみたいで〜」

 あー、ノクの冒険者達はいい人が多いから……。

 納得しかけた私だったけど、次の一言でさらにイラッとする。

「その上、自分達のパーティーだけじゃ、ゴブリンの相手は大変だから手伝え、報酬は山分けだ〜」

 イリスさんのトラクの真似、似てない。

 言い方にはイラッとしたけど、まぁ、言い分はわかるよね?

「うふふ。分け前が問題なんですよ〜?」

 だから、何で当たるんだろう。

 イリスさん、油断ならないな。

「何と! 比率は、驚異の九対一ですよ〜?」

 真夜中の通販番組みたい。って、え? えぇ!?

(リュート、ちょっと来なさい!)

「はい!」

 私に呼ばれて嬉しいのか、リュートはキラキラした笑顔で駆け寄ってくる。

(そこに、正座!)

 私が目線で床を示すと、リュートはキラキラした笑顔のまま、素直に床へスライディングしそうな勢いで正座する。

 ちょっと素直すぎて、言ってから後悔してきた。

 周囲の目も痛い。

(えぇと、立っててもいいかな?)

「俺なら平気です!」

 平気なら仕方ないか。本題へ移ろう。

 色々と諦めた私は、カウンターの上から、床で正座しているリュートを見下ろして、もふっと膨れて見せる。

(それで、トラクの依頼を受けて、報酬を一割貰うことにしたの?)

 残念ながら、リュートの性格からしても、あの空気の悪さからしても、トラクの方が九割だと容易に想像できてしまう。

 そんな自分が、少々悲しかったり。

 そんな私の内心を知る訳もなく、リュートは一点の曇りもない無邪気な笑顔で嬉しそうに頷いている。

「だって、一割もいただけるんですよ? ハルさんも喜んでくれますよね?」

 思わずイリスさんを振り返ったら、無言で首を振られ、次に他の冒険者達を見やったら、こちらも高速で首を横振り中だった。

 良かった。

 依頼の報酬の分け方、九対一が普通な世界かと思いかけたじゃないか。

 リュートの勘違いの仕方が尋常じゃないってことは、きっと犯人は――。



「一割ですよ、一割。今までは、報酬の分け前は、もらえなかったんです!」



 はい、この言い方は、大正解でした。

 ハルさんのおかげですね、とか心底嬉しそうなリュート。

 俺も少しは強く、とか謙遜ではなく本心から呟いているリュート。

 きっと、いつも何だかんだ言われて、報酬すら分けてもらえていなかった、素直でいい子なリュート。

 可愛くて仕方ない。

 正座で足が痺れてて、ちょいルーと一緒にぷるぷるしてても。

 その分、ボンボンをぶん殴りたくて仕方ないのは、仕方ないよね。

 ひとまず、次にボンボンと会ってしまったら、イケメンじゃないけど、禿げてもらおうかな、なんて思う私と、

(るー、がんがる)

 ぷるぷるしてるリュートの上で、ぷるぷるしつつ気合を入れるルー。

 トラクにイライラしてた冒険者達は、ほっこりした表情で、リュートへ声をかけたり、おやつをくれたりしていて、私も何かほっこりした。




 帰ったあと、エヴァンに報告したら、皆揃って怒られましたけどね!


ボンボン(の頭皮)ピンチ(笑)

ルーならやっちゃいますよ。

次回は、エヴァンのお説教から開始予定です。


異世界巻き込まれてみた。の方も、書いてます……けど、シリアスパートなんで、なかなか進まない(泣)

ギャグ脳ですみません。

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