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ぶひぶひ。

先に言っておきます。


孫娘ちゃんは、若干勘違い系の、そこそこ可愛い顔です。

ぽちゃでもないですよー?


可愛さでいうと、


ゆる女神様>>>ハル>受付嬢>>>>>女狐>>越えられない壁>>孫娘ちゃん


ぐらいで(笑)


(私の主観です)


あと、ピンクな発言されてる方がいますが、アウトでしたら表現変えますので!

(ルー、見張りよろしくね?)

(あい!)

 気疲れした私は、もぐもぐタイムなルーに見張りを頼んで目を閉じる。

 女神様に話したい事もあったし――って事で。




「女神様?」

 フッと意識が遠退いて、次に目を開けた時には、ゆる女神様が私を見つめていた。

「何かしら、ハル。あ、もしかして、ちゃんと出来るのか不安なの?」

 こてんと首を傾げた女神様が、前置きもなくそんな事を口にして、私をギュッと抱き締める。

 さすが、ゆるくても女神様なだけあって、この世のものとは思えないイイ匂いがする。

 実際、この世の者ではないのか。

 そんな事を考えてたら、ゆる女神様の発言をスルーしてた。

「大丈夫よ? ちゃんと人相手でも出来るし、子供だって出来ちゃうんだから!」

 えっへんと胸を張るゆる女神様は、大変可愛くて、たゆんと主張する部分と相成って、かなりの目の保養だ。


 ゲンジツトウヒナンカシテナイデスヨ?


 何か今、このゆるい女神様、とんでもない発言したよね?

 私が固まってたら、ゆる女神様は勘違いしたらしい。

「あれ? ハルは知識無かったかしら? 子供はコウノトリが運んでくるんじゃないわ」

 わー、ドヤ顔可愛いなぁ。

「……知ってます」

「え? あ、ハルはキャベツ……「キャベツ畑で取れないことも」あら、そうなの?」

 私がコウノトリとキャベツ畑を否定すると、ゆる女神様は何か動揺して、私がまた何か言う前に一気にまくし立てる。

「そう、ハルは大人の女性だったものね。ピーでピーして、ピーなんて普通よね?」

 一つ言いたい。ゆる女神様……女神様が伏せ字発言はマズイと思います。

「……人の姿なれて嬉しいです、ありがとうございますって伝えたかったんですけど」

「あら、あらあら……」

 私が言いたかった事を飲み込み、ほんのりと頬を染めて当初の予定通り感謝を告げると、ゆる女神様がポンッと真っ赤になって、体をくねくねとさせて私から離れていく。

「もー、だって、あんな事あったから、絶対ハル自覚したと思って……」

 言い訳じみた事を喋って照れ隠しをするゆる女神様をにまにま見てたら、不意にその表情が歪んでいく。

「なんで、逃げなかったのよ〜……」

 今度は可愛らしくポカポカと叩かれ始める。

 音も可愛いけど、威力も可愛らしい。子猫のぱんち並みだね。

「信じてましたから。リュートが助けてくれるって」

 強がりじゃなく、恐怖を感じるのと同じぐらいの強さで、私はリュートが助けに来てくれる事を疑わなかった。

「だから、逃げなかったんです。……心配させちゃいましたね。ごめんなさい」

 ポカポカと叩かれながら、ペコリと頭を下げると、またギュッと抱き締められた。

「本当はね。駄目なのはわかってるのよ? 女神である私が誰か一人に肩入れなんて。でも、私はハルに幸せになって欲しいの。お願いだから、無茶は止めてね?」

 うふふ、と笑い声混じりで冗談めかせた言葉は、ゆる女神様の掛け値なしの本音だと思う。

「今でも、私は十分幸せです。大好きな人達に囲まれて……」

 こちらも嘘偽りなく、私の素直な気持ちだ。もふもふに転生してた時はどうしようかとも思ったけど。

 でも、もふもふに転生してなくて、普通の町娘とかだったら、リュートにも会えなかっただろうし、会えても助けてはあげられなかったよね。

 それに、リュートと出会ってなければ、エヴァンとも会わなかっただろうし、ルーとも会えなかっだろう。



 ――この愛すべきゆる女神様とも。



「ビックリしましたけど、今は感謝しかないですよ? いつもありがとうございます」



 私の言葉に微笑むゆる女神様の姿が薄れていき、私はゆっくりと覚醒する。

「おはようございます、ハルさん」

 目覚めた私の視界に広がったのは、キラキラと輝くリュートの笑顔だった。

 何と無く思い出したのは、ゆる女神様からのお言葉。

 思わずぼふっと膨れてしまい、リュートを無駄に心配させてしまった。


(あ、ルーのこと、訊くの忘れた)



 まぁ、いいか。

 トラク達も起きてきたんだけど、何かトラクの彼女達は眠そうだった。

 別にトラクが何かした訳じゃなくて、トラクがいないと不安で眠りが浅いんだって。


 誰に聞いたかって?


 本人達が顔を洗いに行く時、私をリュートからテイクアウトしてもふもふしながら、話してくれたよ。

 何かリュートから、私がメスだと聞いたみたいで、じゃあ女の子同士だ〜、とギャルな子にさわられた。違った、さらわれた。

 ルーを対孫娘ちゃん用に置いてこうとしたら、高速ぷるぷるして、私の中から出てこなくなった。

 孫娘ちゃんが、ボンボンより嫌われるという奇跡を起こしたようだ。


 何て日だ!


