事情聴取?
お久しぶりです(*>_<*)ノ
待ってる方もいられないでしょうが、久しぶりのもふもふですm(_ _)m
実は短編で終わるはずの新作が終わらずダラダラ書いてて、何ともふもふの話数を追い抜いてました(*ノω・*)テヘ
で、お尻を叩かれた気分で投稿しました。
一応、双方から話を聞かないといけないということで、私達と孫娘ちゃん達はエヴァンによって冒険者組合の奥へと案内された。
ちなみに、私達というのはリュートと私、それとトラクだ。トラクの彼女さん達はお留守番してる。
(結局、孫娘ちゃんって何がしたかったの?)
会議室みたいな部屋へと通され、開口一番に私が訊ねるけど、孫娘ちゃんから答えはなく、視線すら向くことは……って、当たり前か。
私の言葉が聞こえるのは、リュートとエヴァンだけだし。
リュートの肩の上でてへっとなってもふっとしてると、こちらを見たリュートから頬擦りされる。
「……ったく。で、お前達は一体何がしたかったんだ? リュートの罪をでっち上げて貶めるのが目的か?」
あ゛? とガラ悪く睨みつけられ、三人組冒険者達がビクッとしている。孫娘ちゃんは不貞腐れてる。
三人組冒険者の危機察知能力が高いのか、孫娘ちゃんが図太いのか微妙なところだな。
うむうむ、と真面目ぶって内心で考えてたら駄々洩れたのか、エヴァンからは生温い眼差しが、リュートからは尊敬に満ちた眼差しが向けられていた。
「ち、違います! 俺達はこの子がそこのリュート……さんにひどい目に遭わされたと聞いて……」
リーダーらしい男性冒険者が声を荒らげて否定をするが、ニコッと笑ったトラクの美少年スマイルを見て、ヒッと息を呑んで徐々に弱々しい丁寧な口調へ変わっていく。
トラクすごいなぁと私が感心していると、駄々洩れたのかリュートからの頬擦りの速度が増していく。というか、リュートは自分の名前が出てるんだから、もう少し感心を持とう。
「そのひどい目って言うのは、結局具体的に何だ? ここまで来て言えないとかないよな?」
トラクみたいな繊細系美少年の冷ややかな眼差しって、下手に強面の人から睨まれるよりダメージあるかも、と私がじっと見ていると、我慢しきれなくなったのか「ハルさん……」としゅんとしたリュートに呼ばれる。
(はいはい、リュートのハルさんですよー)
もふっと膨れてアピールをしてから、私はリュートの肩から降りて腕の方へと移動する。
リュートが私を落とす訳なんてないので、遠慮なく飛び込むと難なく受け止めてもらえた。
「えへへ」
「そこ、気を抜くな! そもそもお前が被害者なんだからな!?」
すかさず面倒見が良い突っ込み体質なトラクからの突っ込みが入るが、いい子なリュートは嬉しそうに笑って頷いている。
いやー、友達って素晴らしいなぁ。これが本来の友達の姿だよねぇ、とリュートの腕の中でもふっとしながらドヤっておく。
「そこでハルさんも謎のドヤ顔するな!」
(はぁい)
すかさず私へも突っ込んでくる素晴らしい突っ込み体質なトラクに、私は伝わらない返答の代わりにもふっと膨れておく。
私の言葉はトラクに通じてないのに呼び方がリュートと同じ『ハルさん』になったのは、トラクの彼女達からの指導みたいだ。
ハルさんは女の子なんだから呼び捨てしちゃ駄目よ、みたいなことを言ってくれたんだろう。
それで素直にそう呼んでくれるトラクは、見た目も美少年だけど、中身もきっちり美少年だ。
どこぞのボンボンに、爪の垢をボウルで飲んでもらいたい……いや飲むのは煎じたやつだね。
うん、自分で言ってて気持ち悪くなっちゃった。
そして、爪の垢を煎じて飲ませたぐらいじゃ、きっとボンボンはなんにも変わらないだろう。
こーんないい子なリュートの側にずっといて、影響ゼロってある意味凄すぎる。
私は懐かしく……はないけど、ぼんやりと今は亡きボンボンへ思いを馳せる。
「ノーマンは生きてますよ?」
それが駄々洩れたらしく、エヴァンはニヤリとした笑いをちらりと私へ向け、リュートはきょとんとして澄んだ目で不思議そうに私を見ている。
「おい、リュート。このく……少女に興味を抱いてたのか?」
今さり気なく孫娘ちゃんを『クソガキ』呼ばわりしようとしたエヴァンは、何とか踏み止まって言い換えて尋ねてくる。
なんてやる気のない尋問だろう。
「いえ、皆無です」
で、いつものいい子なリュートの丁寧な返答が、余計に何かダメージのある攻撃になったらしく、孫娘ちゃんは目を見張って呆然としている。
孫娘ちゃんはしばらくしてから、ハッとした様子で動き出してぶひぶひ……もとい、きゃんきゃん喚き出す。
「だ、だって、何回も目合ったのよ!」
「護衛対象なんだから、見るのは当然だろ。俺とだって何回か目は合っていたと思うが?」
「疲れていたら、優しく声をかけてくれたし!」
「リュートは老若男女問わず常にそんな感じだ。俺が疲れていても、同じように話しかけてくる」
「え、えぇと、ちょっと離れた所にいた時、何か熱っぽい目で……」
「間にたまたまハルさんがいたんだろ」
「あ、そうよ! 転んだら優しく手を貸してくれたの!」
「その状況で手を貸さない男の方が少ないと思うが?」
「容赦ないなぁ」
そんなやり取りをちょっとアワアワして見ているリュートがとてつもなく可愛らしくて癒やされる。
ちなみにリュートは止めようとしたのを、今現在容赦ないなぁと笑っているエヴァンから止められたのだ。
「あの子……名前忘れてしまったんですが、あの子に悪気は無かったんだと思います。俺が何か勘違いさせて怯えさせるようなことを……」
(リュートは悪くない!)
「「お前は悪くない!」」
ここで要らぬいい子を発動したリュートを、一匹と二人がかりの突っ込みで止めたのだが、そんなことをするまでもなく孫娘ちゃんは完全に戦意喪失していて、私はもふっと体を傾げる。
そんなにトラクの突っ込みが効いたんだろうか。
さっきまであんなにぶひ……きゃんきゃん鳴いてたのに。
「うそ……名前覚えてくれてないの……?」
モンスターな私の鋭敏な耳は孫娘ちゃんの力ないそんな呟きを拾っていた。
どうやら、リュートの優しさから出た無自覚な一言が、孫娘ちゃんへグサッと止めを刺したらしい。
本当にお読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m
もふもふも、異世界巻き込まれも、じわじわ進めてはいますので!
久しぶりのハルさんだったので、ちょっとテンションが難しかったです。
リュートは、リュートなので平気でしたが←