買い物へゴー。
今回、珍しくR15かなって発言がありますので、苦手な方は少しご注意を。
まぁ、言い間違い的なものなので、たいした事はないと。
アウトでしたら、削除して書き直すので教えていただけると幸いです。
いつも感想ありがとうございます。
リュートからお土産を受け取ったエヴァンは、
「よかったら、飾ってください!」
って言う、リュートの無邪気な笑顔に、辛うじて頷いている。
「あれ、本当に魔除けの人形なのかしら?」
「何か、呪われてそうです〜」
「……夜中、動きそう、です」
酷い言われ様だけど、私も同感なんで、小さく頷くだけにしておく。
鑑定したし、呪いはないよ?
動くかは――知らないけどね。
まぁ、万が一、動いたとしても、エヴァンならどうとでも出来るだろう。
「まぁ、組合長なら、大丈夫ね」
私の内心を代弁するようにアンナさんが呟き、私達はエヴァンを放置して買い物へ出かけることにする。
「ハルさん……」
きゅんきゅん鳴きそうなリュートも、お留守番……と言うか、別行動になった。
下着とかも買うし、リュートには居心地悪いよね。
という訳で、女性四人(?)で買い物に出てきたけど――。
「……何か見られてる?」
リュートと一緒の時とは違う視線の集まり方に、私は正直居心地が悪い。
やっぱり、何かおかしいんだろうか。
きょろきょろしていると、クイクイと袖を引かれる。
視線を下にやると、ウィナさんが瞬きもせず、私を見上げている。
「どうした、ですか?」
「え? あ、うん。何か、見られてるから、気になって……。やっぱり、違和感とか、あるのかな?」
出かける前に、アンナさんが整えてくれた真っ白な髪を、ペタペタと触っていると、揃ってため息を吐かれる。
今さらそれ言う? みたいな無言の突っ込みですか?
私、泣いてもいいかな?
(まま、かあいいよ)
私がルーに慰められている間、アンナさん達は、何やら小声で囁きあっている。
「イリス、ウィナ。私達でハルさんを守るわよ?」
「はい、頑張ります〜。野獣から、ハルさんを守りますぅ」
「……一番、組合長、です」
会話の意味はよくわからないけど。
どうやら、守ってくれるらしい。
主に、エヴァンから。
……必要性、感じないよね。
でも、何となく、エヴァンに下着姿見せたりしたとか、彼シャツ状態で添い寝したとか、秘密にした方がいいような気はヒシヒシ感じたから、お口チャックしておくことにした。
訊かれるまでは、黙っておこう。
バレた場合は、強く生きてくれ、エヴァン。
私がエヴァンの無事を祈っていると、いつの間にか話し合いを終えた三人に囲まれ、目的地へと運ばれていく。
受付嬢な三人はモテるらしく、話しかけて来ようとする男性はかなりいたが、アンナさんとイリスさんに軽くあしらわれて去っていく。
しかし、何で皆さん、去り際に私を見るんだろう?
あ、わかった。
私がいるから、三人がなびかないって思ってるんじゃない?
確かに、私の買い物に付き合ってくれてる限り、三人共ナンパにはついていけないよね。
「好みの人いたら、ついていってもいい……」
深く考えずそこまで言った瞬間、三人が揃って、目を見開き、私を見つめてくる。
普段無表情なウィナさんまで、目が真ん丸だ。
うむ、可愛い。
思わず現実逃避をしてたら、アンナさんに肩を掴まれ、顔を覗き込まれた。
「……今の男達の中に、好みの男がいたの?」
「どう見ても、顔面レベルも、実力も、組合長に負けてますよ〜?」
「まだ、組合長が、まし、です」
あれ? もしかして、私好みの男がいたと勘違いされてる?
「えーと、あれって、私じゃなくて、アンナさん達へのお誘いだよね?」
あと関係ないけど、目の前で他の女性に声かけてた男は、好みだとしても嫌。
「だから、アンナさん達の好みの人いたら、ついていってもいいよ、って意味だったんだけど」
じゃんけんでも、クジでも、一人残ってくれたら、私は構わないし。
その一人には、ご迷惑をかけることになるけど。
そんなことを考えていたのがバレたのか、またまた揃ったため息をいただいた。
その後、さらに三人のガードが堅くなり、私達に近づくナンパ男は誰もいなくなる。
おかげで、歩きやすくなった。
そう呟いたら、呆れたように笑われ、アンナさんに頭を撫でられる。
でも、エヴァンのサンダル大きくて、靴擦れしてちょっと痛いから、歩きやすさは重要だったりする。
とりあえず、サンダルのことは、素直に伝えておかないと。
あとで心配かけたくないし。
「あの、エヴァンの大きいから、痛くて……」
ん? 言い間違えたというか、何か大切な部分が抜けたよね?
自分で自分の発言に首を捻っていると、三方向から急に冷気を感じる。
視線を向けると、アンナさんとイリスさんが、満面の笑みを浮かべている。
ウィナさんも、うっすらと微笑んでいるが、鬼気迫るように感じられるのは、私の気のせいだろうか?