 ちなみに、リュートはうるうるした目で私を見ていたけど、女の子に優しいリュートは、今生の別れみたいな感じで見送ってくれた。




 で、可愛い女の子達とイチャイチャして、色々トラクとの思い出話を聞いて帰ってきたんだけど……。

「ハルさん……っ」

 トラクの背後に隠れていたリュートが、私を視認した瞬間、駆け寄ってきた。

「リュートさん、なんで、あたしと話してくれないんですかー?」

「……護衛対象と、あまり無駄口をきく訳にはいかないんで」

 くねくね孫娘ちゃんに答えたのはリュートではなく、リュートを庇っていたトラクだ。

 トラクは美少年顔に笑顔を貼りつけ、村の代表者さんを見てるね。

 引き取れと目で語ってるよ?

 で、代表者さんが爽やか笑顔でスルーした。

「ハルさん、寂しかったです!」

(そんなに時間経ってないよ?)

 川、すぐ側だったし。 「一瞬でも離れるのは嫌なんです!」

 元気良く言えば納得してもらえると思ってるのかなぁ?

 可愛いから納得しちゃうけど。

(るーも、るーも)

 うん。ルーは文字通り一瞬も離れてないよね?

 可愛いから……以下略。

 あー、何か喚いている孫娘ちゃんが、だんだん子豚に見えてきた。

 あの明らかに旅する気ではないだろ? って感じの可愛らしいピンクのふりふりワンピースのせいかなー?

 ま、どうでもいいか。

「朝飯を食べたら出発しますので」

 トラクが笑顔を貼りつけて孫娘ちゃんを制し、逃がしてくれたので、私達は御者のおじさんとのんびりご飯した。

 代表者さんは、いい笑顔をしたトラクに肩を掴まれて、ぶひぶひ鳴いてる孫娘ちゃんと一緒にご飯してるのが見える。

 代表者さん、何か目が死んでる?

 気のせいだよね。

 可愛らしい女の子に囲まれてるんだしぃ?

 いやー、きっと次の村長は、間違ってもあの親バカではなさそうな気がするのは、どうしてだろうなぁ?




(ぶひ、きらい)

 どうしよう。私が内心でぶひぶひ鳴いてる、とか思ってたら、駄々漏れたらしくルーから率直な嫌悪が伝わってきた。

 孫娘ちゃん、ぶひ、って呼ぶことにしたんだね、ルー。

 通じないから、どうでもいいか。

「ぶひ?」

 あ、こっちにも駄々漏れた。

 リュートが可愛らしく首を傾げて、腕の中の私を見つめてる。

(何でもないよ? ほら、ノクが見えてきたんじゃない?)

「…………違いますね」

 話題を逸らそうと、リュートの意識を前方へ向けさせられたらいいなぁ、と適当発言したら、いい子なリュートが思いっきり困った顔になった。

 いつもなら、

「まだ見えませんよ」

とか、キラキラ笑顔で言われそうだけど、今回はまぁ、仕方無いか。



「有り金置いていきやがれ!」



「女もいれば、女もだ!」


 などなど。


 私が視線を向けた先から、世紀末ひゃっはーな方々が現れたから。

 うん、心配はいらなかったけどね。

 問題は運搬だよ。

 リュートとトラクとルーにボコられ、五人組だった仲良しな方々は、仲良く地面でおやすみ中だ。

 馬車に乗せるには、さすがに多いし、トラクの彼女達に申し訳ない。

「殺すか」

 トラクがサラッと発言し、仲良しな方々の周囲をぽよんぽよんと跳ねて回ってるルーを見てる。

「ルーには緊急時以外人間を食べさせるつもりはないからな」

 私が何か言う前に、ムッとした表情のリュートから、キッパリ拒否の台詞が出て安心する。

 しかし、すっかりリュートとトラクは仲良しだな。

 リュートのムッとした表情なんて、かなりレアだと思うんだよね。

 某最低最悪ボンボンとか相手だと、困った顔はしても、ムッとしたり、意見言ったりとかしてなかったもんね。

 男友達っていいなぁ。

 エヴァン相手じゃ、友達感はゼロだし。

 いい子なリュートには、もっと友達が増えて欲しいと思う。

 カネノも、一応友達枠だけど、腹黒なあの子も付いてくるからねぇ。

 そんな事を、トラクと意見を交わし合うリュートを見つめながら考えてたら、ガタゴトとノクの方角から馬車がやって来た。

 ラッキーな事に、乗っていたのは冒険者組合でよく会う冒険者パーティーで。

 しかも、深い理由もなく、何と無く遠出しようとしていた、という事で、賞金山分けで仲良し五人組を馬車で運んでくれると話がついた。

 深い理由もなく、何と無く遠出しようってなかなか珍しいなぁ、と思ってたら、冒険者パーティーの会話が漏れ聞こえてきた。



「組合長不機嫌で殺気ヤバいから出てきたけど、リュートいるなら大丈夫だよな?」



「リュートというより、ハルじゃね?」



「そうねぇ、ハルさんね」



「ハルがいるなら、おさまるだろう。あれで隠してるつもり、とはな」



「みんなそそくさと依頼受けて出てってたもんな」



「受付嬢も何か変だったしぃ?」



「組合長が不機嫌だったからかしら?」




 おっと、盗み聞きは良くないか。

 でも、エヴァン不機嫌なのか。

 まさか、また某悪辣小者ボンボンが何かしでかしたんだろうか?



 要注意だな。



「ハルさん、じゃあ、ノクへ帰りましょうか?」


(うん! 帰ろう)



 とりあえずは、ノクへ帰るのが先決だよね。



「リュートさんと、交代とかしないんですかぁ!」



 私には、ぶひぶひ以外、聞こえませーん!


ぶひぶひぶひぶひぃ?


みたいな。


ハルさん、無自覚にちょいヤキモチ中かなぁ、と。


次回、やっとノクへ帰れますよー?


つまりは、あの方がご登場です(笑)


ボンボンではないですよー。←誰も待ってない。

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