「あの獣は、なんてことを……っ」
「人になったばかりのハルさんに、酷いです〜!」
「……ゲス、です」
気のせいじゃなかったね。
――私が三人の勘違いに気付き、顔を真っ赤にして訂正するまで、エヴァンはイイ笑顔の三人にディスられていた。
「組合長がヘタレで良かったわ」
「ヘタレ万歳です〜」
「組合長、不能?」
すみません、嘘です。
まだディスられてるよ、これ。
まぁ、さっきとは違って、からかってるというか、冗談みたいだし、問題ないよね。
ウィナさんは、無表情でさらっと問題発言してるし。
(えばぱぱ、ふのー?)
(……不能じゃないよ)
ルーの言葉がわかるの、私だけで良かった。
口に出して否定すると、色々と突っ込みが怖いので、念話的なあれで返しておく。
ちなみに、もう店の中には入っていて、普段着の替えと、下着の替えは買い終えて収納済みだ。
「次は靴ね」
「あと、念のため、冒険者っぽい服も買っちゃいませんか〜?」
「確かに、街の外で普段着のワンピースじゃ、悪目立ちするわね」
「普段は元の姿で行動するから、大丈夫だよ?」
アンナさんとイリスさんの会話に、私はおずおずと口を挟む。
いくらエヴァンの稼ぎが良いとしても、奢られてばっかりは心苦しい。
あと、私はモンスターなんだし、そんなに服はいらないと思う。
「ハルさんが大丈夫でも、私達や組合長、それにリュートさんが心配するわよ?」
む。悪戯っぽく笑ったアンナさんにそう言われてしまうと、私は頷くしか出来ない。
「なら、仕方無いよね」
それに、リュートの名前を出されると弱い。
「組合長は腐っても上級冒険者なんですから、ドレスの二・三着買ったとしても、痛くも痒くもないです〜」
「……組合長、お金はあります」
イリスさんがゆるゆると。
ウィナさんは無表情で。
それぞれ、軽く冗談っぽく、告げてくれる。
私は、久しぶりの女子との会話が楽しくなってきて、クスクスと笑う。
「こうやってると、普通の可愛らしい女の子よね」
「そうですね〜」
「……うん、美少女」
「誉めたって、甲冑アリぐらいしか出ないよ?」
あまりに手放しで誉められ、嬉しくなった私は、調子に乗って、もふもふな白髪に手を入れ――。
「「「出さないで」」」
息ぴったりな突っ込みで止められた。
美味しいのに、甲冑アリ。
その後、無事に冒険者というか、目立たない旅装な服を手に入れた私は、今度は靴を色々と履かせてもらっている。
さっきの洋服屋もだったけど、エヴァンが話を通してくれていたのか、スムーズに買い物が出来た。
今回も、私が履きやすいような、ローヒールで動きやすい靴が複数用意されていて、私は色を選んだり、履いてサイズ合わせするだけだった。 最終的に、普段使いに無難な茶色のショートブーツっぽい靴にした。
あと、サンダル。
べ、別に、エヴァンから借りたのと似てるのは、気のせいだから。
気に入った、とかじゃないから。
なまあたたかいアンナさん達の眼差しを受けながら、私はサイズが合わなかったエヴァンのサンダルを脱ぎ、買った方を履く。
あ、痛いと思ったら、靴擦れになってる。
最強もふもふ、サボってる?
「あー、ハルさん、靴擦れ出来てます〜」
無意識に靴擦れを触っていると、目敏くイリスさんに気付かれてしまった。
結果、私は道の脇にあった小箱に座らされ、じっとしているように言われ、三人の帰りを待つことになる。
と言うか、元の姿に戻れば良かったんじゃ、と気付いたのは、三人の後ろ姿が完全に見えなくなった後だ。
暇を持て余した私は、新しいサンダルに包まれた足を揺らし、人混みを眺めている。
微妙に私の周囲には空間が出来ていて、男の人達が怒鳴りあっているなんて気のせい……じゃないな。
もしかしなくても、私のせい?
そこまで変かなぁ?
みんな優しいから、指摘してくれなかっただけ?
とりあえず、居心地悪いし、冒険者組合で待つことにしよう。
「すみません。連れが来たら、私は冒険者組合へ行ったと伝えてもらえますか?」
近くにいた串焼きの屋台のおじさんに伝言を頼み、私は小箱から飛び降りて歩き出す。
ちょ、ちょっとつまずいたのは、見間違えですから!
やっぱり、ケダマモドキな方が動きやすい。
路地裏で元の姿に、とか考えていたせいか、気付けば見覚えのない風景が……。
そこまで考えて、私は、はた、と重要な事実に気付いてしまう。
「道がわからない……」
そうだよね。
よく考えれば、私はいつもリュートの肩にいて移動してたから、道順なんて覚える必要無かった。
つまりは――。
「完全な迷子だよ」
呆然と呟く私の胸の谷間では、ルーが心配そうに、ぷぅ、と鳴いていた。
無自覚ハルさん、迷子になる。
リュートの肩イコール車の助手席みたいなものですかね。
私も自分で運転すると、道がわかりません(ドヤァ)




